
あっという間に11月も半ばとなり、今年も残りわずかとなってきました…。みなさんは、その後も継続して意識的な選択を基本に健康的にお過ごしでしょうか?前号のアップからかなりの時間が経ってしまいましたが、前回とも関連する内容で、今回は誰もが何らかの形で体験している無人化や、この先に予定されている生活環境について取り上げます。
着々と進む無人化とAIの導入
次々と新たなテクノロジーが生活環境に取り入れられ、より快適に生活できるのは素晴らしいことですが、ポジティブに受け止め難いこともたくさんあります。例えば、わたしたちの生活環境が、どんどんAIによるデジタル制御の管理に切り替わり始めていることです(1,2)。アジェンダ2030などのいわゆる「サステイナブル」計画によると、パワー・グリッド内の一般市民が各自のデジタルタグでAIに管理されるようになるため、個人の意思による選択は制限されるかなくなる見込みです。例えば、フリーレンジの養鶏所にわざと狐を送り込んで、危ないから鶏たちを檻の中に入れるという状況と似ていると思います。人の仕事が徐々に機械やAI制御のシステムに入れ替っていることとも、気がかりです。これらの多くは、存在しないものの(3,4)感染防止を口実に、心理作戦でロックダウン中に人との接触を避けるよう誘導して以来、大きく前進しています。セルフのレジをはじめ、タッチパネルによる飲食店のオーダーや、コンタクトレスの支払い、企業や政府機関への問合せ、また各種手続きの無人化など、既にあちこちで何かしらの「無人化」や「デジタル化」が確実に進んでいるのは、誰の目にも顕著ででしょう。
ちなみに、買い物の支払いなど、身近なところでの無人化が進むなか、医療や法のセクターでもAIとの入れ替えに向けての準備が進んでいるようです。医師と弁護士の仕事内容は全く別物とはいえ、両者とも判断をAIに委ねる方向で進行中らしいので、どの程度をAIに委ねるのかが気になるところです。
AIは有効に使い、使っても使われないように
特にAIは、みなさんもご存知のように、ここ数年ピッチを上げてありとあらゆるエリアに浸透中です。決してネガティブに捉えるつもりはありませんが、その進行方向には、便利さの裏に深刻な問題が見え隠れしています。例えば、現在チャットボット(Chatbot:テキストや会話ベースのAI)とのインタラクションにより精神異常に陥る人が増加中で、アメリカでは複数のティーンが自殺に至っていることも報告されています(5)。今までに存在しなかったこの現象は、「AIサイコーシス(AI psychosis)」や「チャットボット・サイコーシス(Chatbot psychosis)」と呼ばれ、病気の診断としては認識されていませんが、新たな項目として精神科医のチェック・リストに加わっているようです。自分たちははもちろん、特にお子さまにはご注意を。AIにまつわる話には、滑稽でも笑うに笑えないような話もあります。既婚者やパートナーのいる人たちが、相手がAIなら浮気でも問題にはならないという発想で、AIを彼氏や彼女にして抜けられなくなっていることです。そのため、この先離婚率は上がることが見込まれているいとか…。とあるインタビューでこの現象ついて知ったのですが(うっかり参照リンクを記録し忘れたため、ご興味のある方は検索してみてください)、調べ物やクリエイティブ・ワークなどと違い、チャットボットとの個人的な会話には依存性や中毒性もあるようなので、利点があれば有効に使って、犠牲者にならないように注意する必要があるでしょう。

取り憑かれないようにご注意を。
また、医療の領域では、システム自体がリモートのAI制御へと大きくシフト中なため、医学大学の授業や試験時ではAIの使用が課せられ、それに関する調査文献も出版されています(6,7)。過去のデータに欠けることもあり、調査の内容や結果には開きがあるようですが、AIは事実関係の確認やデータチェックに有効でも、その他は自力でさらなる知識の蓄積や判断力に磨きをかけることが必要なのでは?と思わされました。
環境や食品汚染なども、もちろん脳の健康に悪影響を及ぼしますが(8,9,10)、AIの導入で一定のパターンでしか脳を使わなくなると、脳神経の退化によって思考力を失い、IQはさらに低下するのではないでしょうか。
無人化やデジタル化に付随すること
