008 | 食品のチョイス #2 モダン・ファーミング

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世界大戦あたりを境目に、大量生産型の加工食品が各種揃うようになりました。 前号でも少し触れましたが、同時に酪農業のスタイルも大量生産型へと大きく変わり、それに伴って薬品の使用による汚染が日々広がっています。また、GMでない野菜やくだものでも、かなり品種改良されているものに置き換えられ、小麦をはじめ多くの食物が、100年前の人たちが食べていたものとは、成分的にも遺伝子的にも異なるものになっているということは、あまり知られていないようです。

現代の野菜やくだもの

個人規模で酪農業を営む人たちにとって、大量生産型の市場からの圧力は避けがたいもの。多くの農家は、従来の方法から離れ、品種改良された植物の栽培に加え、現在問題となっている「ラウンドアップ」など、各種の農薬を大量に使っています。自然から離れた都会では、味や香りが薄くても、形が揃ってきれいに見える野菜やくだものの方が売れるからという理由もあります。これらの野菜やくだものに使われている農薬は、土壌を痩せたものにするだけでなく、植物そのものが持っている防御システムまでブロックします。その結果、早く育ち、見た目がきれいなものになりますが、オーガニックのものと比べて、味や香りは薄く、栄養素や抗酸化作用の低いものになってしまうのです(1)。もちろん、農薬による健康へのダメージも大いに気になるのですが、 それ以前に何かが間違っていると思いませんか?

また、シーズン外の食べ物が簡単に手に入る昨今、環境のためには遠くから空輸されてくるものを、できるだけ避けたいところ。人間のからだは、特に季節など、自然とシンクロするようにできているので、旬のものを食べる方が健康にもいいと思います。可能な限り、ローカルで作られた、低農薬で旬のものを選ぶようにしましょう。

見かけがよく渋みが少ない、現代のリンゴ。

見かけがよく渋みが少ない、現代のリンゴ。

ラウンドアップって?

ラウンドアップは、アメリカの大手バイオテック企業モンサントが開発し、世界中で最もよく使われている除草剤。主要成分に、グライフォセイト(Glyphosate)という薬品が含まれています。身近なところでは、その辺の公園や植え込みに振りまかれているかもしれません。実際にそれが起きているため、2014年にハックニー在住のファッションデザイナー、キャスリン・ハムネットが、ハックニー・カウンシルを相手にラウンドアップの使用を止めるよう、署名を集めて話題になりました。それをきっかけに、ラウンドアップのことを知った人も少なくないのでは? 同カウンシルのウェブサイトには、未だにグライフォセイトは安全だと(古い情報を元に)説明しているページがあるものの、昨年よりテスト段階でその他の方法を取り入れるなどしている模様。今年春のアップデートによると「効果的で予算的にも可能な代用品があれば、前向きに検討する」とコメント(2)。かなり時間がかかっていますが、希望が持てそう? ちなみに、イギリス各地で同じような動きがあり、すでに代用品への切り替えに踏み切っているカウンシルもあるようです。

グライフォセイトは、WHOが昨年3月に2Aというかなり可能性の高いカテゴリーで、発ガンの可能性を認めましたが (3)、現在でも世界中で(GMでない植物を含め)、小麦などには栽培時と収穫時に大量が使用されています。昨年夏に出たレポートによると、イギリスでは(2013年の時点で)、過去20年のうちにグライフォセイトの使用量が4倍になり、イギリス市場に出回るパンのうち30%近くから、グライフォセイトが検出されているとのこと(4)。つい最近発表されたポルトガルでの調査では、こどもを含むボランティア26名(うち22人は都市在住)の尿サンプル全部からグライフォセイトが検出されており、昨年ドイツで3千人を対象に行われた同様のテスト最高値を、3倍上回る結果となっています。この結果をもとに計算すると、最高0.1ng/L(1リットルにつき0.1ナノミリグラム)までが安全とされている水道水中のグライフォセイト量が、最高許容値の260倍以上になると指摘しています(5)。また、スリランカでは、米畑にグライフォセイトを使用していましたが、飲料水の井戸水にも流れ込んだため、北部ですでに約40万人が腎臓病を患い、腎臓疾患による死亡者が年間約2万人にものぼりました。そのため、スリランカは、昨年国を挙げてグライフォセイトの使用禁止に至っています(6)。

これらは、現在世界中で起きていることのほんの一部。ここでレポートしたいことは、山ほどあります。そんな中、今月21日に「反モンサント」のデモが、日本やイギリスも含め世界各地で行われました。特定の一社に対して、世界規模でデモが起きる理由は、おわかりですよね?

