英国スーパーマーケット ベスト5

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お土産探し、カルチャー探索、ピープル・ウォッチングの全部を楽しめるとっておきの場所、それがスーパーマーケットだ。階級社会と言われるイギリスだけに、ロンドナーたちが通うスーパーにもそれぞれカラーがある。王室御用達スーパーから価格破壊スーパーまで、イギリスのスーパーマーケットを大解剖。

 

1. Waitrose ウェイトローズ

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ロゴの隣に王室御用達のロイヤル・ワラントが燦然と輝く英国きっての高級スーパー。商品セレクトは日本のデパ地下並みのクオリティとバラエティを誇り、食にこだわりのあるロウアーミドルからアッパークラス、日本人駐在員家庭、階級に関係のない外国籍の永住者まで幅広い客層だ。しかしながらさらなる顧客獲得のため「ウェイトローズは高い」という庶民の認識を覆すため、庶民ブランドとして知られるテスコを比較対象に持ち出し、「テスコ・プライス・マッチ」(「テスコと同じ価格だよん」)という文字を商品タグに入れるアバンギャルドな戦略にはテスコもびっくり。調理済み商品の開発には三つ星レストランを維持するセレブ・シェフ、ヘストン・ブルメンタールさんを起用。チャールズ皇太子創設のオーガニック・ブランド、ダッチー・オリジナルの商品のほか、UKを問わずヨーロッパ各地から一流ブランドの菓子類やお茶、ジャム類を多数扱っているので日本へのお土産探しにも最適。アロマやスキンケア、コスメ商品はナチュラル系ブランドのセレクションが秀逸だ。母体がジョン・ルイスというデパートだけに、ワインもスーパーとは思えない充実のセレクション。ちなみにウェイトローズの野菜がスーパーの中では「最も信用できる」とは、多くの在英邦人たちの談。めくるめく商品棚をチェックするだけでいたずらに時間が過ぎてしまうウェイトローズは、セントラル地区ではオックスフォード・ストリートのジョン・ルイス地下にあるほか、トッテナム・コート・ロード沿い他に簡易版が登場している。顧客サービスの良さもピカ一

 

2. Marks & Spencer  マークス&スペンサー

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見目麗しい調理済み商品やパーティー・グッズなどで独身貴族や裕福な家庭の絶大な支持を得ている高級路線のスーパー。イギリス人からは「エム・アンド・エス」、在英邦人からは「マークス」の愛称で親しまれる当社ではほぼ9割がプライベート・ブランドであり、食料品だけでなく衣料や家庭用品も扱う総合デパートとしてイギリス生活になくてはならない存在となっている。調理済みのデリ製品への力の入れ方は尋常ではなく、英国風ロースト、イタリアンからインディアン、スパニッシュ、中華、中東にいたるまでありとあらゆるバラエティを取り揃え、あれもこれもと試してみたくなる実験心を刺激するのが作戦か。ただしM&Sの生鮮食料品は美しすぎて信用ならないと思う在英邦人は多し。クリスマスやイースター時期など季節に合わせてチョコレートやビスケットなどが限定パッケージで出回るのでギフトやお土産にぴったり(ロイヤル・ベビー誕生の際に出た記念パッケージも将来は値が上がるかも!?)。食料品は決して安くはないが、衣料は品質もそこそこで比較的リーズナブルかつデザインの種類も多いので、特にオフィス着を求めるOLたちや、ちょっとしたお洒落着を物色する主婦たちの御用達に。サイズも豊富に取り揃えているので日本の両親へのプレゼント探しに意外と重宝したり(笑)。マーブル・アーチにある本店のほか、オックスフォード・ストリート沿いにある大型店はデパートとして、また街中で見かける「M&S Simply Food」という簡易版はコンビニとして利用価値が高い。

 

