【特別な時】の特別な食べもの

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cafevisit


先日ヘルシーバーガー、と私が名付けたハンバーガーを食べた

カリッと焼いてあるこだわりの全粉パンで挟まれていたハンバーガーは
お肉と新鮮な玉ねぎ、アボカド、マッシュルーム
ロケットサラダ、レタス、トマトなどを重ね
こだわりのソースで頂く

健康的にかっこ良く積み上げられたハンバーガーは
堂々と、15cmぐらいの高さになって出てきた

これが、こだわりのあるヘルシーバーガーで
そして、それはちょっと食べにくかった

イギリスのレストランで、中身の沢山入っている
クラブハウスサンドイッチやハンバーガーを頼むと
大体ナイフとフォークが付いてくる

こういう大型サンドイッチは
カトラリーを使って、切って食べるしかないようだ
しかし、やはり、ハンバーガーやクラブサンドは
両手でしっかり持ってかぶりついて食べたい、と私は思う

先日、TVで私の大好きな刑事コロンボを観ていた時
よくありそうなハンバーガー店で買った
バーガーにかぶりついているコロンボ刑事のシーンがあった

こだわりのないふわふわした白いパンには、色々なものが
詰め込まれていないので、コロンボ刑事は
コーヒー片手にバーガーをムシャムシャと食べていた

私はその映像を観た時に、先日パブで食べた
かっこ良くて、立派でちょっとヘルシーな
身長15cmのこだわりハンバーガーよりも
コロンボ刑事が食べているそのジャンクなハンバーガーの方が
なんだか美味しそうに見えてしまったのだ…

ハンバーガーはやっぱり手で食べる方が美味しくて
あのふわふわの栄養価の無い白いパンも、あの場合には美味しいのだ

そうは言っても私は、身体の事を考えて
マクドナルドやバーガーキングなどのハンバーガーは
食べないことにしている

だけど、毒あるモノには、なんとも惹かれてしまう…

実は、私の中でジャンクフードを胸を張って食べる事が出来る
ちょっとラッキーな、【特別な時】っていうのがある

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さて、先週末の引っ越しが無事に終わって、やっとなんとか片付いて
新しいお家で普通の生活が戻ってきた

数日、外食や出来合いのものでの食生活だったけれど
今日から、ちゃんとお料理を作ってみようと思っている
自分で作って家で食べることは美味しいし、のんびり出来ていい
それに、母や今は亡き懐かしい健康オタクの友人イゴールから植え付けられた
【正しい食生活】にも則っているから
「あ~、やっと作れる、良かった!」と、思っている私がいるけれど

「なんだ、終わっちゃったのね…」と、言っているもう1人の私もいる

私が食生活をちゃんと考えるようになったのは
その健康オタクのロシア人映画監督のイゴール
と出会った時だから、それは、28歳の夏

その彼に、私はかなり洗脳されてしまったようで
それ以来、食べることには結構気を使うようになっていた

イゴールは、極度に食生活に気をつけていたせいか
たまに、リバウンドなのか、ケンタッキーフライドチキンを
無性に食べたくなってしまうことがあった
と、ずっと後になって知ったのだけれど

「絶対に、こういうジャンクフードは食べてはいけない!」

と、私達には、強く強く、強要していたのに、彼のゴミ箱から
ある時ケンタッキーフライドチキンの紙が出てきた
という話を、イゴールの当時のガールフレンドから聞いた時、
私達は、「えー、なんだ」と思った後
皆でゲラゲラと笑い、そしてなんとなく納得したのを覚えている

ジャンクフードには、人を惹きつける特別な蜜の味があるのだと思う

話を戻すと、引っ越し前後の約10日間
部屋はぐちゃぐちゃで落ち着かなくて
手は、カサカサに荒れ、どっと疲れてクタクタになるのだけれど
でも引っ越しには
キャンプをしているような不自由な中にある心の自由があって
私はとても楽しくなる

その心の自由が私に与えてくれる事、というのは【特別な時の食べ物】

【特別な時の食べ物】というのは、引っ越しの時だけではなく
時々私のとろころへやってくる

随分前のことだけど、山登りをして、やっと着いた頂上で
お湯を沸かして作って食べたカップヌードル
岩に座って、素晴らしい眺めを楽しみながら食べたカップヌードル
「なんてオイシイ食べ物なんだろう!」
と、あの時の感動が忘れられない

【今日は特別だから】という、この魔法のような言葉が私は、大好き
普段は、絶対にダメなことが
その言葉によって、許されてしまうのだから!