最も身近な無人化の一例に、スーパーマーケットやその他リテイル系のセルフサービスの支払い機が挙げられます。わたしが普段買い物に行くスーパーでは、数年前に機械と有人レジの比率が反転し、その後しばらく3つだけ残っていた有人レジは、とうとう去年末に1つだけとなってしまいました。しかも、最近ではそこに誰もいないことの方が多くなっているような気がします。(誰もいない場合には、タバコのキオスクで支払いしています。苦笑)ただし、スーパーの買い物もオンラインでオーダーする人が増えているようで、先日、かつてレジにいた人が、オーダーされた商品を店舗ピックアップ用に袋詰めしているのを見かけました。まだ勤務していることがわかり、少し安心しました。
スーパー関連では、近所に某外資系スーパーの新店舗が最近オープンしたことも、ここに加えておきます。外から見た限りでは、支払いエリアは全て機械。もちろんカード払いのみなので、この先AIが個人を採点するための、カーボン・クレジット・スコア対応だと推測しています。このお店で買い物することはないと思います。関連して、(個人的にはまだ見かけていませんが)大手スーパーのいくつかでは、商品価格表示のデジタル化をパイロット的に進めているようです。瞬時に商品の値段変更ができるため、将来的に購買者のカーボン・クレジットやデジタルID情報に基づく個人別の値段設定となる可能性が懸念されています(11)。
買い物の環境は、このところ大手スーパーを先頭に大きく変化し始めています。可能な限り詳細情報の収集に努めますが、現段階では、無人化を進めている大手スーパーからは離れ、多少の不便がつきまとっても、全面的に個人商店や直接的に農家を支える方向に向かうのが、この先自分たちのサポートとなる最もエシカルな選択ではないかと思われます。(わたしはまだミックスの状態ですが、コロナ以来、エシカル・スコアのかなり低い最寄りの大手スーパーから、徒歩約30分のところにあってもスコア的にましなスーパーに切り替え、ファーマーズ・マーケットや近所の個人商店などを加えながら徐々にシフト中です。可能な人は、オーガニック・ベジボックスや農家からの宅配等もオプションに入れるとより安全だと思います。)
レジの無人化によるイギリス国内の人員削減(または、人数に相当する勤務時間削減)の総数は、かつて全てが有人レジだった頃と比べて、現在どれくらいなのでしょう。この動きは、機械化やAI導入を取り入れている全てのセクターに共通するはず。先日、イギリスではUberが来年ドライバーレスのタクシー導入を予定しているという記事も見かけました(12)。タクシー業界も、ドライバーレスで無人化なんですね。これらは、スローモーション的に進行中なので短期間では大きな変化として気づかないかもしれませんが、人の仕事は減っています。
あなたは何を選びますか?
ちなみに、AIが管理する生活環境への移行は、突然にしてこの数年間のうちに起きていることではありません。専門家ではないので、大雑把なことしかわかりませんが、最低でも過去30年程の間に着々と準備を進め(13)、ワイヤレス・テクノロジー、スマートフォンや各種の「スマート」機器とそのテクノロジー(14)、バイオバンキング(15)、人体や動植物とAIの融合(16)、人体がアンテナとなるワイヤレス・ネットワーク(17)も含め、全てをつなげる巨大なネットワーク・システムが、可能なもの全てをネット上で管理するのだと理解しています(18,19)。ただし、テクノロジーの導入が先行しているようで、これらに必要なスタンダードの規格・規約設定が遅れ気味なようです。さらには、セキュリティ面(20,21)、プライバシーや倫理面での大きな問題も指摘されています(22)。現在の状況は、コロナと同様に心理誘導法を取り入れ、みんなの反応を見ながら、既にできあがっていることを徐々に表面化する段階のような気がします。準備は完了しているので、基本的に回避や後戻りのオプションはありません。そのため、人としてのモラル尊重、人権の維持や選択の自由を望む人たちにとっては、どうやってこの状況を乗り切るかということが最大の課題となっているようです。進行を遅らせるだけでも小さな違いを作るかもしれないので、個人的には極力デジタルのオプションを選ばないようにしています。また、買い物の際にはカード払いでも多少時間がかかりそうな時でも有人のレジを選び、可能な時には現金で支払うようにしています。これは誰にでもできることですが、周りを見渡すと実行している人はほとんどいません。一般市民として、自分たちを守りたいという意識はないのでしょうか。無意識または無関心なのか、もう手遅れだと諦めているのかはわかりませんが、人が人らしく生活できる環境を求める人は希少だと判断せざるを得ない状況です。
