フィリップ殿下、事故ってもソーリーは言わない?

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2019年もすでに20日あまりが去っておりますが、今年は平成最後のお正月でした。4月末に迫る天皇陛下の退位にともない、日本のメディアでは話題性をアップさせたい思惑によって、何かにつけて「平成最後の」という前置きがつきます。ここにきて、あんまりいい時代とは思えなくなってしまった平成。元号はどうであれ、いったい、どんな時代がくるのやら…と思っていたちょうどそのころ、「御年97歳のフィリップ殿下が交通事故」という、英国発のニュースが飛び込んできました。女王陛下は同乗してた? え、え、どうなの?

記事を読んで驚いたのは、「殿下一人で自ら運転」というショッキングなファクト。ひと月ほどまえ、「64年間無事故無違反」(公道を運転するなんて、そりゃ周囲が許さないわ)のウチらの陛下(笑)が、85歳になろうというご自分の年齢を考慮し、自動車の運転(御所から東御苑まで皇居内ドライヴを愉しまれてたそうな)を止めることを表明された、という記事を読んでいたので、まず「97歳で運転」という奔放さに驚き、そんなご高齢の王室メンバーが「公道で車を走らせる」ことができるという環境の自由さに、二重にビックリ。

英王室では許されるのね、というのが正直な感想でした。けど、驚きはまだほかにも…。フィリップ殿下がハンドルを握っていたレンジローヴァーは、別の車と衝突した勢いで横転したそうなんですが、なんと、97歳の殿下は無傷! しかも、その後メディアが明らかにした事実にまた驚愕。若いころは無謀さで知られたフィリップ殿下、(加筆:事故の2日後にまた運転し)、シートベルトを着用してなかったことが暴露されたのです。ハハ~ン、これだ~、と『The Crown』のシーンを思い出したのは、わたしだけでしょうか?

新しい車を走らせてみたくて、執事がいくら止めても、聞く耳をもたなかったのでしょう。それか、周囲の目を盗んで、こっそり抜け出したか…? 『The Crown』を観ていたおかげで、フィリップ殿下の、ヒンシュクを買うことの多い言動や何かと世間を騒がせていた行動を、いまは少し理解できてるかも(笑)。また、複数のメディアによると、今回の事故ではフィリップ殿下に衝突された車に乗っていた女性は腕首を痛めたものの、「殿下は相手方の女性とお見舞いの言葉を交換した」との王室の発表に対し、「謝罪らしい言葉は一切なかったし、お花くらい贈ってくれてもいいのに」と思いを吐露。さもありなん?

いっぽう、高齢者への運転規制についての論議も活発になっています。じつはいまから30年近くまえにロンドンで運転免許をとったわたしは、ロンドンにはお年寄りドライヴァーが多いことに驚きました。そして当時も、高齢ドライヴァーによる交通事故がたびたび話題になっていて、今回のような年齢による規制が必要か否かの議論は、たしかにありました。英国に遅れてドライヴァーが高齢化に入った日本ではいま、認知症の問題から運転免許の返納を勧めており、了解する高齢者も多いようです。最近の若者たちは別に車なんか欲しくないというし、「車社会」への意識もかわりつつあるのかも。英国人の意識は、どうなんでしょう…。

ちなみに、英国で運転免許なしに運転ができるのは、エリザベス女王のみだそうですよ。

ことしもよろしくお願いいたします!!

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P.S. 自動車免許をとったのは「40」ではなく「30」年まえでした、あろうことか、歳を10年も多くサバ読んでしまうことに…。訂正済みです。新年からボケてます(苦笑)。

 

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About Author

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して11年目に突入。

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