028 | スマートではない?スマート・メーター

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ここ数年、ずっと気になっていたスマート・メーターの事実。この件は、まだまだ調べたいことがたくさんあります。でも今回は深く掘り下げた情報収集より、遅すぎる情報提供にならないことを優先することにしました。

目に見えない環境汚染

手元にある、非電離放射線や無線周波数電磁界曝露に関する研究結果や統計をまとめた資料には、携帯電話をはじめ、電子レンジやヘア・ドライヤーなどの電化製品等とともに、スマート・メーターが有害なもののリストに加えられています(1)。スマート・メーターによる健康への害は、まず、各家庭をつなぎ飛び交う電波が一つ増えるということ。EMFs(無線周波数電磁界)の専門家エリック・ウインドハイムによると、スマート・メーターは、人体への安全が確認されていないどころか「ピーク・パルス・パワー」を持ち、ピーク時のパワーが携帯の約240倍もの強さになるとのこと(2)。その害の大きさは、おおよそ察しがつきますよね。そして、その電波が細胞の活動を妨げ、場合によっては「原因不明」の体調不良が続くことも。突然にして、電波の飛び交う場所(人の住むところで、電波のない場所はほぼないかも?)にいることができなくなったり、寝たきりになるほど具合が悪くなったりする人たちもいるのです。非電離放射線や無線周波数電磁界曝露を完璧に避けるのは不可能ですが、曝露を少なくするようにコントロールすることは可能なので、積極的に予防対策をとりましょう。(対策法は、携帯電話を中心に005号で、また003号004号でも少しカバーしています。)

電力会社の猛烈なアプローチ

3年ほど前から、電気の契約している某電力会社が頻繁に、スマート・メーター取り付けの日時をアレンジしようと電話をかけてくるようになりました。毎回、健康への害を危惧して可能であれば取り付けを避けたいと伝えると、根拠もなく「安全」だと言い張るのですが、どの人も何を根拠に安全なのかが全く説明できない状態。ダメージが科学的に証明されていることや、実際に健康の害になっている話をして、自分がそうなった場合どうやって安全や健康の保証をしてくれるのかと聞くと、みんな何も言えずしぶしぶ諦めるのです。そんなことが時には隔週くらいで続き、数ヶ月後にはもううんざり。とある日にかかってきた電話で、取り付ける気はないから電話をかけてこないようにお願いしたら、イギリス政府の要請で2020年までに取り付けなければならないと言われました。そして、その後しばらくして再び同様の電話がかかってきたので、同社のウエブサイト経由で苦情のメールを送り、やっと電話がかかってこなくなった次第。リクエスト受領の返信メールにも、やはり2020年までのスマート・メーター取り付けは、政府の要請であることを念頭に置くようにと記載されていました。その後、電話は一切ないものの、毎月の請求書が入った封筒には、必ず取り付けを促すチラシが同封されています。でも、それには取り付けの義務に関する記載は全くありません(むしろ「今が無料取り付けのチャンス!」的なもの)。そしてその後、この件には意外な側面があることもわかりました。

電波は飛ばないから、まずは安全。

これだと、電波も個人情報も飛ばない。

スマート・メーターの事実

先にもあるように、電話やメールでは2020年までの取り付けは政府のお達しと言われましたが、あとでそれが厳密的には強制ではないことがわかり、まずはホッとしました(某電力会社は合法ぎりぎりのところで脅していたのかも!?)。電話がかかってくるたびに同じことを説明して「取り付けは避けたい」というと、どの人もそれ以上何も言えなかったのは、そのせいかもしれません。スマート・メーターの問題で一歩先をいくアメリカでは、取り付けによって使用電気量が増えることもあってか、電気代が明らかに高くなることもレポートされています。この動きをさらに追うと、実のところは、メーター・リーデイングする人を送りこまなくてもいいことや、電気使用量が常にチェックできて、見積額の支払いによる払い過ぎがない、などという売り込み文句とは全く関係のないところに、真の目的が見え隠れしてきました。

 その裏にあるものは?