私は5歳の時に、アデノイドの手術をした
この手術の想い出には、痛くて怖かったこともあるけれど
それ以上に「なんて私はラッキーなのだろう!」
という想い出が強く残っている

まず、その素敵な想い出の1つ
手術の前日に家族でディズニー映画を観に行った事
「カオちゃんは、明日手術で可哀想だから、今日は映画に行きましょう」
という、事だったらしい
そして、もう1つ
術後一週間は流動食を食べなければならないので…

私は、一週間毎日アイスクリームを食べる事ができたのだ!

こんな訳で、アデノイドの手術も私の特別に幸福な
ラッキーな幼年期の想い出の1つになった
そして、これが私の【特別な時の食べ物】の一番古い記憶

近年でいうと、もう1つの【特別な時の食べ物】の記憶がある

それは、去年の6月に長男の卒業式に出席するために
スコットランドへ夫と長男と3人で車で行った時のこと

ロンドンを出たのが、もう午後遅い時間
なるべくその日のうちにスコットランド近くまで
行きたいから、とドライブを続けているうちに
休憩に停まった時には、もう深夜になっており
殆どの店は既に閉まっていた
そして、お腹を空かせた私達3人を待っていてくれたのは
バーガーキング

これは正しく【特別な時】
チャンスの到来

「あ、なんかオイシイな…」

久しぶりに手をベトベトにしながら
バーガーキングをかぶりついた時に、私が漏らした言葉

ジャンクフードを食べているところを
天国にいるイゴールに見つけられても怒られない理由がちゃんとある

そういう【特別な時】は、この引っ越しが終わると
もう暫く来ないかも

今日から、私はなんとか片付いたキッチンで
お料理を始めないと…と思っている

もうキャンプ場だったお部屋は片付いているし
【特別な時】は終わったのだから

今回の引っ越しで、私はカップヌードルやマクドナルドのハンバーガーは
食べなかった、だけど、普段は食べないようにしているけれど
「ちょっと食べたいな~」という【特別の時】だけに許される
お食事を楽しんだ

私は、自分で作る健康的な料理や、こだわりのレストランで頂く
こだわりのお料理が好きだし
ちょっと気取ったレストランで頂く気取ったお料理も、大好き

でも【特別な時】に口にするジャンクフードを食べた時に
思わず漏らしてしまう
「あ、オイシイ」

これもやっぱり真実で、ちょっと大袈裟かもしれないけれど
たま~にある、私の人生の楽しみ

貴方にも【特別な時】の特別な食べ物…

やっぱりある?

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【きょうのヒント】
私にとって、ロンドンでの特別な場所
と言ったらメイフェアー地区
美しいジョージアン時代の建物が醸し出す雰囲気が
これこそクラシックロンドンのイメージで
歩いていると、ふわふわしてしまう

その中にあるこのカフェは
私がたまに日本大使館に行く帰りに立ち寄る界隈にある一軒
近所で働く人、暮らす人達にとってこのお店は
ちょっと嬉しい特別な存在なんじゃないのかな…

【前回のこたえ】
NORTH & TEN
123 Mussel Hill Road, London N10 3HS

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About Author

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東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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2件のコメント

  1. アバター画像

    やんぬさん!
    やっぱり?!こういう私のちょっと変な人生観?に共感してくれると
    とっても、嬉しい!なんだか、ほっとします。どうもありがとう!
    アメリカから、この記事を読んでくれているなんて!それも感激!!!
    これからも、宜しくね!
    カオル

  2. 【特別な時】、あります!

    普段は食事に気を遣い、健康的な物を取るようにしていますが、どうしても外食やデリで済ませないといけない時、「今日は仕方ない」と言いつつ内心喜んでいる私がいます(笑)

    現在アメリカに住んでいて、ただでさえもカロリー過多の生活になりかねないので、食事には気を付けているのですが、たま~に食べるジャンクフードや砂糖多めのデザートがとても美味しく感じてしまいます。

    今回の記事はすごく共感してしまいました。

    また素敵なイラストと共に、楽しいコラムを期待しています♪

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