キリンの吐息:トキタアヤにZSLで会う

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あぶそる〜とロンドン/Absolute London」読者の皆様、いつもお読みいただきありがとうございます。実は私も数年前から「あぶそる〜とロンドン」の読者であります。もちろん今も変わらず、皆さんと同じく一読者、一サポーターです♡  今やキーをポチっ!と叩けば、自分が必要としている情報が一手に集まります。それは食事中でも、はたまたトイレでも、さらに異国の地にいてもです。どなたもひとつはお気に入りのウェブサイトがあるのでは? 共通する趣味、憧れる人、生き方、行ってみたい場所、毎回お腹を抱えて笑い転げながら読むブログなどなど。私がこのウェブサイトを知ったきっかけは、渡英直後のことになります。当時、私は日本語で発信する情報が欲しかった。それがこの「あぶそる〜とロンドン/Absolute London」でした。イギリスから発信する「生」の声は、新鮮で刺激的なものばかり。食、居、生活、芸術、建築、音楽、健康、環境、人などジャンルは様々。ウェブサイトを見る、それは私の生活の一部分となっていました。

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トキタアヤのウサギ穴で会いましょう
ある時「あぶそる〜とロンドン」のメニューバーにこんなタイトル名を見つけました。
ひとつ、カタカナで表記された名前。
ふたつ、不思議の国のアリスの世界を想像させるタイトル。
私はウサギ穴の世界を覗いてみたさに、キーをポチっ!と叩いてしまったのです…。

トキタアヤ
ロンドン在住のアーティスト。洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞タイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年にわたってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション(あぶそる〜とロンドン著者紹介より)

時は2016年3月28日へと遡ります。「分身の術」(←こちらをポチっ!と)このエッセイを読んだ時、が〜〜〜んって来たんです。冒頭の北ロンドンが情景として浮かび、イラストの瓜二つの双子が向かってくる。瞬間、シュッと左右に分かれ、目玉がグルンと回って、このお話は終わるのです。読んでいる途中から、エッセイを書いた彼女ではなく、なんとこの私がエッセイを書いた彼女と置き換わったからです。この気持ち分かっていただけるでしょうか、このイラストにシュッとなってグルンなんです。文字が体感となって蘇る、この感覚に私の心臓と脳は魅せられてしまいました。それから毎回のアップが楽しみでした。覗き見たいタイトル、独特の言葉のリズムや閃き、そして最後にイラストが語りかける余韻、いや〜もう実に心地よいんです。どのお話も大好きで何度も読み返すのです。

さてここまで心地よくなってしまった私が次に考えてしまったこと、それは彼女のプロフィール画像のダースベーダーの隠れた素顔でした。プロフィールに、当時ロンドン動物園で週に一度ボランティアにいそしむと書かれてありました。何を思ったのか、ロンドン動物園に行きたい、そして彼女に会いたい、その気持ちが膨らんで膨らんで、とうとうその計画を決行してしまったのです。(コレ、完全なストーカーやないか〜)
まず週一の曜日を知りうるために、彼女を知る友人を仲間に引き入れました。友人は出勤日、そしてその日の勤務場所をタイムテーブルにして事細かにメールで送ってくれました。(ありがとう!友よ〜)あとはロンドン動物園に向かうのみ。今思うと初対面にもかかわらずよくもやったな、やってしまったなと恥ずかしい思いでいっぱいです。でもその時はそうすることが私の使命みたいな感覚だったのです。自分のフラットから徒歩でロンドン動物園に向かいました。なぜか途中のセント・ジョンズ・ウッドのスターバックスで、コイン型のチョコレートを購入したのを覚えています。

12月には昼間の3時半が夕暮れ時になり、動物園は4時閉園になります(同じ金額を払うのですから動物園は夏時間に行った方が絶対いいです〜)← 2018/10/3「秋とスケートボードより」

2016年どんより雲の寒い12月12日。目指すは「Butterfly Paradise」。
シールドで仕切られた向こうの世界はトロピカルヘブンでエキゾチックでした。27度に保たれた環境で、東南アジア、中央及び南アメリカ、東アフリカの蝶が頭上を華麗に飛び回っています。

Scarlet mormon アカネアゲハ インドからオーストラリアにかけての地域に分布。

Kallima inachus コノハチョウ 翅(はね)に褐色の黒い筋があり、翅を閉じると枯れ葉そっくりになる。隠蔽擬態する代表的な昆虫の一つ。準絶滅危惧。沖縄本島を北限とし、台湾から東南アジアに広く分布。

