全力で取り組む日々:マイヤリング、バヤデール

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hirano


お久しぶりです! 夏休みの事書こうと思ってたらどんどん時間が経って……ちょくちょく番外編で載せます!

って事で夏休みも終わりシーズンがスタートしたと思ったらもう速攻6時半までリハーサル……「マイヤリング」という作品をやってました。

すごく大変な作品で主役のルドルフ皇太子の役は出突っ張り!  でもずっと夢に見ていた役だったんでやりがいはありまくり!  舞台が始まる10日前にオープニングキャストの主役が降板したため急遽違うダンサー達とオープニングナイトをする事に。この役は今回初めてする予定だったのですが僕の初舞台予定の1週間前に、しかもシーズンオープニングという重荷!  でもやるしかない! とにかくまた新しいパートナー達とリハーサルをし直し毎回のリハーサルを出来るだけ無駄にしないように。ホントに僕たちは舞台の日を目標として、舞台の3時間のために毎日リハーサルをし体調を整え治療、トレーニングをします。それでも舞台は何が起こるかわからないのが事実。舞台リハーサルも嬉しいことに2回もでき舞台での感覚を確かめました。衣装を着けて場面場面ゆっくり一回と、本番通りオーケストラ付きで通しが一回。毎回するごとにダメ出しがありスタジオでのリハーサルでそのことを考えながらまたリハーサル。しかし毎日全力っていうことになると体も持たないし舞台の日に疲れてたら如何にもこうにもならない。舞台の日から逆算し毎日ペースを考えながら。色々なんです……

「マイヤリング」

舞台後のマイヤリングのキャストと記念写真

舞台の日は主役の人はリハーサルがなく夜の本番に備え心と体の準備。ヘアメイクをしウォームアップをし付けひげをして衣装を着ていざ舞台へ。僕は変な緊張はしない方なんですが今回はどこかで少し緊張していたのかもしれません。しかし無事に舞台を大成功に収めることができました。作品が終わって幕がしまった後のカーテンコール、舞台の上には僕一人。あの時の感じは本当に言葉に表せない感動と達成感でした。

さて「マイヤリング」と平行してリハーサルをしていた「バヤデール」という作品のリハーサルが休む暇もなく次の日から本格的に始まりました。まぁこんなもんです……こうやって次から次へと練習の日々……

バヤデールの主役のソロル役は昔からカバー(万が一のためのスタンバイ)で習っていました。しかし舞台でするのはこれも今回が初めて。この作品はマイヤリングとはちょっと違ってかなり濃いいクラシック。飛んで回って打ち上げ花火のような役です。今回ソロルのキャストの中で僕は最年長……コーチとして元ロイヤル・バレエ団プリンシパルのカルロス・アコスタに教えてもらいました。彼がまだ現役の時から仲良くしていてダンサーとしても認めてもらっていたので一緒にこうしてまたスタジオに入れるのが嬉しかったです。彼が最後にバヤデールを踊ったのは36歳の時で、その時はすごく辛かったと話をされました。僕は35……体にきついわけです……でも頑張らないと!

「バヤデール」

バヤデールのキャストと

頑張ってたんですがやはり体への負担は大きく左のスネが痛くなってきて。舞台リハーサルの時に結構酷くて……疲労骨折しかけなのでジャンプを控えないといけないとのこと。2年くらい前にも同じようなことがあったんですが今回の痛さは大きかった。疲労骨折すると今までの苦労が水の泡になるので、本番までの1週間飛んでちゃんとリハーサルができるのは1日……。もっと練習して技術をしっかり固めたいのに練習もしっかりできない悔しさはたまりませんでした……でも舞台ができなかったら本当にもともこもないので今まで練習してきたことと自分を信じイメージトレーニングをいっぱいし舞台に臨みました。

無事に舞台も終えてホッとしても次の舞台は1週間後。また毎日パドドゥの練習をして踊りは本番前に1回だけ。スネの疲労骨折は怖いですからしょうがないです。したら本当に6ヶ月は踊れないんです。怪我はできるだけ避けたい。あと残り少ないバレエ人生かもしれないのでそれを怪我に費やすのは悔しいし。

2回目の舞台も無事にできたんです。マイヤリングの2回目の舞台とバヤデールの2回目には母親も日本から見に来てくれて喜んでもらったんではないでしょうか!?  この後は少しゆっくりできるのでスネにもいいと思います。ジムにもリハーサルばっかりで時間がなくて全然行けなかったのでジムにも行って。でもなんだかんだすぐ「くるみ割り人形」と「winter dreams(三人姉妹)」のリハーサル始まるんですけど……まぁ練習あるのみ!

毎日しっかり練習して体のことを考えてメンテナンスをして舞台に臨めば大丈夫!悔いを残さない舞台にするために、もうちょっと頑張ってたら失敗しなかったかもって思わないように練習を重ねる。失敗なんてつきもの。実際完璧じゃないしライブパフォーマンスなんですから何が起こってもおかしくない。でも失敗してもやれるだけのことはやってきたからと思えるように毎日毎日舞台のためにできるだけのことをやり抜く。

今日も頑張ろ〜

 

hirano_1

左はOsteotroneって言う骨の再生活性化させる機械。右はGame readyというアイシングマシーン。

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バレエダンサー。英国ロイヤル・バレエのプリンシパル。兵庫県の平野節子バレエ・スクールで子供の頃からバレエを学び、2001年にローザンヌ国際バレエ・コンクールでの受賞などを経て、2002年に英国ロイヤル・バレエ入団。2008年にソリスト、2012年にファースト・ソリストへの昇格後、2016年、英国ロイヤル・バレエの最高位であるプリンシパルに。高い身長を生かしたダイナミックなパフォーマンスに加えて、陰翳のある繊細な表現ができるダンサーとして高く評価され、数々の主役を演じている。趣味は料理と写真で、休日はアウトドア・ライフを楽しむ。

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2件のコメント

  1. 舞台のご成功おめでとうございます!
    一つ一つの公演は本当に、信じられないほどの努力の結晶なのですね。。こうしたプロフェッショナルな舞台裏を知ると、踊りを観るのがますます楽しくなります。平野さんの活躍にいつも勇気をもらってます。ずっと応援しています!

  2. すばらしい舞台の裏には、こんなに大変な練習、トレーニング、メンテナンスがあるのですね。

    故障で踊れなくならないよう、練習を控えないといけないなんて、もどかしいですね。

    日本でもシネマで観られる機会が増えて嬉しいです。平野さんの踊り、楽しみにしています!

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