甘え上手

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usagi


人それぞれ色々な性格がありますように、犬や猫にもそれぞれの個性があるのだと思います。

友人の飼っている猫は一匹は大変年寄りの雌猫、あと二匹は2歳の雄猫雌猫であります。おばあちゃん猫は人間にはたいそう甘えて愛らしいのですが、やはり歳をとると難しくなるのでしょうか、それとも牢名主のように親分風を吹かせるのでありましょうか、若猫二匹に対しては顔を会わせるたびに「シャーッ」と恐ろしい声で威嚇するのであります。例え何があっても舐め合ったり身を寄せ合って眠ったりは決していたしません。
二歳の女の子猫は真っ黒で、1日の大半を外で過ごします。朝ごはんを食べるとさっさと出て行って、夜まで全く帰ってきません。人間に甘えることもほとんどなく、飼わせてあげてるのよと言わんばかりの孤高のお姫様です。唯一朝ごはんだけは心待ちにしているらしく、グズグズ眠っているとベッドまで催促に来ます。キッチンで缶詰を開けて朝ごはんの支度をしている間は、もう一匹の同い年の男の子猫と並んで、静かに座って庭を眺めています。
若猫二匹はほとんど同じ年なのですが、男の子猫は孤高のお姫様とは対照的で、人にも猫にもとても甘ったれなのです。男の子猫はお姫様猫に耳を舐めてもらうのが大好き。そしてどういうわけか、男の子猫は相手を舐めてやることはほとんどないのです。
やはり甘え上手というのは、徹底して可愛がってもらうことを要求するものなのでしょう。そういえば知り合いにとても人気者のゲイの男の子がいるのですが、これまたものすごく甘え上手で、誰かしらの女の子の膝に座っていることが多いのです。これは日本ではあまり目にしない光景ではないだろうか、と最初は目を丸くしていたのですが、多分彼はイギリス人だからというよりも、とにかく甘え上手なのだと思います。決して無理やり座り込むのではないし、座られている女の子も大層うれしそうな顔をしているのです。自分は人の膝に座っている情景など想像することすらできませんので、面白いやら不思議やら。人それぞれ色々な個性があるものでございます。
甘えるのが大好きな男の子猫を見るたびに、この甘え上手な人間の男の子のことをいつも思い出すのですが、男の子猫は時折「うるさいわね!」とお姫様猫にザクリと引っ掻かれることも少なくありません。それでも臆することなく、男の子猫はいつも小首を傾げて、頭を擦り付けていくのであります。甘えるというのは多少の勇気が必要なのでございましょうな。
「求めよ、さらば与えられん」であります。
th_Cats in the kitchen
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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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