イギリス中学生に教えてもらったジェンダー流動性。の巻

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nemosouth


昨年2021年は、多様性について色々と考えさせられた年でした。いろんなバックグラウンドの人が共存している英国暮らしの中で、BLM運動やサッカーEURO2020決勝での事件に代表されるダイバーシティの受容、そして性の流動性=ジェンダー・フルイディティのトピックも印象に残っています。
(※BLM運動=人種差別抗議運のこと)

昨年末に公開された映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でも、主要キャラの中で白人だったのはスパイダーマンだけでティーン向け映画もどんどん変わってきていますね。スポンサーの都合もあるけど、ファン層の意識が変わったのでそれに追いつこうとしている感じです。

階級差別意識がなかなか変わらないので、企業はもっと広くアピールできて広告もしやすいジェンダー問題から手をつけている…という気もしますが(イジワルな見方かな?)。

先日、中学生と話していると「多様性とジェンダー・フルイディティは授業でいつも取り上げられていて、人種問題とLGBTQもよくテーマになるよ」とのこと。

絆創膏やファンデ、ストッキングの色も豊富になりました。

中学生といえばまだ若いし、性について知り始めたばかりかと思っていたのに「私はゲイ」「まだ決まっていない」「今はフルイド(流動的)」など、性自認についてオープンに話す子も多いそうです。

性別は、自分で選びます。

私が最近勉強中の美術教育コースでも、Zoom授業の始まりに画面の氏名欄のところに「自分の代名詞(プロナウン)」を記入することを勧められます。私の場合は女性で、性自認も女性なので「Nemo she/her」。これは「私の名前はネモで、女性として扱ってください」という意味なのです。

なんでこんなことをするかというと、授業中の討論で、日本語なら「〇〇さんが言っていたように…」で済むところが、英語の場合「彼の考えは…、彼女の意見は…」と、性別のある代名詞を使うことが多いため。

男性で性自認も男性なら「 ジョン he/him」となるし、生まれは男性だけど女性形で呼ばれたいなら「ジョン she/her」と書きます。

日本だと一人称を俺 · 僕 · 私 · 自分」といろいろ選べますが、この場合は自分で呼ばれたいジェンダーを選ぶということです。

1人なのに複数形なのはなんで?

では、男女どちらでもない場合、いわゆる「ジェンダーフルイド(性自認が流動的)」や「ノンバイナリー(どちらでもない、男女二元論にとらわれない)」「サードジェンダー(第三の性)」として扱われたい場合はどうなるのか?

この場合は「名前+they/them」と書くことになっています。

「them/them」って「彼ら」?えっ、複数形じゃないの?
と、最初は混乱したのですが、現在は英語でジェンダーフルイド、ノンバイナリーの人を指す場合はこれが定番。人気スターが自分はノンバイナリーだと公表し「私のことを指すときの代名詞には“they/them”を使ってほしい」とコメントしたことからこの使い方が定着しました。

先ほどお話しした中学生が今はまっているゲームでも、女子らしき主人公キャラが「she」ではなく「they」とノンバイナリーな呼び方で登場します。トレンディっすね。

国勢調査や病院で記入する用紙の性別欄も、いつの間にか「性別=男・女」から「生まれたときの性別=男・女」に表記が変わっています。
時代はどんどん変化している!

ではまた、サウスでお会いしましょう〜♪

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写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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