茶間食に魅了されるアフタヌーン@HIGASHIYA man

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「ところであなたは洋菓子派?それとも和菓子派?」なんて聞かれることがあります。「私はどちらも大好きです」と、答えます。幾層にも重なる色鮮やかなクリームや生地、箇所によって様々な食感が味わえる洋菓子たち。キラキラ輝くその表情は見ているだけでうっとりするほどです。パティシエ、パティシエールなんていう響きも素敵ですよね。次に、和菓子とは日本の伝統的なお菓子の総称です。柔らかくてふくよかな(私のイメージです)手のひらの中で創り上げられていくその様は「息をのむ美しさ」としか言いようがありません。「美意識を味わう」これが私が持つ和菓子のイメージです。

和菓子には季節菓子があります。春の花見が過ぎ、一面青々と繁りだすと眩しい夏の到来です。しかし私たちが意識する夏の和菓子は「眩しさ」ではなく「涼」ではありませんか?  私は瑞々しい水羊羹が大好き。毎年初夏を迎えると、南青山の一角に佇む饅頭屋「HIGASHIYA man」さんを訪れます。お店の名前にある「man」とは饅頭の「まん」を意味します。お目当ては勿論、青竹水羊羹。なめらかな小豆の旨味と青竹香るこの時季だけの一品です。

南青山 HIGASHIYA man 饅頭屋

季節菓子:青竹水羊羹(販売期間 6月中旬から8月下旬まで)

「HIGASHIYA」さんが丸の内仲通りにもお店を展開されていると聞き、まだ冷たい2月の頃に行ってきました。丸の内といえばニッポンの陸の玄関口。多様な人々が集うビジネスの中心地、国際都市東京です。

ひしめき合うビル街に現る、現代的で洗練された路面店「HIGASHIYA man marunouchi」。ここ丸の内から発信する新たな世界観を持つ和菓子屋の登場です。

この世界を生み出したのは SIMPLICITY代表、緒方慎一郎氏。「現代における日本の文化の創造」というコンセプトのもと、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなど多岐にわたるデザイン活動を行っておられます。お店で取り扱っている茶器、酒器、菓子皿等の生活道具も独自のプロダクトブランド「Sゝゝ〔エス〕」で創られたものです。時代を超えても変わらない職人さんの技と、現代における日々の菓子を提案する和菓子屋が創り出した「和のアフタヌーンティー」を楽しむことにしましょう ♪ アフタヌーンティーは、丸の内と銀座のみでの取り扱いです。ご予約はウェブサイトからどうぞ。南青山は茶房はありませんので、アフタヌーンティーの取り扱いはありません。

暖簾をくぐった先の扉に手をかけたとき、中の店舗がガラス越しにはっきりと見えました。どっしりと身構えたガラスの扉一枚にこんなに重厚感を感じるとは意外にも驚きました。それは敷居を跨ぐその瞬間に緊張感と変わり、一歩踏み入れた天井高の空間で開放感へと変化しました。外と内との空間が大きな窓ガラスと一体化し、明るい光に包まれた売り場は現代における新しいスタイルの和菓子屋さんでした。

さて、アフタヌーンティーはどこでいただくのでしょう?
私が見る限り茶房らしきスペースは見られません。すると「お待ちしておりました。どうぞ、こちらへ」と。
扉からは見えない案内されたその先はカウンター8席ほどの茶房。そこは売り場とは全く違う異空間。天井の高さ、照明の輝き、そして売り場と同じはずの外との仕切りになっている窓ガラスさえも何かが違っているように感じます。茶事の主催者が客を招き、茶を出してもてなす為に造られた場所。イギリス式アフタヌーンティーとはまた違う心持ちで、まだ見たこともない新しい和のアフタヌーンティー「茶間食(さまじき)」が始まろうとしています。お茶二種と和菓子屋が供する料理をテーマにした間食と和菓子です。

厳かな雰囲気の中、お店の方の手によってお茶が淹れられます。その間、私は背筋を伸ばして心落ち着けます。まろやかな香りとともに「深蒸煎茶さえみどり」がやってきました。さわやかな緑色のお茶にホッと安心してひとくちいただくと、すーっと緊張感も和らぎました。甘味と渋みをはっきりと口の中で味わうことができます。

白磁、冷茶器、急須など現代における「生活道具の創造」に取り組む「 Sゝゝ〔エス〕」

「深蒸煎茶さえみどり」産地:鹿児島県大根占。三煎までいただける。

日本の伝統工芸の技術を用いたアフタヌーンティースタンド。こちらもプロダクトブランド「Sゝゝ〔エス〕」によるもの。銅のスタンドにセットされた気品ある杉の丸盆。和菓子のみならず、洋にも絶対似合うはず! また茶房にはお酒も取り揃えていらっしゃるそうです。いろんな愉しみを秘めた 和のアフタヌーンティー「茶間食」です。

 

一の盆 おこわ
お漬物を噛む音が響き渡り、また緊張感がカムバック (^^; これぞ究極の「和」(笑)実に愉しい!

