頼もしい万能ハーブ、花粉症の予防にも使える🌱ネトルの巻

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今回は寒い季節でも、既に雪や霜の下にひっそりと小さな葉が見られる、ネトルのご紹介をしたいと思います。

<どんなハーブ?>

和名:セイヨウイラクサ
英語名:Nettle / Stinging Nettle
学名:Urtica dioica L.

イギリスでは「ドワーフネトル(dwarf nettle)」や、「スモールネトル( small nettle)」と呼ばれるUrtica urens L. 等、異なる亜種を含むネトルを見る事ができます。

冬の間のネトル

ネトルは草原、河岸、公園をはじめ、特に窒素が豊富な土壌で繁茂します。

そう、我が家の近くの河岸も初夏になると一面がネトルで覆われる風景が見られ、「繁茂」という言葉がピッタリくるように思います。

草原に広がるネトル

時々日本で「ネトルを育てたい」という方の声を聞く事があります。日本には同じイラクサ科イラクサ属のイラクサ・刺草(学名: Urtica thunbergiana)があります。(地下茎を用いて広がってしまうので育てる時には注意をしてくださいね。)

ネトル(セイヨウイラクサ)、日本のイラクサ・刺草の葉や茎には、Trichomes トリコームと言う中空の管状構造を有する「刺毛」が存在し、膨らんだ管の底部の基部ににはヒスタミン、ギ酸、アセチルコリンなど複数の化学物質が含まれています。

<ネトルの刺毛には気をつけて>

刺草という漢字からも想像できますが、イラクサやネトルは葉や茎に触れると、「刺毛」にある菅の先端が折れ、鋭い突起なり、この突起が皮膚を刺し化学物質が注入され「ヒリヒリ、チクチク」とした痛みが走ります。まさに突き刺されるのような痛さですよね。

うっかりネトルに触ってしまい痛い思いをされた方も多いのではないでしょうか? 一度触ってしまうと一日中その痛みが続くなんて事もあります。

ネトルの刺毛 見ているだけでも痛そう

イギリスではネトルを触ってしまった時にドッグリーフと呼ばれるスイバ属 (Rumex) の葉を潰して或いはそのまま患部に当てると痛みが和らぐという伝承があります。この他にもミントやセージ、プランテーン(オオバコ)の葉でも代用できます。

刺毛に触ったときに使いたい、Rumex の葉

<どの部分を使うの?>

ネトルは「葉」「種子」「根」を薬用として使用します。

葉にはビタミンA、B、C、Kや、カルシウム、鉄、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム等のミネラルも豊富に含まれており熱処理(刺毛に含まれる刺激成分は熱に弱いので安心を!)をして食料として楽しむこともできます。

イギリスでは特に初春の柔らかな葉を使ってのネトルスープや、その他にもソテーにしたり、パイの具材に使ったりと幅広く楽しめます。

早春のスクスクと大きく成長するネトル、この時期は触ってもそれほどチクチクしません。

5月のネトル。葉の収穫は開花時期前に行いましょう。

ところでネトルには、雄株、雌株があり、「種子」はこの雌株から採取されます。

葉や根に関しては雄雌共に採取できます。葉(地上部)は、花が咲く前に採取しましょう。花が咲く季節は場所によっても異なりますが、近頃のイギリスでは早いと5月中旬から開花するところもあります。

雌株の花

雄株の花

ネトルは雌雄異株

<どんな効能があるの?>

◆葉の主な効能例
滋養強壮、体質改善、抗炎症
抗アレルギー、穏やかな血糖低下
母乳分泌促進
利尿、浄血や造血など

◆種子の主な効能例
副腎皮質、甲状腺機能のサポート
泌尿器系の滋養強壮

種も栄養価がたっぷりで、トニック材として人気です。フレッシュな種も食べられますが、種を収穫して乾燥させて使う方が刺毛の心配がありません。乾燥させた種はサラダに入れて食べたり、パンに練り込んだり、エバジーボールに加えたる、ふりかけにしたり、チンキ剤を作ったりと活躍します。

◆根の主な効能例
抗前立腺

ネトルの種。雌株の種房が下にだら〜んと垂れ下がってきたら収穫時期です。

<花粉症の予防にも>

ネトルは「花粉症対策」へのハーブとして耳にした方も少なくないかと思います。

花粉症対策には種や根も使われますが、「葉」を利用したハーブティー(浸剤)やチンキ剤、サプリメントが、一般の方には使いやすいかと思います。

おすすめの使い方は、『花粉症がはじまる半年前からハーブティー(或いはチンキ剤・サプリメント剤)を予防対策として使用し始める』です。そう、そうなのです、、、初夏に花粉症が始まる〜と言ったそこの貴方! 予防対策としてネトルは今から飲むのがベストなのであります。

ハーブティーであれば小さじ山盛り一杯のネトルのハーブ(乾燥)を、200mlの沸騰したてのお湯で浸出し、濾したものを一日2回、花粉症の症状が発症する一カ月前には1日3回使用してみてください。

実際、長く使っている方々から「症状が出にくくなった」「症状が出ても酷くならない」などとの声をお聞きすることも多いです。

花粉症の症状が出てしまった場合は、ネトルだけで症状を緩和させる事は難しいので、リブワート Ribwort (Plantago lanceolata)、エルダーフラワー Elder flower (Sambucus nigra)、カナダ ゴールデンロッド・セイタカアワダチソウ Canada goldenrod(Solidago canadensis)、ヨーロッパゴールデンロッドEropean Goldenrod (Solidago virgaurea) なども上手く利用してみてくださいね。*服用中の薬や現病歴によっては注意や禁忌となるハーブもありますので、専門書なども一緒にご参考ください。)

その他、疲労回復、蕁麻疹、皮膚湿疹やニキビ、乾癬他、皮膚の症状にもお勧めのハーブの一つです。

ネトルの刺毛は私たちに刺すような痛みをもたらしますが、同じく私たちの体の刺すような痛み、特に関節炎の痛みなどにも他のハーブと一緒に利用されます。ここではほんの一部しかご紹介できませんが、ネトルは非常に多くのシーンで活躍してくれますよ。

<注意点>

ネトルの葉は基本安全にお使いいただけますが、利尿剤や抗凝固剤、インスリンなどとの併用に注意が人によっては必要な場合もあります。ネトルの根は妊娠授乳中および12歳以下の子供への使用は避けてくださいね。

実際にご自身でも使ってみたいと思われるか方は、拙著もご覧になってみてくださいね。

『メディカルハーブハンドブック』(説話社)
https://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=50

Amazonページ:https://bit.ly/4ghc6AK

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About Author

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リエコ・大島・バークレー。英国サリー州在住。メディカルハーバリスト、アロマセラピスト、リフレクソロジストとしてロンドンのセラピールーム及び癌ケアセンターにてのセラピスト活動を行う。メディカルハーバリストとして25年以上の臨床経験を持ち、長年日本での啓蒙活動に携わる。ハーブやアロマのオンライン講座、商品開発コンサル活動の他、時々イングリッシュワイン応援&執筆活動も行う。ゴルゴ13 をこよなく愛する飛行機オタクでもある。 著書に『メディカルハーブハンドブック』(説話社)『ハーブの薬箱』(文化出発局)。フレグランスジャーナル社にて2023年まで『ゴルゴ13とハーブカード』連載。 インスタグラム:ハーブ&アロマ関連 @herbalhealinguk  航空機関連 @rieko.747  ワイン関連 @winevineyard 

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