嗚呼クリスマス

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usagi


友達と柊の枝を摘みにヒースに出かけたのですが、どういうわけか、今年は赤い実の付いた枝があまりございませんでした。家に帰って調べてみたら、ヒイラギはイチョウと同じく雌雄異株でした。いやそれにしても、今年はいつもたくさん実が付いているはずの雌の木も、ぷつんぷつんと申しわけ程度に赤い実がやっと見えるだけで、どうも裏寂しかったのでございます。そういえば一緒に行った友達も、いつもは隣の家の前庭のヒイラギがこの時期になるとたくさん実をつけるのに、今年は全く実をつけていないと言っておりました。どうもヒイラギのハズレ年だったようです。

クリスマスになると、ここのところめっきり数の減ってきた郵便物が、クリスマスカードのおかげでちょっと賑やかになってまいります。いつも感心するのですが、ほとんどの方々が市販のクリスマスカードを使っているのに、同じカードが来ることがないのでございます。クリスマスカードはあらゆるところで売っておりますが、頂いたカードを見ると、それほど凝ったカードを送られているわけではなく、聞いたことのあるメーカーのものが多いのでございます。それなのに、みなさんそれぞれ全く違うカードを送ってくださるのです。そういえばクリスマスリースをドアにかけていらっしゃる方がたくさんおられますが、これも見事に皆さん違うのです。美しいリースの写真を20枚ほど写真に撮ってみたのですが、同じリースを飾られているお宅は一つもありませんでした。クリスマスツリーも下げる装飾やライティングは皆さんそれぞれ違うので、やはり一本一本違うのでしょうね。

ご存知の方も多いと思いますが、イギリスのクリスマスプディングは、干したフルーツやお酒などが入っていてとてもリッチなのですが、これにブランディバターというこれまたこってりしたものを加えていただきます。友人に聞いて回ってみたところ8割のイギリス人が、一皿はいただくけれどあまり得意ではないとおっしゃっていました。クリスマスプディングと言えば、以前友人のお宅で迎えたクリスマスの思い出がございます。クリスマスプディングは作るときにもブランデーやコニャックをいれるのですが、食べる前にもレードルにまたブランデーやラム酒を入れて火を灯し、蒸しあげたプディングにかけるのです。この時はご主人が気を利かせて、プディングの上にヒイラギを乗せたのですが、火をつけたらそのヒイラギにも引火して、テーブルの中央でものすごい火柱が立ち上がり、あまりの火勢に水をかけるべきかどうかと一瞬討議になったことがございました。

日本やヨーロッパの多くの国ではクリスマス・イヴにお祝いをいたしますが、イギリスでは25日に七面鳥やクリスマスプディング、クリスマスケーキをいただき、ツリーの下のプレゼントを皆で開きます。女王陛下のクリスマスのご挨拶があるのも25日です。救急車の隊員さんは、クリスマスが一年で最も忙しい時期だとおっしゃっていました。お酒もたくさんいただきますし、普段はあちこちに散らばっている家族が集まって、一緒に過ごすというのも理由の一つに入っているんだとか ^^:

クリスマスを迎えるたびに、一年はなんと短いものなのだろうと毎年思うのですが、今年もこうして無事にクリスマスを迎えられますことをとても嬉しく思っております。

th_wreath

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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