どこに続く、飛行機雲。

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ロンドンはとても飛行機雲の出やすい空だと思います。ヨーロッパで一番忙しいヒースロー空港があるからでしょうか、空を飛び交う飛行機の数はすごいもので、あちらこちらで青い空に白い尾を引いているのです。飛行機雲というのは排気ガスではなく本当の雲なのだそうで、人間が作ることのできる唯一の雲なのだそうです。飛行機雲は、上空の大気が乾燥している時にはすぐに消えてしまい、雨が近い時は雲が残りやすいのだそうです。なるほど、ぐずつきがちなお天気の多いロンドンだからこそ、飛行機雲はよく見えるのですね。

わたくしは関東地方の出身ですが、毎年実家に帰って見上げる空は抜けるように高く、ロンドンよりも雲の位置が高く見えるのです。検索をしてみたら、北に行くほど雲の到達できる高度は下がり、雲のできる上限の高さは赤道付近は14000m、日本付近は12000m、北極南極は8000mなのだそうです。札幌の緯度は43度、ロンドンの緯度は51度ですからなるほど雲の位置も少しは違ってくるのかもしれませんね。ロンドンは1日のうちで四季を感じられると例えられるほど変化があることが多いです。雲の位置が低いから、標高の高い山のお天気に少しだけ似ているのでしょうか?

ヨーロッパの他の国から来た人たちは「ロンドンは湿気が多くて…」と話すことが少なくありませんが、日本に比べたらそれは爽やかなもので、何せ日本では必ずお菓子や海苔などにはいっている乾燥剤というものが存在いたしません。日本の乾燥剤には太字で『食べられません』と書いてあります。こんなものをあえて食べる人はいなかろうにとせせら笑っていたのですが、動物園にお土産のおせんべいを持って行ったら、「これはなんだ」と訝しげにつまみあげている様子を見て、思わず大きな声で「食べられません!!」と叫んだこともございます。

私事ですが、7月8日からロンドンで個展が始まりました。この飛行機雲の作品をいの一番にお買い上げいただきました。この作品は自分でも特に気に入っているものなので、それはそれは嬉しゅうございました。

Jet

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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