田渕大さんに会いたい! 舞台版【となりのトトロ】はなぜ感動を誘うのか

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ロンドン「ジリアン・リン・シアター」で上演中の「となりのトトロ」を、やっと観劇できた。胸踊った! 涙を流した。キラキラとした気持ちを抱えて、シアターを後にした。子どものいる家族だけでなく、感動したり、前向きな気持ちになったり、世界が不思議に満ちていると感じたりしたい誰もが観るべき、大人のシアター作品だ。

実はお父さん・タツオ役を演じている田渕大さんに会いたかった! 声優やナレーションのお仕事もされている大さんとは、10年ほど前からときおり仕事をご一緒させていただくことがあり、トトロのお父さん役をされるようになってから「いつか観にいかなくちゃ」とずっと思っていた。遅い、私! 遅すぎる・・・でも大さんは待っててくれた(私をじゃないけどw)。

なぜって今年3月から『My Neighbour Totoro』の無期限のロングラン公演がスタートして、観劇のチャンスがぐっと上がったのだ♡  2022年秋のバービカン・シアター初演から3年が過ぎた今、舞台をアンドリュー・ロイド・ウェバーが所有する「ジリアン・リン・シアターGillian Lynne Theatre」に移し、無限大の観客にこの珠玉の作品を届けるという一大事業が、ふたたび始まったのである。

タラ〜ン。ウェストエンドど真ん中にある「Gillian Lynne Theatre」でロングラン上演中!

スタジオジブリのアニメを舞台化した『My Neighbour Totoro』は、作曲を手がけておられる久石譲さん自らが生みの親だと伺って、こちらもびっくり。現地のロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)と、日本テレビが共同で製作しているのだという。素晴らしいプロダクション!

ではなぜ今、ウェストエンド『My Neighbour Totoro』を観るべきなのか、簡単に説明しよう。

1. トトロの世界観を余すところなく伝える演出。

映画とは一味違うスペシャルな演出が随所に。目の前でリアルに繰り広げられる舞台ならではの臨場感、ステージと客席の近さなども手伝った没入感がすごい。めくるめく大掛かりな舞台装置、リアル・トトロの迫力♡、日本らしさを感じさせる胸キュンの演出、森の力や恐ろしさ・・・ 個人的なツボは猫バスの楽しさ^^ 子どもたちを取り巻く寂しさや、昭和の原風景などを表現する陰影ある演出もブラボー。

2. 黒子(風子)の存在が不思議感をアップ。

非日常の演出のために登場するのが、日本伝統の黒子。トトロでは「風子」と呼ばれているらしい。これは観てのお楽しみ。風子の存在あってこその舞台になっていて、日本心をくすぐられる。ユーモアもぎっしり。

3. お父さん・タツオ役の俳優、田渕大さんがハマりすぎ。

ハマりすぎてる大さん・・・考古学教授のお父さん役が。昭和の黒縁メガネが似合いすぎ。そして天然を感じさせる生活そっちのけのアカデミックぶり。子どもと波長が合いすぎ。ユーモアを感じさせる自然体の演技が光ってる。きっと彼のような大人なら、森の中にいるトトロがちゃんと見えるのではないかと思う。そして、どちらかというと癒しのヴォイス・トーンを持つ大さんなのだが、実は別の声も担当されており・・・ともかく田渕大のお父さん役が魅力的!

4. 大人が演じるサツキとメイをはじめ、全ての役が生きている!

と、大さんにフォーカスしちゃいましたが、もちろん皆が素晴らしい!! 言うことなしの舞台なのだ。^^

5. 生きた音楽が寄り添う名作。二宮愛さんの歌声が染み渡る。

舞台の両袖とバックで、久石譲さんの流麗な音楽を生で聴けるという贅沢な時間。全てが溶け合い、最高の舞台を創り上げる・・・その中で、要所要所に二宮愛さんの透き通った歌声が哀愁をさそい、また興趣を添える。音のパワー、バンザイ!

舞台写真は全て、田渕大さんからお借りしました。多謝!

タツオ役は大さん生涯のハマり役だと思う。

楽しさいっぱい!夢もいっぱい♡

シアター内にはサツキとメイがトトロと一緒にバスを待つときのバス停をはじめ、撮影スポットあり。グッズ販売も大盛況!

ワクワク、ドキドキ、ウルウルの舞台の後で、嬉しいことに大さんと少しお話しできた。興奮冷めやらぬ子どもたちに写真撮影をせがまれながら、合間に大さんが教えてくれる。

「今日は演出家がこう言ってきたんですよ。毎日が今日だけの舞台だと思え。フレッシュさを忘れるなって。僕たちは同じ演技をしているけれど、お客さんは毎日違います。観客席と呼吸を合わせながら、変わらない感動を届けられたらと思っています。」

ロングランに突入し、毎日が非日常の日常にある俳優さんたちは、どう取り組まれているんだろう。そう思っていた矢先のコメント。同じに見えて、同じではない日々の舞台をこなすなんて、本当に尊敬してしまう。

『となりのトトロ』の根底にあるメッセージは、自然との交流を忘れてはならないこと、自然界のワンダーを信じるべき理由は、まだ世界にたくさんあること、などだろうか。デジタル汚染のない世界をもう一度取り戻し、希望と向き合うのに、『となりのトトロ』ほど刺激的なストーリーはない。

「My Neighbour Totoro」はジブリ・ファンにも、そうでない人にも、クリスマス・シーズンにぴったりのご褒美舞台。まだの人はぜひぜひ、足を運んでほしい^^

ノリにノッてる田渕大さん。

ローレンス・オリヴィエ賞で最多6冠を獲得!
✨My Neighbour Totoro✨
会場✨Gillian Lynne Theatre
チケット✨https://totoroshow.com/

年齢を超えてトトロの昭和に帰っていこう。
子どもの目線で、感性で、森へ入れば
あなたもトトロに出会える♡

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス。2014年にイギリス情報ウェブマガジン「あぶそる~とロンドン」を創設。食をはじめ英国の文化について各種媒体に寄稿中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。カルチャー講座の講師、ラジオ・テレビ出演なども経験。これまで1700軒以上のロンドンの飲食店をレビュー。英国の外食文化について造詣が深く、近年は企業アドバイザーも請け負っている。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。仕事のご依頼は ekumayu @ gmail.com までお気軽に。

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