人と世界を眺めるフォトエキシビジョン

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写真が好きです。撮るのも好きだし見るのも好き。(撮られるのは苦手。)
なかでも夢のあるファッションフォトと、ヒトが見えるポートレートは格別。
仕事でいちばん楽しいのも、撮影と写真をセレクトする時間です。

そんなわけで、今日はおすすめのフォトエキシビジョンを紹介します。

National Portrait Galleryで毎年開催される「TAYLOR WESSING PHOTOGRAPHIC PORTRAIT PRIZE」

文字通りポートレートのコンペティションで、その入賞作品展示なのですが、これがここ近年の冬の楽しみ。
街中にもよくポスターがあるので、これ ↓ 見憶えのある方も多いのでは?

このエキシビジョンの魅力は、いろんな国といろんな被写体と、いろんな写真家の視点が一気に見られるところ。ちょっと大げさに言うと、世界を見るような面白さというのかな。
撮られた場所も違えば、人種も年齢も違って、テイストもユーモラスなものから悲哀を含んだものまで、とにかくいろんな人々の顔、顔、顔。
さらに傍にある作品解説を読むと、フォトグラファーがなぜこの写真を撮るに至ったかが分かります。
一枚の写真から撮る側、撮られる側それぞれのストーリーが見えるから、より深く見入ってしまう。そう、ドキュメンタリーなんですよね。バックグラウンドや被写体の気持ちを想像させられて、コンパクトな会場ながらなかなか長居してしまうのです。

 

個人的に好きだったものをいくつか。

Vikram Kushwah

 

Pat Martin

 Alex Llopis Cardona

Jouk Oosterhof

 

子どもたちのパーフェクトに自然な瞬間と、悲しみと笑いが混じった母親の記録、一期一会な人々の定点観測、バングラディシュの少女たち。
写真のディテールや具体的なストーリーはぜひ会場で見てみてください。

 

ちなみに、普段いろんなフォトグラファーと仕事をしていて感じるのですが、写真ってほんとうに、その人を写すものなんです。撮られる側よりも、「撮る人」を。たとえ同じものを撮っても、同じテクニックを使っても、誰が撮るかによって写りがぜんぜん違うから不思議なもので。

のびのびした少年たちの姿が撮れるのは、人をのびのびさせる空気を持った写真家だろうし、
何を被写体に選ぶかには、写真家の興味が反映されるし、
被写体との距離感から、人懐っこいかシャイかもなんとなくわかる。

そういえば、おちゃらけた人なのに、写真はものすごくダーク! なんて意外性を見たこともあったな。笑
カッコよく撮れているけど、何も感じるものがなかったり、
逆になんてことないスナップだけど、なんだかジンときたり。

そんなふうに、撮る人のパーソナリティや価値観を感じられるのも、写真の面白さのひとつではないかなぁと思っています。

 

展示は2月16日までなので、お早めに!

 

NATIONAL PORTRAIT GALLERY
https://www.npg.org.uk/whatson/taylor-wessing-photographic-portrait-prize-2019/exhibition/

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About Author

ファッションエディター/ライター/ディレクター。主な仕事に雑誌『装苑』『CREA』『FUDGE』『KINFOLK』、多数のブランドムック、英国ブランド『MARGARET HOWELL』『SUNSPEL』の日本版カタログ制作など。昔からイギリスのファッションやカルチャー、雰囲気が好きで、2019年春にロンドン暮らしをスタート。現在は英語や写真やファッションを学びながらゆるりとイーストで生活中。東京でもロンドンでも暮らしは変わらず、ひとり好きで気の向くまま過ごしています。趣味は写真、映画、アート、コンテンポラリーダンス観賞、旅、ヨガ。モットーは「人生は全部ひまつぶし」。真面目に、全力でひまをつぶしています。【Instagram】sekinemaki 【note】https://note.com/makisekine/m/m48fb72d934d5

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