7月になると、夏が数日やってきます。普段涼しいせいもあるのでしょうが、冷房機器の少ないイギリスでは恐怖の数日です。
最近窓の開かないダブルデッカーが増えてきましたが、どうも運転手さんはまだよく空調の取り扱いをご存知ないようで、去年は暖房が入っているバスもありました。窓に囲まれたカンカン照りの車内で、発狂するとはこういうことなのかもしれないと歯を食いしばっておりました。
今イギリスは日の沈むのが遅い夏なので、夕方の5〜6時が最高気温になります。カンカン照りの時間帯に、犬の散歩をしている人が結構見られるので眉をひそめていたのですが、日陰を歩くとそれほど暑くないのに気がつきました。車の中に犬を閉じ込めたまま出かけるのはとんでもないこととされていますが、日中に散歩に行かないようにという話はあまり聞きません。日陰は太陽の動きに合わせて移動するので、地面の温度もすぐに下がるのでしょう。
でも日向は暑いです。魚焼き器の中にいるように暑いです。
地獄のように暑い日が3日ほど続いて、それまで美しく咲き誇っていた紫陽花は、街のあちこちで焼け焦げておりました。湿度の高い日本の暑さは、それにもまして気が遠くなるような酷さですが、紫陽花は焼け焦げません。
‘English weather is warm and sticky in the summer cool and wet in the winter.’
イギリス人の友人は、ここは湿度の高い国だと言います。他のヨーロッパの国々から来た友達も、イギリスは湿気ていて暮らしにくい時があると言います。
どっこい、洗濯物は室内干しでもあっという間に乾くし、雨に濡れた衣服も気がつくと乾いているのです。だから傘をささない人が多いのかもしれません。クリスプは出しっぱなしでもなかなか湿気ないし、おみやげで持って帰ってきたおせんべいの乾燥剤をつまみあげて、なんだなんだといぶかしげに眺めていた動物園のボランティアさん達。
イギリスの酷暑の数日は、日本の湿度のとてつもなさを思い返す時期でもあります。