一般消費者側には、あまり選択の余地がないと思われる領域かもしれません。しかしこの現象は、みんなが「汚染されている商品を買う(/サポートする)」ためでもあり、少なくとも消費者側にも責任があるのでは? 個人レベルでできることは、環境や自然の生態系保護に関与する企業やその商品をサポートするようにして、モンサントのみならず、環境や生態系の破壊に関与している企業がらみの商品購入を、可能な限り避けることです。事実が把握できなければ、実行できません。一般消費者層にマーケティング目的の情報が多く流れ込んでくるのと、企業や政府またインダストリー間での利害関係が絡むため、何が問題なのかがすぐわかっても、掘り下げた情報の収集となると結構大変です。わたしはアクティビストではありませんが、健康のための「ホリスティック・アプローチ」が仕事上のキーワードであるため、特に食べ物や環境に関することは外せないトピック。ついつい熱が入ります…。(苦笑)

前号で紹介した肉・乳製品・鶏卵などの動物性の食べ物については、大手スーパーWaitroseのことばを借りると「もしGMOが気になるという場合は、オーガニックならGMOフリーです」らしいです(7)。自分も含め、すべてオーガニックというわけにいかない人が大半だと思います。特に外食が難しくなります。動物性のものを食べる人は、まず肉や乳製品を使った食べ物の摂取を控えめにしましょう。そして野菜やくだものは、下表の赤色欄にリストされているものをオーガニックするだけでも、からだへの負担が減ると思います。以下は、毎年更新されるEWG(アメリカ)の情報ですが、イギリスでもさほど変わらないので、ご参考までに。(それぞれ、危険度/安全度の高いもの順)

参照: https://www.ewg.org/foodnews/list.php (Accessed: 17/04/2016)

参照: https://www.ewg.org/foodnews/list.php (Accessed: 17/04/2016)

安全な食べ物って…?

いろいろと便利なものに溢れていますが、できれば自分でスクラッチから調理するようにして、加工食品を避けるのが一番です。ショッピングの際には、食品ラベルをよく見て、原材料をチェックしましょう。安全度は上がるものの、「Whole FoodsやPlanet Organicで買い物するから大丈夫」ということにはならないのです。ラベルのチェックをすると、いろんな添加物が使われていることに気づきます。低価格の商品には、必ず理由があります。原材料に答えが見つかると思います。各自の予算と相談しながら、健康への投資と思って、できるだけ量よりも質を選ぶようにしましょう。低予算派でも、日頃からこまめに値段のチェックをして、保存できるものなどは、少し高めでもいいものをセール時にまとめて買うなどすればいいと思います。生ものの場合でも、まとめ買いしてすぐ調理したものを冷凍するなど、打つ手はあるはず。

ということで、 次号では「ラベルのチェックなんて、したことがない」という人のために、気をつけたい食品添加物について取りあげます。

 

参照:

  1. Barański, et al. (2014). ‘Higher antioxidant and lower cadmium concentrations and lower incidence of pesticide residues in organically grown crops: a systematic literature review and meta-analyses’. British Journal of Nutrition (2014), 112, 794–811. doi:10.1017/S0007114514001366
  2. Altheer, D. (2016). ‘Let us spray, but in a safe way, says Hackney (updated)’. Loving Dalston. [Online] Available at: http://lovingdalston.co.uk/2015/12/let-us-spray-but-in-a-safe-way-says (Accessed: 18/05/2016)
  3. International Agency for Research on Cancer/WHO. (2015). Evaluation of five organophosphate insecticides and herbicides. IARC Monographs Volume 112.
  4. Melchett, P. (2015). Glyphosate Scientific Briefing – Glyphosate in our bread. [Soil Association presentation note].
  5. The Portuguese No GMO Coalition. (2016). Tests made for the first time reveal situation out of control, GLYPHOSATE: THE HERBICIDE CONTAMINATING PORTUGAL. Press Release.
  6. Heyes JD. (2015). Sri Lanka’s President bans Glyphosate Nationwide to Protect the health of the People. Global research. [Online] Available at: http://www.globalresearch.ca/sri-lankas-president-bans-glyphosate-nationwide-to-protect-the-health-of-the-people/5454581 (Accessed: 15/05/2016)
  7. Waitrose. (2016). Genetically modified foods. [Online] Available at: http://www.waitrose.com/home/inspiration/about_waitrose/the_waitrose_way/gm.html (Accessed: 02/05/2016)
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About Author

徳永 ゆり子

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。京都で8年、ロンドンで7年間グラフィック・デザイナーとして働いたのち、2004年に補完・代替療法の世界に入る。CAM(コンプリメンタリー/オルタナティブ・メディスン)プラクティショナー。CThA、BANT正規会員。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックを拠点に、ロンドン内で活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

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