仕事に必要なことを調べていたときに、関連のリンクから「InPower Movement(インパワー・ムーヴメント)」というアメリカの団体が、スマート・メーターに反対する消費者や被害にあった人たちのサポート活動をしているのを発見。この団体は、健康への害なども理解したうえで、メーター取り付けの目的はスパイ的個人情報の売買と断言(3)しています。さらに付け足すと、スマート・メーターは99.9%情報収集のために作動していて電気の管理機能はそのごく一部であることを理由に、前述のエリック・ウインドハイムも、ほぼ同じことを言っていました(2)。真相がスパイ的個人情報の売買となると、ポリティックスの領域。健康とは無縁のようですが、案外そうでもないような…!? 概要を理解することが有効だったので、以下簡単に付け加えておきます。

情報の価値

現在のところ、スマート・メーター取り付けによって収集した個人情報は、政府や大手企業にとって付加価値が高く、とても魅力的なもの。この情報が、大きな収入や世の中のコントロールにつながれば価値も高くなります。逆に、収入にならないとわかれば、値打ちや興味はなくなります。アメリカでは勝手にスマート・メーターが取り付けられることもあるため、先にふれたインパワー・ムーヴメントでは、 先手を打ってメーター取り付けに際し、設置された場合の賠償金請求を合法的に申請する体制でいます。こうすれば、メーターの設置自体に大きな出費がついてまわり、一連の利益や価値を低くするからです。また申請が合法的なので、適当にあしらうわけにもいかなくなります。彼らは、すでに取り付けている場合の合法的な取り外し要請もサポートしているようです。

健康面では?

個人的には、健康や環境への害が一番気になる部分なので、例えば、スマート・メーターの取り付けが原因不明の体調不良や電磁界過敏症(EMS = Electromagnetic Sensitivity)の引き金になった場合に、電力会社に責任を問うことができるのか、などということを考えてしまいます。005号でも触れていますが、EMSの診断はかなり困難なので、もしスマート・メーターの設置で個人の上限をヒットしてしまい具合が悪くなっても、補償がないどころか、証拠を用意することができないかもしれません。そうなると、インパワー・ムーヴメントが指導するように、事後の苦情を訴えるより、一歩進んだアクションを起こすことが最善策となるでしょう。 内容の詳細や具体的なアクションにご興味のある方は、下の参照部分からインパワー・ムーヴメントのウエブサイトにアクセスしてみてください。複雑な内容をわかりやすく説明しているので、法関係に疎いわたしでも、法的な世の中の構造が少し理解できて参考になりました。ただし、彼らは当然ながらアメリカの法律をもとに活動しているので、イギリスでどこまで合法的にできるのかは謎。(でも、基本的なメーター設置の目的や訴訟の仕組みは同じなはず)

イギリスにも同じような理由で活動している「Stop Smart Meters UK(ストップ・スマート・メーターズUK)」という団体があるのも見つけましたが、インパワー・ムーヴメントほどサポート体制が整っていないような印象を受けました。ウエブサイトの情報が数年前からアップデートされていないのも問題ですが、イギリス国内での大まかな状況は把握できます。

何にしても、スマート・メーターには、避けることのできない人体への悪影響と環境汚染の要素があることには間違いありません。それを根拠もなく「安全」だと言ってしまう人々(というより、そう言わせる組織)の無責任さに大きな問題があると思います。

2020年にどうなるかはさっぱりわかりませんが、もし有効な情報が入れば追って取りあげますね。わかっている限りでは、今のところ義務付けられていても強制されているわけではないので、断ることもオプションにあります(4)。ご参考までに。

 

参照:

  1. Philips. A. (2014). Electromagnetic energy – affecting the process of life. [British Society for Ecological Medicine Conference: Electromagnetic Radiation and Health: Evidence, Diagnosis, and Management] 7 March.
  2. Windheim, E. (2016). ‘EMF and Adrenal Fatigue’. Adrenal Reset Summit. [Online]. Available at: http://adrenalsummit2017.com/offer-doors-closed/ (Accessed: 13 November 2016).
  3. InPower Movement. (2017). Episode #1: A Mass Action of Liability. [Online]. Available at: http://inpowermovement.com/ (Accessed: 8 February 2018)
  4. Stop Smart Meters UK. (2012). A Reminder – Your Rights in Relation to Smart Meters. [Online]. Available at: http://stopsmartmeters.org.uk/a-reminder-your-rights-in-relation-to-smart-meters/ (Accessed: 8 February 2018)
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About Author

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。ナチュロパス、ファンクショナル・メディスン・プラクティショナー、ニュートリショナル・セラピスト(mCMA, mBANT, CNHCreg, CFMP)。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックと並行して、オンライン・クリニックでも活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

2件のコメント

  1. 徳永 ゆり子 on

    いつもながら、返信遅くなってすみませ〜ん!この先5Gが導入されると汚染がさらに厳しくなるから、取り付けは可能なかぎり避けたいもの。スマート・メーターはもちろん、実際の環境で他の電波と重なった場合のダメージを研究している人たちはいないと思う。こわいかも…。

  2. アバター画像

    パチパチパチ。どんぴしゃのタイミングの情報でした。私のところもスマートメーターの取り付け要請がきていて、無視してたんだけど、イヤですって言ってみます。ありがとう!!

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