国民性がわかる場所

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usagi


東京などの大都市に比べるとお粗末なものなのでしょうが、日本の実家の近所にある図書館はロンドンの公立図書館とは比較の対照にならないほどに美しいです。年明けから帰国していたのですが、この図書館ならば居心地よく仕事ができるに違いないとラップトップを持って入館いたしました。ところがなんと『パソコン、携帯の使用は禁止いたします』の張り紙があちこちに。11時から別室で自習室の利用ができるというので、ここならばパソコンは使えるに違いないと足早に向かってみたのですが、部屋の外にも同じ張り紙が。日本の皆さんにとっては珍しくも何ともないことなのでしょうが、わたくしにとっては大きな驚きでした。図書館の静けさを壊す音のため、というのが禁止の理由なのですね。確かに図書館でYouTube、ゲーム、音楽などをパソコンや携帯で使用していたら迷惑でしょうし、図書館は皆で協力して静かに使用するように努めようということなのか、などとわかったようなことを考えていたら、なんと電卓の使用すら禁ずる図書館もあるのだとか。

ロンドンでもよほど専門的な図書館や、写真撮影を禁じなければならないほど特別な文献がある図書館に限っては、パソコン及び携帯の使用を禁じる所があります。しかし一般の図書館はたいていどこもパソコンの使用は自由です。ロンドンの人々の話し声は日本人に比べると大変大きいのですが、各地域ごとにある公立の図書館は驚くほど静かであります。電卓はもちろんパソコンや携帯の使用も禁じられていませんが、音楽を聴いたり携帯で話をしている人もおりません。わたくしは物書きではありませんが、ものを書き連ねる用事がある時はペンと紙を使うことは滅多にありません。タイピングの方が早いですし、書き足し削除などの編集作業が容易にできるのでついコンピューターを利用してしまいます。なので図書館に行く時はコンピューターを持っていくことが多く、わたくしだけでなく利用する人のほとんどが図書館のWi-Fiを利用して自分のラップトップを、もしくは図書館に設置してあるコンピューターの予約を取って作業しております。電卓を早叩きする音は確かにうるさいですし、そんな人がいたら即刻周りから注意されることでしょうが、今のところロンドンの図書館でそのような作業をしている人も見たことがありません。

そういえばロンドンの図書館で「眠ってはいけません!」と怒られていた人を一度見ました。これはたぶん家のない人が図書館で暖をとっていて、椅子で居眠りをしていたんだと思います。ページをめくる音すら耳につく静まり返った日本の図書館で、シニアの男性が本を膝の上で開いたままうたたねをしていて小さないびきをかいておられましたが、誰も注意をする人はいませんでした。日本とイギリスでは図書館を使う人々も目的も相違することがたくさんあるのでしょう。そう考えると日本だからこそイギリスだからこそ、それぞれ違ったルールを作らなければならないのかもしれません。

日本はどこに行っても注意・禁止事項の張り紙や、電車の遅延などを詫びるアナウンスなどが尽きることがありません。だからこそ秩序のとれた美しい日本があるのでしょうが、こういったルールや謝罪を怠ると後で面倒ごとが起きるのでしょう。安全なようで実はちょっと怖い日本なのかなと、駅のエスカレーターの正しい乗り方のアナウンスに従って手すりにきちんと捕まりながら考えておりました。
Owls
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About Author

トキタアヤ

洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あってThe Timesの挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。足掛け4年、ロンドン動物園で週に一度制服を着てボランティア活動にいそしむ。

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