自分がどう思うのか

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ロンドン市内であった 「かみさまとのやくそく」上映会の後、東京大学医学部付属病院で循環器系内科医として活躍されている稲葉俊郎医師のスカイプ講演があった。

講演のテーマは「臨死体験」。心臓のカテーテル治療などを専門にされている稲葉氏が、ご自身の患者さんから収集した数多くの体験談を元にした話だった。「かみさまとのやくそく」も子供の「胎内記憶」や「生前記憶」について取り上げたドキュメンタリー映画であり、いずれにしろ、それらが客観的に存在するのかどうかといった争点に目がいきがちになる。

「だが」

と、稲葉医師は言う。

「この客観と主観という点について、もっと我々は目を開いていく必要があります。これまでは、客観的、すなわち自然科学的な見方が尊重され、主観的、すなわち個人の経験に基づく見方や主張は、妄想、夢、幻覚などと言われてきましたが、それは誤解です。今後は主観的な見方の中にこそ、非常に重要なことが隠されていることを発見していく時代になるでしょう」

「主観とは自分がどう感じるか、という感性の世界で、その人特有のものであり、信じるに足りないというマイナスのレッテルがこれまで貼られてきました。しかし、物事は全て中性的であり、全ての事象にはプラス、マイナスの両面があることを認識することは非常に重要です。これからは自分の主観的な体験を信じることが大切になっていきます。最終的には自分を信じること。これが大切なテーマなのです」

この「自分の考えを拠りどころにする」というのは、とても重要なポイントだと思う。それがあなたにとって、どういう意味があるのか、あなたはどうしたいのか、あなたはどう思うのかが重要なのだ。なぜなら答えは全部、あなたの中にしかないから。他人の考えに拠りどころを求めても答えは出てこない。

話を分かりやすくするために、稲葉医師は「全ての事象にプラス・マイナスの両面がある」とおっしゃっていたが、プラス、マイナスという判断は主観的に行われるものであり、全ての事象はニュートラルで、良いも悪いもないというのが実際だろう。起きるべきことが起こるべくして起きており、その中心にあなたがいる。考えるのはあなたで、あなたが全てを経験する。

立花隆氏は臨死体験というテーマに真っ向から取り組んだ日本人初のジャーナリストであり、客観的アプローチを試みた氏の『臨死体験』(1994)はいまだ十分な読み応えがある当分野の金字塔だと思う。海外に目を転じると、70年代から数多くの関連著書が記されてきた。近年であれば、稲葉医師の話の中に出てきた脳外科医エベン・アレグザンダー医師の臨死体験が最も読み応えがあるのかもしれない。アレグザンダー医師は、立場上、臨死体験の完全否定派であったが、自身が臨死体験をすることとなり、様々な検証を経て、それが脳内幻覚ではないと結論づける。

稲葉医師は、アレグザンダー医師が「あの世」から持ち帰った三つのメッセージを引用し、非常に重要なメッセージであると述べた。

あなたは永遠に深く愛されています
この世に怖れることなど何もありません
あなたのすることにただ一つの間違いもありません

ちなみに2008年から2014年までサウザンプトン大学で行われていた過去最大規模の臨死体験調査プロジェクトのレポートが、つい最近出たようだ。調査によると、2060名の調査対象者(心停止者)のうち330名が心停止から生き返り、うち140名(40%)が心停止中に意識があったことを説明したという。つまり、死後も意識は継続しているという結果である。

こうやって書いていて、なんだか臨死体験の客観的証拠を躍起になって探している自分がオカシイw

思うに、現代科学で一般的に証明されていないとされる現象などは、まずそれが「ある」と受け入れたときに、それをどう考え、判断し、自分の人生に取り入れていくのか、という視点に立つことが、より生産的なのではないだろうか。拒否することはいつでもできるが、そういった立場からはどこへも行けないし進まない。

近い将来、アカデミックにこういったことが当たり前の現象として認められたとき、「オーソリティーが認めた。では自分も信じよう」となってもよいし、「オーソリティーが認めたが、自分は信じられない」という立場でもいいと思う。ようは自分がどう考えるか。自分にとって、そのことがどんな意味を持っているのかが大切なのだ。

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About Author

江國 まゆ

岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系広告代理店にて各種媒体の翻訳ローカライズや日本語コピーライティングを担当。日本語翻訳リライトのスペシャリスト。2009年からフリーランス。趣味の食べ歩きブログが人気となり『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)を出版。2014年にAbsolute Londonを立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。

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