人のために人がいる環境
数ヶ月間に遡りますが、うれしく思うと同時に、改めて自分たちのいる現在地点について考えさせられるようなことが起きました。実はそれまでに次の記事(無人化ではない内容)を準備中だったのですが、前述の普段買い物に行く某スーパーで、些細ながらも予期せぬことがあって内容を変更するに至った次第です。
その日も、通常どおり買い物の支払いに有人レジを選びました。時折見かけるレジの女性が、その日に買ったものの一つだったチェリーのパックをスキャンしながら「あなたはチェリー好き?これ国産よね」と話しかけてきたので、「もちろん!これは今シーズンの最後かな」と答えたら、「今年のイングリッシュ・プラムはもう食べた?」と聞かれて「まだだけど、時期なの?」と言うと、「そうよ、入ってきているからぜひ試して」と言いながら、内線電話の受話を取って同僚に「イングリッシュ・プラム持ってきて」とリクエストしていました。でも支払いを済ませたので去ろうとしたら「ちょっと待って!」と呼び止められ「今プラムが来るから」とのこと。スタッフがプラムのパックを持ってレジまでやって来たので、お金を払おうとしたら、素早く「It’s on us」と記されたレシートをプリントして、そのパックと一緒に手渡してくれたのです。驚きのショックで一瞬頭が白紙になりましたが、後ろには次のお客さんが並んでいたので、手短にお礼を言ってその場を去りました。

その日買ったチェリーと、もらったプラム。
それから2週間後くらいに、彼女のいる時間帯に買い物することがあり、改めてプラムのお礼と美味しくただいたことを伝えると、「よかったわね!」とにっこりされました。ロイヤルティ・カードを持ってるわけでもないのに、なぜプラムをくれたのかは謎です。でも敢えて理由は聞かずに、不思議な「ラッキー・デー」だったということにしています。もちろんそれ以来、彼女がレジにいれば挨拶程度に声をかけています。
季節もののイングリッシュ・プラムはジューシーで美味。ありがたくいただきましたが、それよりも、人とのコミュニケーションがいかに大切なものであるかということを、改めて学ばせてもらったと感じています。プラムの一件は、プラムが主役なのではなく、人なんです。間違っても、セルフの機械にはできないこと。そして、ふとロンドンで暮らし始めた頃のことを思い出しました。習慣の違いに驚きや戸惑いもありましたが、例えば、バス停でバスを待っていると結構頻繁に見知らぬ人から話しかけられたことです。特には、お年寄りです。現在あまりバスに乗ることがないのでわかりませんが、定番のお天気で始まる会話は、今でもどこかで続いているのでしょうか。また、スーパーのレジでキャッシャーが「ダーリン」とか「ラブ」をくっつけて話しかけてくることにも、最初は反応に困りましたが、それも今となっては過去のものになりつつあります。集団を成す動物と同じように、人間も社会的な生き物。コミュニケーションが遮断されると、弱くなってしまいます。機械では得ることのできないクオリティが付随しているのに、世の中はとても大切なことをどんどん放棄し、さらには、ナノテクノロジーを駆使し、個人の意向や承諾なしに、わたしたちをワイヤレスのリモート操作可能な機械(体内のナノマシーン)化しているのです(23)。「サステイナブル」計画の一環として。
参照:
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- Alabdulatif, A.; Thilakarathne, N.N.; Lawal, Z.K.; Fahim, K.E.; Zakari, R.Y. (2023). Internet of Nano-Things (IoNT): A Comprehensive Review from Architecture to Security and Privacy Challenges. Sensors, 23,2807. https://doi.org/10.3390/s23052807
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