外国語映画ベスト100 に日本映画11本がランクイン

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先月末、BBCのウェブサイトで発表された「外国語映画の最高傑作100本」は、どんな作品が選ばれたのか、大いに気にせずにはいられないランキングでした。結論からいうと、国別の割合では、リュミエール兄弟がシネマを発明したフランスの映画が27本と最多。当然といえば当然? 次は中国映画の12本。日本映画もイタリア映画と肩を並べ11本。これ、けっこう誇れますよね?

それに何より、イタリアが生んだネオレアリズモの傑作、デシーカ監督の『自転車泥棒』を抑えて、世界のクロワサによる『七人の侍』が堂々1位に選ばれたことは(想定内だったとしても)、自慢していいかもしれません(ただし、あたくし的1位はほかの映画ですが)。しかも、3位に小津安二郎監督の『東京物語』、4位にまたもや黒澤明監督の『羅生門』と、日本映画オンパレード!

このランキングは英国内の投票ではなく、中南米、アフリカ、中東、アジアなど43か国の映画業界人や評論家、学者など209人が8月と9月にオンラインで投票した結果です。最も古い作品は16位に入った1927年のドイツ映画『メトロポリス』(フリッツ・ラング監督)で、47位の2007年に製作されたルーマニア映画『4か月、3週と2日』(クリスティアン・ムンジウ)が最も新しい作品でした。

じつは、米国人映画評論家に「無駄な骨折り」と難癖をつけられたランキングでしたが、一部公開された映画評論家による個人別ランキングは、マイナーな作品名も見られるもののたいてい共通しています。というわけで、20世紀の作品が大半を占めているということは、国がちがっても人生や人情の機微への共感は普遍的であって、時代が変わっても「名画」は色褪せない、ということのよう。

映画館で映画をとんと観なくなったばかりか、映画そのものを観ることが減り、Netflix やAmazon Primeなどが流す連続ドラマのビンジウォッチングに人生の(余暇の)多くを奪われつつある昨今、ランク入りした映画のタイトルを見ていると、映画が大好きだったころが懐かしく想いだされます。ロンドンには、素晴らしいインディペンデントシネマがあちこちにありましたから(or いまも?)。

かつては、フィンチリーのPhoenixやハムステッドのEveryman、キルバーンのTricycle、ICAなどの会員になってちょくちょく外国語映画を観てましたし、ヴィスコンティ監督の完全復刻版『山猫』(187分)をスクリーンで観たのもRiverside Studioでした。古い映画やアートシネマを好む「映画buff」を自称していたので、ランキングに知らない監督の名前を2、3発見し、悔しい気も(苦笑)。

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About Author

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して11年目に突入。

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