「荷物は安全な場所に置いてあります」

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usagi


先日、封筒を300枚インターネットで購入いたしまして、デリバリーは特に急ぐことなく通常のものをお願いいたしました。

それなのになぜかすぐにメールが届きまして、翌日に配達してくださるというのです。

日本に住む友人によりますと、最近近隣に配送センターができたせいか、夜中の0時を過ぎて注文しても翌朝の9時前に配達してくれるというのです。あぁ恐ろしい。わたくしは古い世代の人間なのでしょうか、欲しいものがお店を訪ねて歩かなくてもインターネットで購入でき、それもとても安く手に入るということが、なんて便利な世の中になったものだと大変嬉しく思っているので、こういう過剰なサービスを聞くとありがたいどころかゾッとしてしまうのであります。

日本のサービスは帰国するたびにエスカレートしていると感じることがしばしばございます。求められるからそのニーズに応えようとますます上を目指すのか、「A社が翌日納期を果たすならば、我が社は翌朝お届けしようではないか!」なのでしょうか? 実際にその業務を遂行しなければならない方々は、大したお給料をもらっていなくても使うエネルギーは何倍にもなっているのではないかと思うことしばしばです。

さて、ロンドンに話は戻りますが、「本日午後14:40から16:40の間にお荷物お届けいたします。不都合があるようでしたらご連絡をください」とご丁寧なメールをいただいたのです。わたくしにとってロンドンのデリバリーというのは、「ドアベルが見当たらなかったのでお届けに上がったのですがお呼び出しができませんでした」とか、「お届けには2週間かかります」というのがままあるイメージだったので、出かける予定はあったのですが、即そちらはキャンセルして荷物を待つことにいたしました。

ですが、やっぱりロンドン。待てど暮らせど配達は来ず、その代わりにまた新たなメールが届いたのです。「配達が遅れております、大変申し訳ありません。間もなくうかがいますのでもう少々お待ち下さい!」

日本の宅配便に慣れていらっしゃる方は、「なんたること!」と、ご立腹されることもあるかもしれませんが、このメールは、わたくしにとって「本日お荷物をお届けいたします」と知らせてくれたメールよりも深い感動をもたらしてくれたのです。とうとうロンドンでもこんなきめ細やかなサービスをしてもらえる時が来たのでございます!!

しかしながらあぁなのにそれなのに、その後待つこと数時間、結局荷物は届くことなく、その日は注文した店に苦情のメールをしたためる幕切れとなりました。尾篭な話で恐縮でございますが、自分の部屋を出て階段を降りたところにバスもトイレもございますので、万が一ドアベルが鳴っても聞こえない!と、その日はベストを尽くして我慢していたのでございます。あぁ恨めしや…。

th_IMG_4213翌日出先から戻りますと、運送会社から不在通知が届いていました。昨日散々待たせた挙句、今日はなんの連絡もよこさずにこの有り様か、とため息をつきながら不在通知をひっくり返しますと、「荷物は安全な場所に置いてあります」の欄に印がつけてあり、そこにはペンで「ゴミ箱の後ろ」と書かれているではありませんか!(写真)慌ててまた外に出て、人が三人くらい入れそうなプラスチックのゴミ箱を6つ、引きずり出して調べましたがどのゴミ箱の後ろにもそれらしきものは見当たりません。誰かに持って行かれたんだわ、と青くなりましたが、今は使っていない大きなポリバケツの後ろを試しに覗いてみたら、そこに荷物はひっそりと鎮座しておりました。

ロンドンだけではないと思いますが、今年は去年と比べますと冷え込みが厳しくほとんど毎日雨が降っているロンドン。たまたまその日は乾いた1日だったこと、本当に何よりでございました。日本の過剰なサービスにも疑問を感じておりますが、ロンドンのずぼらなサービスは本当に困りものでございます。

PS

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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