おこわ。黒豆と大豆、もち米と混ぜたもの。塩少々。

二の盆 間食
「間食(まじき)」とは「小腹を満たすために摂取するもの。果物、おにぎりなどの栄養のあるもの中心で、三食で補い切れないエネルギーを補給する目的」を意味します。干した果実や自然感じる風味豊かな味わいは、五感で感じる最高の間食だと思います。

たまご焼き。とろりんとしてちぎれないやわらかさ。蒸しているのでプリンのよう。

ごま豆腐。すりごま、醤油、さとうで甘みをつけて。

棗バター。棗椰子の甘味と、香ばしい胡桃に、発酵バターを合わせたHIGASHIYA定番の一品。ひとくちではなく、ふたくちでじっくりとこの濃厚な味わいを堪能してほしい。

蜜と酸っぱさが絶妙なバランスのあんず。そば粉の生地を薄く焼き、蕎麦味噌を塗ってまるめたもの。

三の盆 和菓子いろいろ

「いり番茶」産地は京都。スモーキーで香ばしい。「京番茶」とも言われている。

丸の内限定のお菓子、シベリア。島根県産のコク深い卵を使用した生地に、大納言小豆のこし餡を挟んだもの。しっとりとした食感が広がる。

うぐいす餅。粒あんをやわらかい求肥生地で包み、うぐいす粉をまぶす。青大豆の香ばしい風味が感じられる。どのお菓子にも共通する「甘すぎない、ほどよい甘さ」がHIGASHIYAさんのお菓子の愉しみ。販売は2月のみ。

「菓子」はもともと「果子」と書く。なぜなら干した果実や木の実を食したのがはじまりだったからと「HIGASHIYA」さんのウェブサイトにあります。たくさん種類がある「ひと口果子」には日本の伝統色「萌葱(もえぎ)」や「榛摺(はりずり)」などの名前がついています。菓子で伝統色を味わう時間でもありました。

柚子香る羊羹。豆寒天。抹茶あんでくるまれたひと口果子。すっきりとしたいり番茶でいただきます。

日本の四季と豊かな大地に育まれた「果子」。製法の違いにより様々な味わいを見せる「日本茶」。「果子」と「日本茶」をいただく時間は、このうえない幸せの形ですね。
アフタヌーンティーでいただいた「深蒸煎茶さえみどり」の甘さと渋みがとても美味しかったので、大好きな友人へのギフトとして購入。私からの幸せの形のお裾分け。

産地、品種、製法の異なる茶葉を合わせた独自の合組を「合茶(ごうちゃ)」として提案。

美しさの意味が込められたパッケージ

 

最後になりましたが「HIGASHIYA man marunouchi」さんは 三菱UFJ信託銀行本店ビル1Fに位置しています。その三菱UFJ信託銀行さんのイメージキャラクターは、世界中の人々に愛されている英国のピーターラビット🇬🇧です。隣接する日本工業倶楽部会館ビルの一階にある信託博物館では、英国ナショナル・トラストに多大な貢献をした絵本ピーターラビットシリーズの作者、ビアトリクス・ポターの遺言や多彩な資料、絵本に登場する畑や池を再現したお庭も展示されています。「HIGASHIYA 」さんでアフタヌーンティーをした後は、ピーターラビットに会いにいく!

 

そしてもう一つ、こちらの美術館にもお立ち寄りください。丸の内へのお出かけコースはこれで決定ですね🇬🇧

テート美術館所蔵コンスタブル展が三菱一号館美術館で開催。日本では35年ぶりとなる回顧展。〜5/30(日)まで。

 

 

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公式サイト
オンラインショップ
Instagram

HIGASHIYA man Marunouchi
東京都千代田区丸の内1-4-5 三菱UFJ信託銀行本店ビル1F
Tel 03-6259-1148
営業時間 11:00-20:00(茶房ラストオーダー19:00)
日曜・祝日 11:00-18:00(茶房ラストオーダー17:00)無休

HIGASHIYA GINZA
東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル2F
売店Tel 03-3538-3230/茶房Tel 03-3538-3240
営業時間 11:00-19:00(茶房ラストオーダー18:00)無休

HIGASHIYA man
東京都港区南青山3-17-14
Tel 03-5414-3881
営業時間 11:00-19:00 無休

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兵庫県伊丹市出身。東京都在住。主婦時々パートタイムジョブをこなす。子育て期をニューヨーク、ロンドンにて駐在生活を送る。思いつきのその日決めで行動する一匹オオカミ派。『成るように成る』をモットーに今世を生きる。水泳・ジョギング・登山・ウクレレ・映画・ライヴ鑑賞・奉仕活動と未知なる自分を今後も探求し続ける。Instagram: @n_amihey

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