大人たちが食べたがるお菓子

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usagi


「Steamed Puddingは今の大人たちが食べたがるのよ」

Steamed Puttingは、今の大人たちが子供だった頃に学校でデザートとしてかならず出たプディングだそうです。材料も小麦粉、バター、砂糖と全て同量で、それに卵を混ぜ好みでレモンやバニラエッセンスを加えて2時間ほど蒸しあげます。いただいたプディングは、砂糖がたっぷり入っているのになおもゴールデンシロップを加え、食べる時にカスタードクリームをたっぷりかける夢のように美味しいプディングでありました。イギリスには焼くのではなく蒸すプディングが多く、検索すると色んなプディングが出てきます。砂糖、卵、バターでけでなく、リンゴ、カランツ、ナッツにお酒も入った濃厚なクリスマスプディングは、8時間も蒸すのであります。特にクリスマスは大きな七面鳥やらポテトやらでオーブンがぎゅうぎゅう詰めになります。なので鍋にお湯をはって、プディングを蒸して用意するのでございます。
http://www.bbcgoodfood.com/recipes/1159/classic-christmas-pudding

わたくしは日本に住んでいた頃は甘いものに全く興味がありませんでした。間食にいただくものは、おせんべいのように塩気のあるものばかりで、和菓子であろうとケーキであろうと、とんと興味が湧かなかったものです。ところがイギリスに住むようになりまして、歯がとけるように甘いデザートをいただく機会が増えましたら、いつの間にか甘いものが大好きになっていたのでございます。おかげで日本に帰って日本の甘いものを口にしても、なんだか何を食べてもさっぱり甘みを感じません。どうやら日本にお住いの方と比べると、甘みの感覚がすっかりマヒしてしまったようなのです。日本のショッピングセンターで「奥さん、このケーキは美味しいですよ、砂糖があまり入っていないんですよ」などと店員の方に言われたら、ならば絶対買いませんわと、つい先を急いでしまうのでございます。

面白いことに、こちらの知り合いのほとんどの方々は甘いものを喜んで召し上がるのであります。ところがどういうわけか、日本のおみやげはしょっぱいものの方がウケが良いのでございます。大福やお饅頭のような餅やアンコは、どうもあまり喜ばれません。ケーキのようなものも、今ひとつ甘みが足りないようなのでございます。今のところ一番喜ばれているのは、揚げ餅とか揚げ煎餅。昔、堅焼きせんべいを子供達にあげたら、「なんでこんなに硬いものがかじれるの?」と不思議がられました。こちらの肉は、日本の豚コマとかロース肉のような薄切りはございませんので、塊の肉を噛むのはなかなかに力がいるものではないかと思うのですが、おせんべいのようなガリガリと歯ごたえのあるものは、そういえば存在しないのであります。なのでそれ以来、平たいしょうゆ味のものではなく、丸くてコロコロとした揚げ煎餅を持ち帰るようになりました。

あぁそういえば動物園のボランティアの方々が、袋の中の乾燥剤をいぶかしげにつまみ上げて、全く見当がつかないという顔をされておりました。イギリスは他のヨーロッパの国と比べると幾分湿度が高いようなのですが、日本と比べたらかなり乾燥しておりますので、乾燥剤というものはどんな食品にも使われておりません。日本は干し椎茸や切り干し大根、スルメや昆布のように干して長期に保存をするものが多いですが、こちらは酢や砂糖に漬けて保存するものがほとんどです。例えばクリスマスプディングは、数ヶ月前に生地を作ってボウルに入れ、グリースプルーフペーパーで封をして、クリスマスまで熟成させます。9月頃作る方が多いですが、1月からもう準備をする方もおいでのようです。やはりお砂糖がたくさん入っているから長持ちするのでしょう。

しつこいようですが、なぜイギリス人がケチャップやジャムを冷蔵庫に入れようとしないかが、だんだん分かってきたような気がいたします。

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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