「俺は一人っ子と末っ子が大っ嫌い。」
「でも一人っ子は結構インディペンデントが早くできるからまぁいいかなって最近思うようになったんだけど、末っ子は今でも大っ嫌い。」
彼は五人兄弟姉妹だそうで、一番年上ではないけれど絶対末っ子ではありません。
「末っ子は上が何でもやってくれたから、誰かがやってくれるものと信じてるんだよな。で、かまってあげなかったりやってあげなかったら、あの子はかわいそうって相手に罪悪感を感じさせるのが得意なんだよ。始末が悪い。」
もちろん私の想像にすぎませんが、彼は自分の兄弟姉妹の末っ子によっぽど手を焼いたのではないでしょうか。まぁ確かに自分の周りを見渡すと、手っ取り早いのが自分の母親が7人兄弟姉妹で、私の母はど真ん中。鬼のように強いです。一番下は男なのですが、人に甘ったれるというよりはえらくおしゃべりであります。楽しいおしゃべりならばいいのだけど、自分のことと自分の哲学を立て板に水のごとく蕩々と喋り続けるので、私は一緒にいるのが苦手です。一番上は早くに亡くなったしっかり者のお兄ちゃんだったのですが、一番末っ子の弟と比べると、爪の垢ほども似ていません。確かに同じ家族の中で育っても、見事に性格は異なるようでございます。
イギリス人の友人は長男で、年子の妹が一人弟が二人います。彼は一見しっかりしているようなのですが、実はけっこう恐がりで、小さい頃から自分が一人っ子だったらどんなにかよかったのにと思っていたそうです。すぐ下の妹はお兄ちゃんよりも実は頼りがいがありそうなのですが、実は誰よりも一番私が感心するのは一番下の弟です。彼はとても無口で自分のことを話したことはほとんどありません。あまり豊かな暮らしをしていないので、’Church mouse’とお兄ちゃん達はからかい半分に呼ぶのです。でもそんな彼は誰かが困ったときは「6000ポンドくらいだったらなんとかなるよ」と、小さい声で真っ先に助けを申し出るのです。一件恥ずかしがり屋のちょっと変わった人ですが、私は彼に会うたびに胸の中がぽっと暖かくなります。
たびたびここでも書いているのですが、友人の猫Thomasは甘ったれで、もちろん猫に長男も末っ子もありませんけれど、なんだか一番下の弟猫のイメージが強い猫です。実はどうすれば愛されるのかを熟知していて、実は私はなめられているのかなと思うことがたびたびあるのですが、猫のイラストを描くときは気がつくといつもThomasを描いています。