046 | 旬のものを食べよう(夏)

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鮮やかな色の野菜をたっぷり取り入れた、カラフルな食事をお楽しみでしょうか?今号では、前回取り上げた「虹色の食事」実践に向けて、イギリスで夏に旬となる野菜や果物の紹介とともに、お買い物の際のチェック事項なども加えました。より安全な食品選びの参考になれば幸いです。

シーズナルな食事を

イギリスには日本同様に四季があるものの、季節感はやや異なり、いちごなどのベリー類が夏の味覚となります。可能な限り、近郊の農家からやって来るオーガニック野菜や果物を選ぶのが、栄養価的にも安全面でもお勧めです(庭があれば、家庭菜園も理想的)。スーパーでお買い物の際には、パックや野菜箱にプリントされているユニオン・ジャックのマーク付きがイギリス産の目印。積極的にこれらを選べば、自動的に地球の反対側からやって来る季節外れのものを避けられます。この方法だと、夏に限らず比較的簡単に旬の食べ物が把握できると思うので、ぜひ試してみてください。

以下が、イギリスで7月〜9月頃に旬となる野菜と果物の一覧です(1)。

  • ベビー・プラム・トマト
  • きゅうり
  • そら豆
  • チリ・ペッパー
  • ゴールデン・ビートルート
  • コジェット(ズッキーニ)
  • スクォッシュ
  • スイート・ペッペー(パプリカ)
  • とうもろこし
  • ボクチョイ(青梗菜)
  • ロケット(ルッコラ)
  • ディル
  • ミント
  • フェンネル
  • コリアンダー
  • パセリ
  • マスタード葉
  • 玉ねぎ
  • ブロッコリ
  • ラナー・ビーンズ
  • バジル各種
  • リーク
  • かぼちゃ
  • カボロ・ネロ
  • 黄と紫のフレンチ・ビーン
  • カリフラワー
  • スイス・チャード
  • なす
  • グローブ・アーティチョーク
  • アスパラガス
  • えんどう豆
  • コルラビ
  • いちご
  • ラズベリー
  • グースベリー
  • カラント
  • ブラックベリー
  • エルダーベリー
  • プラム

 

旬の食べ物が、季節に合った代謝調節をサポート

旬の食べ物は、栄養価や抗酸化物質の値が最も高いという利点とともに、それらを摂取することで体内時計が季節とシンクロするように調整されるようです(2)。そのため、季節外れの食べ物や季節感のないものばかりを食べていると、体内時計が季節とマッチしなくなり、体調不良の原因にもなりかねません。基本的に、夏の食べ物には体内から熱を発散させるものが多く、冬にはエネルギーを蓄える食べ物が多くなります。夏にサラダ系のものをたくさん食べて心身ともにすっきりしても、同じように真冬にサラダ中心では、食べ物の性質・自分の体質・季節感のずれが大きくなって、健康のバランスを崩しやすくなるでしょう。

ベリー類は、抗酸化物質が豊富。

季節外れでやって来る野菜と果物

008号で取り上げたグライフォセイト(ラウンドアップの主成分)はもちろん、世界中で使われている薬品の各種は、わたしたちや環境の健康を脅かすものとなっています。そこに加わるものとして、人工的要因と自然環境から水道水や食品ルートに入り込む 、パークロレイト(過塩素カリウム)と呼ばれる化学物質の存在は外せません。

パークロレイトは、フッ素やヨウ素などとともにハロゲンに属し、甲状腺ホルモンの合成に必要なヨウ素が必要とされるレセプター(受容体)をブロックするため、甲状腺機能を低下させる物質の一つとして知られています。チリは、地域的にパークロレイトの多い場所であることに加え、パークロレイトが化学肥料としても使われているため、水道水、農作物(ホウレンソウやロマニー・レタスなどの葉野菜や果物)から高濃度が検出されています。現在、イギリスを含むヨーロッパ圏内には、ブルーベリー、さくらんぼ、りんご、ぶどう、プラムなどを中心に、各種の果物がチリやメキシコから大量に輸入されています。近年のヴィーガン・ブームも手伝い、ヨーロッパでは菜食主義の人口が増加中です。並行して、野菜や果物の消費量も増えているので、安全確認の必要性が高まっているといえるでしょう。ちなみに、これらの食品摂取量が平均以下なら、パークロレイトの量がヨーロッパ内で安全とされている基準値内となり、摂取量が平均以上の場合には基準値を超えるため(大人32%、こども61%、幼児56%)、慢性的な甲状腺機能への影響が懸念されています。(3)

特に、甲状腺機能低下(代謝機能の低下)の症状をお持ちなら、チリ産の野菜と果物を避けることも対策として有効だと思います。もちろん、健康状態にかかわらず、ローカルの季節野菜や果物を選べば健康促進をサポートします。旬のものを選ぶという意識的な食品の選択は、季節に合う代謝調整を助けると同時に、長距離の空輸によるカーボン・フットプリントを避けることにも繋がり、環境保護にも貢献します。

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先月半ばをアップロードの目標にしていた記事ですが、数日の告知で突然職場復帰となり、しばらく手がつけられない状態が続きました。そうこうしているうちに、秋も間近…。季節の食品リストは、7月から9月までが参照のウエブサイトでひとまとめになっていました。あともう少しの間、夏の野菜や果物が楽しめそうですね。

 

参照:

  1. London Farmers Market. (2020). In Season. Available at: https://www.lfm.org.uk/what-can-i-buy/in-season/ (Accessed: 25th July 2020).
  2. Gibert-Ramos A, Crescenti and Josepa Salvado M. (2018). ‘Consumption of Cherry out of Season Changes White Adipose Tissue Gene Expression and Morphology to a Phenotype Prone to Fat Accumulation’, Nutrients, 10(1102). doi:10.3390/nu10081102
  3. Lisco G, at al. (2020). ‘Interference on Iodine Uptake and Human Thyroid Function by Perchlorate-Contaminated Water and Food’, Nutrients, 12(1669). doi:10.3390/nu12061669
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About Author

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。ナチュロパス、ファンクショナル・メディスン・プラクティショナー、ニュートリショナル・セラピスト(mCMA, mBANT, CNHCreg, CFMP)。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックと並行して、オンライン・クリニックでも活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

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