3. Sainsbury’s セインズベリーズ

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ホワイトカラー家庭などイギリスの平均的な庶民が通う大型スーパー・チェーン、セインズベリーズは、業績不振を打開すべく1998年にロゴを改定し、2000年からは国民的セレブ・シェフ、ジェイミー・オリバーさんを広告マーケティング・キャラクターに起用、カジュアルで親しみやすく、かつ品質にこだわりありというイメージを作り出すことに成功した。食料品の鮮度のよさをアピールし、ジェイミーさんによるヘルシーなレシピ普及にも一役買ったが、所詮は巨大スーパーとは相容れない信念を持つジェイミーさんと不協和音を奏でた末に、2011年に契約終了。安さで及ばないアスダに業界2位の座を譲って現在業界3位。とはいえ生活必需品を対象に約700点を揃える「Basics」シリーズでは価格競争にチャレンジ、クオリティを求める顧客には「Taste the Difference」シリーズや「SO Organic」シリーズをぶつけて健闘している。また衣料や家庭用品、大型家具をリーズナブルな価格で扱って人気。ロイヤリティ・カードとしては他業界との提携で格段に加盟店の多いネクター・カードのメンバーでもあり、さらにロイズ銀行とのパートナーシップでオンライン銀行をスーパーで初めて運営するなど、多角的な事業展開が特徴である。セントラル地区ではホルボーン駅前、トッテナム・コート・ロードに大型店を構え、「Sainsbury’s Local」という簡易版も各地に展開中。

 

4. Tesco  テスコ

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目下のところイギリス最大規模、業界一位のモンマス・スーパー・チェーン。「every little helps」というキャッチフレーズが売りの庶民的な価格設定でマーケット・シェアを世界へ向けて急速に拡大しつつある。当店の戦略は「真剣価格勝負」。生活必需商品について、お買い物総額が他店よりも安くない場合はバウチャーでキャッシュバックしますというダイレクトな姿勢でライバルのセインズベリーズやアスダ、モリソンズに対抗している。確かに買い物かごを下げてレジに行くと、ウェイトローズの場合は「思ったよりも高かった・・・」と思うことが多いが、テスコの場合は同じようなものを買っているはずなのに「思ったよりも安かった 😀 」となることもしばしば。低価格帯の「Value」シリーズ、品質重視の「Finest」シリーズを展開して幅広い顧客層へのアピールに励んでいる。郊外型の大型店のほかに、ロンドン中心部でよく見かける「Tesco Metro」、コンビニのようなミニチュア版の「Tesco Express」、少し大きめの「Tesco Extra」など、店舗形態も多彩。「Express」は24時間営業とはいかないものの、たいてい朝7時から夜11時まで営業しているので忘れ物やちょっとした薬を買うのに便利。テスコ・メトロの大型店がピカデリー・サーカスのど真ん中にあるほか、各地にエクスプレス店を展開中。

 

5. Asda アズダ /  Morrisons モリソンズ

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アズダとモリソンズはともに、「安さ」を売りにして低所得者層や節約派家庭の支持を得ている業界第2位、および4位のスーパー・チェーンだが、アズダにいたっては業界紙調査で14年連続「再低価格スーパーマーケット」の座を守り抜いた過去を持つ廉価の強者。アズダの「Smart Price」シリーズ、モリソンズの「M Savers」などのエコノミー・シリーズで生活必需品を買い続ければ、びっくりするほど生活費を節約できること請け合いだ(ただしコレステロール値は保証の限りではない)。ちなみに同シリーズのお菓子類が日本人の口に合うかどうかは不明。同社ブランド品よりも定評ある他社ブランド品をこれらのスーパーで買うと賢い買い物ができそう。ちなみに野菜や肉魚など生鮮食品は鮮度の高いものを多種類扱っており、またアズダの調理済み製品「Extra Special」シリーズはなかなかイケるとの情報。また米小売大手ウォルマート傘下であるアズダでは「George」という洋服ブランドを展開しており、こちらは可愛らしいデザインのものがリーズナブルなお値段で入手可能とあって、子供が小さい大家族などにウケている模様。一方、モリソンズでは「Nutmeg」という子供服ブランドで勝負。両店ともに郊外型のロケーション展開で、北寄りのカムデン・タウンやホロウェイ・ロード(モリソンズ)、南寄りではエレファント&カッスルなどソーン2エリアの住宅街に大型店舗を展開中

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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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