かくかくしかじかの適応能力

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usagi


日本にしばらく帰省しておりまして、久しぶりにお友達に会ったり美味しいものを食べたり、大変楽しい時間を過ごさせていただきました。本当に日本というのはなんでも几帳面で、イギリスの何倍も細やかな神経があちらこちらに行き届いているのだなぁと帰るたびに思い知らされます。

実家の向かいに大変大きなマンションが建っているのでございますが、ちょっとご高齢の草取りの殿方が週に一度しゃがみこんで、マンション周りを丹念に手入れされていらっしゃいます。それもピンセット片手に、わたくしのような老眼鏡無しではとても見えないような小さい草を駆除されているではありませんか。そして乗車するたびに思わず唸ってしまうのですが、公共の乗り物(バス、電車、地下鉄など)の美しいこと。25年前に日本に滞在していたオーストラリアの男性が、「日本の電車は、おれんちよりよっぽどキレイだ。床に座って食事ができるよ」とおっしゃっておりましたが、私も全く同意見でございます。25年前に比べたらより一層何もかもが整備されているのでなおさらでしょう。

わたくしが日本を離れた時は、西日本で大雪が降っておりまして、とても寒い日でございました。ロンドンに着いてみると日中の気温は2℃で雪もちらついておりましたのに、なぜだかそれほど寒さは感じず、空気も日本よりも柔らかく感じました。わたくしは日本で公共の乗り物に乗ると、あっという間に寝落ちしてしまうのですが、ロンドンは道路も歩道もデコボコのつぎはぎでバスの揺れも激しく、チューブに乗っていても全く眠気を感じません。

ロンドンに戻った翌々日が月曜日で、いつものように動物園に行きました。飲料水用のポンプはペンギン園の入り口にあるのですが、水筒に水を詰めているとプールで鮮やかに泳いでいるペンギンが目に入りました。フンボルトペンギンは、夏でも冬でも変わることなくいつも気持ちよさそうに泳いでいます。動物園の動物たちはすべて動物園生まれで、野生の動物はおりません。なので動物たちは皆イギリスの気候に慣れております。彼らを本来生まれるはずだった国に連れて行ったら、当惑したり夏バテしたりするのかしらなどと、時差ボケ気味の頭を1日捻っておりました。

penguin

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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