パブめし ベスト5

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イギリスのパブでちゃんとした食事ができるようになったのは、歴史的に見ると比較的新しい現象。それが今では「まずいイギリス」の汚名を返上すべく、パブも食べ物にはことさら力を入れています。「パブめし」として親しまれる伝統的なイギリス料理を、編集長が独断と偏見でベスト5にランク付けしてご紹介!

1. フィッシュ&チップス

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名実ともにパブ・フードの王様。魚を食べないイギリス人が唯一愛してやまない魚料理でもある。衣の基本は小麦粉、冷たい水かビール。モコっとした丸い感じに揚げるには、衣にベーキング・パウダーを加えるのが決め手のようだ。この衣をたっぷり付けて黄金色になるまで揚げたタラやハドックなどの白身魚に、塩とモルト・ビネガーをお好みでガッツリふりかけ、マッシー・ピー(グリンピースのマッシュ)とタルタル・ソースを薬味に、あくまでコッテリと楽しむのがイギリス流。ここに、さらにチップス(ポテトフライ)という揚げ物を組み合わせてしまうところが日本人の発想にはないところであろう。専門店に行くとタラやハドックだけでなく、カレイなどのオプションも。冴えない街角のフィッシュ&チップス店に行くと油ぎれの悪いものをつかまされる可能性も高いが、ガストロパブや準ガストロパブと思われる店に行けば、たいていカラリと美味しく揚がったフィッシュ&チップスをいただくことができる。イギリスでは金曜日は伝統的に魚の日であるからして、金曜日の社食や学食にフィッシュ&チップスが登場する確率は非常に高い。フィッシュ&チップスの歴史についてはwikiでどうぞ☆

 

2. ロースト・ディナー

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日曜日のパブ・メニューに必ず載っているのが「サンデー・ロースト」と呼ばれるロースト料理。ウィキペディアによるとその昔、地主が農奴に一週間の働きをねぎらって、毎週日曜日にロースト・ビーフを食事に出したことが始まりだとか。メインはビーフ、ラム、ポーク、チキンなどほぼすべての肉が対象になるほか、ベジタリアンにはナッツ・ローストなどのパイ料理が一般的に出される。メニューで付け合わせの描写に「All the trimmings」となっているその中身は、ロースト・ポテト、茹で野菜、ヨークシャー・プディングなど。この皿に欠かせないのは肉汁を利用して仕上げるグレービー・ソースで、これがなければ夜も日も明けないという必須エレメントだ。ビーフにはホースラディッシュ・ソース、ラム肉にはミント・ソースなど、薬味的な味を使い分けることができればロースト通。日曜日ならパブだけでなくレストランでもロースト・ランチやディナーを出しているところが多く、家庭でもお祝い事があればロースト料理を作るなどイギリス人の国民的大好物&ご馳走とも言える一皿である。

 

3. バーガー&チップス

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イギリス人グループとパブに行けば必ず誰かが注文する定番中の定番。近年のバーガー・レストラン流行りを見ても分かるように、子どもから老人まで年齢を問わずイギリス人のバーガー好きは変わらないとみて差し支えないであろう。基本は牛ひき肉のパテ。そこにトマトやレタス、紫タマネギなどのフレッシュな生野菜を挟んだものがデフォルトであるが、もちろんチェダー・チーズやピクルス、ときにベーコンなんかも一緒に挟んでボリューミーに楽しむのもよい。パブによっては焼き方もウェルダン、ミディアム、ミディアム・レアから選べ、店によって味のコンビネーションも大違い。付け合わせのチップスもフランス風の極細から大きなジャガイモを縦6つに切っただけの 「チャンキー」までいろいろ。プルド・ポークやチキンカツなど、フィリングのバリエーションは言わずもがな。

 

4. パイ料理

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一口に「パイ」と言っても、ここイギリスでは「蓋」のバリエーションが違う。日本で「パイ」と言えば小麦粉で作ったパイ生地の蓋を思い浮かべるかもしれないが、ジャガイモの国イギリスではマッシュ・ポテトだったり、スライスしたポテトだったりと、さまざまだ。定番は牛ひき肉を使う「コテージ・パイ」、ラムひき肉で作る「シェファーズ・パイ」などで、蓋はマッシュ・ポテトが基本。ステーキ&キドニー・パイやチキン・パイの蓋はパイ生地バージョンがお決まりのようだ。このパイ生地もサクサク系からどっしり系まで多彩である。パイ料理は冬のコンフォート・フード(ほっとするご飯)でありながら、気温が上がらないイギリスでは夏でも根強い人気がある。パイ料理の老舗として長らく親しまれていたPortersは昨年クローズしたが、パブに行けば1種類か2種類くらいのパイ料理があるはずなのでめげずにトライしていただきたい。

 

5. ソーセージ&マッシュ

th_5_Sausages and mash

マッシュ・ポテトの上にソーセージをのっけてグレービー・ソースをかけただけのソーセージ&マッシュは家庭で簡単に作れるシンプル料理であるにもかかわらず、イギリス人にとっては外食でも食べたいと思わせる大人気のパブめしである。素材と香辛料の組み合わせで味を創作できるソーセージではあるが、間違いようがない料理なのも確か。ガストロパブであれば農家直送、豚肉85%以上の本物のソーセージから、鹿肉やイノシシの肉をうまくスパイスと合わせたワイルド系まで、それなりのクオリティを楽しむことができるだろう。メニューにカンバーランド・ソーセージのソーセージ&マッシュがあれば、そこはぜひトライしてみていただきたい。その名の通り湖水地方のカンブリア地方で生まれたこのソーセージはとぐろを巻いたような形がオリジナルではあるが、フィンガー型バージョンがスーパーで手に入るので、イギリス生まれソーセージとはなんぞや?と思われている方は、ぜひ試していただきたい。

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About Author

江國 まゆ

岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系広告代理店にて各種媒体の翻訳ローカライズや日本語コピーライティングを担当。日本語翻訳リライトのスペシャリスト。2009年からフリーランス。趣味の食べ歩きブログが人気となり『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)を出版。2014年にAbsolute Londonを立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。

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