Atlas moth アトラス・モス 世界最大級の蛾。広げるとおよそ30センチにもなる艶麗な翅を持つ。主に東南アジア、中国南部、マレーシア、タイ、インドに分布。

その中を進んでいくと、動物園の制服を身に纏った黒髪の女性を発見。彼女です!その時ようやく我に返ったのです。あなた、一体何を話すの? 人見知りなあなたは何をしようとしているの? と、頭の中を横切りました。おそらく彼女の名前をお呼びしたこと、いつも「ウサギ穴で会いましょう」を楽しみに読んでいることだけはお伝えしました。それからその後のことはよく覚えていません。彼女のエッセイを読んでいただくと、年齢様々なご友人が登場します。その時もご高齢のご婦人が、彼女とずっと楽しそうにお話をされていました。私はその横で、きっとここでしか見ることができないであろう蝶たちをiPhoneに収めながら、とてつもなく長い時間を過ごしたような記憶が残っています。だって初対面で蝶の館までやってくる日本人の女性をどう思っていらっしゃるか、そう思うと恥ずかしさが込み上げてきていてもたってもいられなかったからです。ご婦人との会話のタイミングを見計らい、私はさっき購入したスターバックスのコイン型のチョコレートを彼女に手渡してParadiseをさっさと飛び出しました。今までずっと感じていた自分の心地よさが恥ずかしさに変化して、なんともバツの悪い…笑。まして一枚のチョコレートまで…おぉ恥ずかし…(TT)そんな面持ちで私は一人、最後になぜかキリンの長い首を見て帰路に就きました。

Paradiseを慌てて出てきたため、動揺して肝心なステキなお顔が撮れていない。素敵なお顔をご覧になりたい方はこちらをクリック

Butterfly Paradise訪問から約3年6ヶ月が経ちました。その後も私の彼女のウェブサイト訪問は健在です。日本での生活を再スタートさせてから私がただ願い続けていたことは、彼女の本物の絵を毎日みて過ごせたらどんなに心地いいだろうということ。ある韓国ドラマで「願わないと生きていられない」という台詞がありました。だから願って願って願い倒してこの度夢叶いました。海を跨ぎ、空を超え、ロンドンから梅雨入りしたばかりの6月にトキタアヤさんの絵が届いたのです。この‘giraffe’をみるたび、2016年12月12日一人で訪れたロンドン動物園を思い出してなりません。日本国内ならオンライン注文で当日に配送される商品もあります。しかし遠い海の向こうでしか手に入らないものがあるのです。思い巡らせ決断し、その作品が海越え空超え、何事もなく無事にこの手に届くまで、そしてそれを手にしたときの喜びはひとしおです。これもまたニッポンで感じる英国には変わりありません。

キリンの吐息はこの世で一番いい匂いがするんだそうで、まつ毛は確か14センチもあると書かれておりました。←2017/1/8「キリンの吐息」より

 

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拝啓 トキタアヤさま
2017年1月8日「キリンの吐息」で書かれたエッセイのイラストをここニッポンでみて過ごしています。
2016年にこのキリンが急に足を止め、柵からゆらっと頭を出して、じっと見つめられたことがきっかけで作られたとのこと。もしかしたら私は同じキリンを同じ場所で見ていたのかもしれません。
実はまたもや次なる計画を密かに考えております。
2018年9月28日「気分はもうロカビリー」で書かれたエッセイには、近所のスタジオで歌の練習をされているとのこと。もしその歌声を皆さんの前で披露されるような日があるならば、この私をどうぞみんなの中から見つけ出してください。
これもまた願わなければ生きてゆけない、でございます。あぁ、本日は心乱れてしまって申し訳ございません。
(最後はトキタアヤ風に締めくくらせて頂きました。)  敬具

Vapor trail(飛行機雲) / Giraffe

 

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トキタ アヤ(時田 あや)
https://www.ayatokita.com
◉ユニークな動物版画をはじめ、独特なトキタアヤワールドの作品がeショップで入手可能となりました。ウェブサイトでチェックしてみてください。また動物が大好きなアヤさんはオーナー様のご依頼で深い愛情を注がれているペットのポートレイトも描いていらっしゃいます。英国のみならず、日本在住の方々からのご注文の作品が、無事に届いたとのご連絡を頂くたびにいつも大きな喜びを感じていらっしゃいます。ご希望の方がいらっしゃいましたらどうぞお問い合わせくださいませ。

 

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兵庫県伊丹市出身。東京都在住。主婦時々パートタイムジョブをこなす。子育て期をニューヨーク、ロンドンにて駐在生活を送る。思いつきのその日決めで行動する一匹オオカミ派。『成るように成る』をモットーに今世を生きる。水泳・ジョギング・登山・ウクレレ・映画・ライヴ鑑賞・奉仕活動と未知なる自分を今後も探求し続ける。Instagram: @n_amihey

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