ロイヤルメールの粋な配達人

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usagi


イギリスのRoyal Mailの郵便ポストは真ん中に、‘EIIR’ ‘GR’ ‘ER’ ‘VR’ と刻印してあって、これはエリザベス女王、ジョージ5世、ジョージ6世、エドワード7世、ヴィクトリア女王の統治している時代に作られたものであるという意味なのです。昔読み書きができたのは王室や貴族の方々くらいで、彼らが書いた手紙を配達する王室専用のメッセンジャーがおりました。ここからRoyal Mailと呼ばれるようになったのだそうでございます。

郵便ポストはイギリスでは一般にPost Boxと申しますが、日本でも昔は使われておりました円柱形のポストはPillar Boxという名称がございます。イギリスでは初めての切手が作り出されたのが1840年、Pillar Boxは1852年から設置されました。当初のPillar Boxは金色に塗られていたものもあったそうですが、多くはブロンズグリーンに塗られていたものが多かったそうです。しかしこの色は、それでなくてもスモッグが出ていて薄暗かったイギリスでは見づらかったので、1874年から10年かけて赤色がスタンダードの色になったのだそうでございます。日本はイギリスより郵便制度を1871年に導入したそうで、初期のポストは赤色ではなく黒で塗られていたのだそうです。ポストとは英語で「柱」。同時期に普及し始めた公衆便所との誤解を防ぐために、「郵便柱」から「郵便ポスト」と呼ばれるようになったとか、黒い郵便箱の「便」を見た通行人が、「垂便箱」と勘違いするとかで1901年に赤色に塗り替えられたんだとか。ビンとベンもなるほどでございますが、ユウとタレもこれは然り。日本人の漢字の使い方は面白うございます。

Royal Mailは例えば手紙は国内でしたら、ファーストクラスの切手を貼ると見事翌日に郵便物は配達され、セカンドクラスは3日で届きます。小包は重量はもちろんですが、ダメージがあったり行方不明になってしまったりした時に保証してもらえるギャランティをつければ結構高くなります。日本への国際小包になったら、それはそれは目が飛び出るほど高いです。これは最近になって知ったのですが、どういうわけだか△ロネ×ヤ◯トの国際宅配便の方がずっと安く済みます。たとえギャランティなどなくても、つい日本の宅配会社の方が信頼できるように思ってしまいますし、Small Parce (2キロ以内)で送れない重量になったらわたくしも宅配便を利用したいです。それに今はメールやメッセージがあるので、便箋に手紙を書いて封筒に入れるなどということはもうほとんどの方がしないのではないでしょうか。わたくしの80歳以上のご高齢のお友達でさえ、もっぱら電話かメールでご用を済まされております。

それでも日本のように国内の宅配便はまだ一般に普及していないので、イギリスの郵便はまだまだ需要がございます。イギリスのファーストクラスは、普通の手紙でしたら64ペンスで93%が翌日配達されるそうです。郵便配達の方が郵便物の入った赤いカバンを肩にかけたり、赤い手押し車を押しているのを見るのはなかなかよいものであります。たまにですが、真っ赤な郵便ポストに手紙を落とすのもなにやら嬉しく思えるものです。そういえば、イギリスは手紙に封をしなければ切手は貼らなくてもいいと聞いたことがあります。数年前に友達のお母さんからバースデーカードをいただいたのですが、その時はちゃんと封がしてあったのに切手が貼られていませんでした。まさかお母さんここまで来たんじゃないわよね、と後日友達に話したら「貼り忘れただけよ」と笑っていました。それでもちゃんと配達してくれたRoyal Mailに感謝です。

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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