第44回 スーパーパワーを取り戻せ♪ part4

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Chapter 6.04
スーパーパワーを取り戻せ♪ part4『楽しさマキシマム』

英語の「決める(decide)」という単語は、ラテン語の「切り離す、切り捨てる」という意味の言葉から生まれたそうです。

いくつかある選択肢の中からAと「決める」ことは、残りのB、C、D….を「切り捨てる」ことだと考えると分かりやすいですね。

そして切り捨てたからにはAにコミットできるはず…なのですが。

「Bの方が得かも、Cの方が受けるかな。いやいやDも捨てがたい…やっぱり全部あった方が安心…?」といつまでも1つに絞れなかったり、Aに決めてはみたものの未練がましく後戻りしてみる。つまり実際のところは全く切り離しをしないまま、さまざまなものを引きずりながら歩いている、そんな状態のことも多いものです。

パーティに例えてみれば、着ていく服がいつまでも決まらず結局おっくうになってしまい、楽しみにしていたパーティに出席するのをやめてしまう、または選んでいるうちにパーティが終わってしまう。そんな状態。

大切なのは「服」ではなく「自分」がパーティに出席すること。より良いものやベストを選びとろう・手に入れようと格闘し続けるよりも、直感や好みで決めるか「ベストでなくっても、決まってなくても大丈夫♪」と、とにかく自分が人生というパーティにまず参加してみること。
パーティが終わってしまう前に会場に現れて思いっきり楽しむ。何か起こったらその時に対応すればいい。だってせっかく招待されたんだもの。準備ばかりで終わってしまうのはもったいない。服選びがおっくうなら、そのままフラッと現れるのもかえってカッコいいじゃないですか。

そうして出会いが始まり、運命が動き出すのだと思います。

服やメイクやはそれぞれの容姿と同じで、その人の二次的な要素でしかない。個々の持つパーソナリティですら、その人の「存在」にくっついている二次的な要素でしかないのです。

細かい所に気をとらわれすぎているうちに招待状が来ている事に気がつかなかったり、うっかり捨ててしまっているかもしれない。自分がこの世界に生まれて来たということは、現在あまり思わしくない状況にいるとしても、すでに素敵なパーティのゴールデンチケットを受け取っているしるしだと思うのです。

そろそろ「そんなもの来ていない」とすねるのはやめて、腹をくくりましょうよ。

ミニマリズムという言葉の本来の意味である「何かを選ぶ、これが大切と決める」こと、つまり何かを切り捨てることができるほど選択肢があるということは、実はとても贅沢な境遇にあるということなのです。
選ぶほど立派な選択肢なんてないよ…と思うこともあるかもしれませんが、今ある自分はこれまで自分が無自覚に行ってきた膨大な選択の「結果」。まず望ましくないものを切り捨てていく事でその人が本当に大切にしたい要素がきちんと見えてきます。

自分にとっての「コレ」を大切にすることで幸せ度は一気に上昇し始めます。そして類は友を呼ぶ。幸せでいると周りにも同じような人たちが集まり、相乗効果でもっと楽しくなっていきます。
たとえトラブルが起こってもそれを困難と思わなくなったり、ポジティブな気持ちで対処できるようになっていく。どうせ自分なんて…といじけたり、比較や悪口で時間を費やす暇はなくなります。

荒れ放題になった庭を思い浮かべてみましょう。雑草やだれかが投げ入れたゴミだらけ。家族からもらったイマイチしっくり来ない彫像や、誰かが乗り捨てたサビだらけの自転車が転がっている。何だか変な匂いもする。

なんだかヤな感じだなーと思いながら暮らしてきたけれど、ある日思い立ちます。自分の庭なんだから、好きにデザインすればいいじゃない。

あなたは庭からごみを取り除き雑草を抜いて土を整え、好きな花を育てはじめます。雑草の中から見つけたハーブも一緒に。もしかしたらプールや野菜園を作るかもしれない。禅庭を作るのも渋くていいしアトリエを建ててもいい。ボロボロの自転車をきれいに整備してサイクリングに出かけるのも素敵。

自分のしたいことの設計図を現実にする「ツール」がミニマリズム。ミニマリストになることが目的なのではないのです。語感だけだと正反対のイメージがあるけれど、ミニマリズムは人生をマキシマムに謳歌するためのマジック。

ミニマリストになろう…ではなくて「ミニマリストでいこう♪」なのです。

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第1回から今回まで続いて来たこのコラム、ここでいったん完結しますが、実はこれでも書き足りないぐらい自分にとって興味深いテーマです。今後も時々更新させていただけたらなと思っています。
これまで読んでいただきどうもありがとうございました。今回のコラムで興味を持たれたら、過去のコラムも読んでみてくださいね!

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About Author

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写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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