メイ首相が掛けたフリーダ・カーロの謎

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季節は移ろい、すっかり秋。10月は、モノの値上げだったり新番組のスタートだったりと、いわば区切りの月でもありますが、英国のマンチェスターでは、新たな結束を誓うべく保守党大会が行われていました。とはいえ、米国の政治(REAL)ドラマに比べればキャスティングの地味さが否めず、英国政治のニュースはパスしがち…。ところが今朝、目を引いたのがメイ首相でした。メイ首相の手首にフリーダがいたのです!

メイ氏が保守党大会をしめくくる演説をするさいに、メキシコ共産党員でもあったフリーダ・カーロによる自画像のミニチュア版をつなげたブレスレットを、なぜ身に着けたのか? まったく解せない謎に英メディアがさっそく注目。もっとも、フリーダが何者なのかを知らなければただの「変わったアクセサリー」で終わってしまいますので、大衆紙のサンは、芸術に造詣の浅い読者のために、まずフリーダがどんな人物なのかを解説。

じつはこの日の演説は、さんざんなアクシデントに見舞われました。重要な場面が悪ふざけの抗議で茶化され、総立ちの会場から拍手が湧きあがったエンディングでは、(不吉にも!)背後の壁に貼られたスローガンを謳った文字の一部が無残にもはがれ落ちる始末。そして、演説中にいく度も「エヘン虫」に邪魔されたメイ氏でしたが、語気を最も強めるべき箇所で咳きこんでしまい、すっかり腑抜けた演説になってしまったのです。

と、そのときでした、差し出された水を飲むメイ氏の右手首にフリーダの顔がはっきりと現れたのは(というかカメラが捉えた)。この日のお召し物は、控えめな紺色のワンピースに、トレードマークのヒョウ柄のキトゥンヒール。いわずもがな、メディアがつねに関心を示すほどのファッション・センスをお持ちなのですけど、これぞ「ステートメント・ブレスレットの決定版」とでも呼べるようなズバ抜けて個性的なアクセサリーを選ぶとは、さすが!

とにかく、マルクス主義思想家のトロツキーとの情事など型破りな生き方でも知られ、激しい感情とフェミニズムを表現した20世紀美術の代表的な女性画家フリーダ・カーロと、「メイボット」(言葉を口先で繰り返すだけのロボット)と揶揄されるメイ首相とを結ぶ線が見えず、目が点になった方も多かったことでしょう。おそらく数日のうちに、ブレスレットの出所をメイ氏自身が公表し、この謎はあっけなく解き明かされるかもしれませんが。

 

それにしてもあのブレスレット、いったいどこで入手したのかも謎…。eBay ? Etsy ?

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About Author

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して11年目に突入。

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