「能」という舞台芸術を、古くさくてとっつきにくいと思い込んでいる現代人は多い。しかし今、650年の歴史を持つこの芸術に改めて光を照射してみると、むしろ「アバンギャルド」とさえ言える。そのクオリティは、もちろん超ワールド・クラスだ。
極限までミニマルに抑えられた舞台の上で、「謡」「囃子」「舞」が三位一体となって絡まり、夢幻の場を創り出すと、感情や物語が時空を超えてたちあらわれる……能は、型を重視したスタイリッシュなアートであると同時に、人や神々の思いを極エモーショナルに伝える熱い舞台芸術でもある。
中でも「笛」「鼓」「太鼓」が織りなす囃子の独特の響きには、一種の魔力が秘められている。ひとたび囃子が鳴れば、神々や天女、幽鬼でさえ、おのれの舞いを舞わざるをえない。それは能がもともと、この世ならざるものとつながるための舞台だったからなのだろう。
この日本の風土で育った伝統芸能を、新たな形でUKに上陸させたのは異文化交流の専門家でもあるイベント・プロモーターmu:artsの柳沢晶子さん。2016年に「Noh Reimagined」と銘打ってと行われた、能と英国の現代アーティストたちとのコラボレーションという画期的な企画は大成功を収め、今年はさらに多くの後援を得て新たなステージを立ちあげている。
「Noh Reimagined 2018」の会場は、前回に引き続きキングス・クロスのKings Place。6月29日(金)30日(土)の2日にわたって能楽についてのディスカッションやトーク、日本から招待した能楽師・演者のみなさんによる真性の能舞台が披露されると同時に現地アーティストたちとのコラボも大きな見どころだ。そして今年のメイン・テーマは、夢幻能。
面白いのは、理研の脳神経学者、入來篤史さんによって世阿弥の「離見の見(りけんのけん)」理論を脳神経学的な見地から読み解くという試み(!)が行われること。「離見の見」というのは、演者が自らの身体を離れ、あらゆる方向から自身の演技を見る意識を持つことが重要だという考え。役者の視点が観客の視点と一致することを推奨しているらしい。この研究結果をモチーフとした新作能「The Transformative Power of Noh」も披露されるとか。
そして、忘れてならないのは、英国のアーティストたちとのコラボレーション!
安土桃山時代から続く能楽笛方であり、その驚くほどに奔放な演奏で知られる一噌 幸弘(いっそう ゆきひろ)さんをはじめとした能楽者の皆さんと、現代英国を代表する前衛ピアニスト&作曲家であるレオン・ミッチェナーさんとのコラボは大きなハイライトの一つ。前衛音楽家と能楽者のコラボレーション・・・考えただけでゾクゾク・・・何が起こるかわからないエキサイティング感が満載 ^^
能と世界が出会う2日間、日本人として要チェック!!
6月29日(金)9:45pm〜Leon Michener + Noh「Space in Between」
詳細&チケット予約はこちら:
www.kingsplace.co.uk/whats-on/world/leon-michener-noh
その他のプログラムの詳細は下記で!!
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Noh Reimagined 2018
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Kings Placeのサイト&チケット予約はこちら:
www.kingsplace.co.uk/whats-on/noh-reimagined-2018
mu:artsのサイトはこちら:
noh.muarts.org.uk
******* プログラム ******
6月29日(金)
6pm – Noh Reimagined – Opening Talk(フリー・要予約)
7:30pm – The Sublime Illusions of Mugen Noh(完売)
9:45pm – Leon Michener + Noh
6月30日(土)
12pm – Noh Movement Workshop(完売)
2pm – Seminar – Noh Mask, Noh Movement
4pm – Talk and Presentation – Noh + Neurosience
6:30pm – Pre-concert talk – Cold Ensemble(フリー・要予約)
7:30pm – The Transformative Power of Noh