ハンプトン・コート・パレス・フラワーショー

0

Uk☆エコ・ガーデニング格闘記


7月4日から9日まで開催されたハンプトン・コート・パレス・フラワーショー。その名の通りハンプトン・コート宮殿の広大な敷地内で毎年開催されているのですが、ショーガーデンをはじめとする様々なカテゴリーに分けられたガーデン、ショップ、ナーサリーの展示や販売、ガーデンや植物に関する講演や有名シェフによる家庭菜園の収穫したものを調理するデモンストレーションなど、様々なアトラクションであふれています。ゲートをくぐってまず目にするのはコンセプチュアル・ガーデン。従来のガーデンという枠にはとらわれず、創造性を最大限に発揮し伝えたいメッセージをインパクトやオリジナリティのある形で表現するカテゴリーだそうです。

Hampton2017_1

メインとなるショーガーデン。夏らしい鮮やかな色合いの植栽もあれば、涼しげなシルバーリーフやブルー系のお花を使っているところ、ハーブや野菜が使われているお庭等、様々なお庭があって植物好きにはたまりません!バジェットの限られた庭や面積の小さい庭もあり、一般のお庭にも取り入れられるアイデアがいっぱい。ただ美しいというだけでなく、園芸を通じてコミュニティの繋がりを強くしたり、メンタル・ヘルスに問題を抱える人のための庭、自閉症児童のための庭、若い受刑者に園芸技術を教え明るい将来を築くきっかけを与えるために造られた庭等、個々の庭に大きな目的や大切なメッセージがこめられています。

Hampton2017_3

RHSによるキッチンガーデンは料理や食の安全に関心が高い方、子供たちと一緒にガーデニングを楽しんだり食育の機会に利用したい方々に大人気でした。目に美しいコンテンポラリーなデザインの中に野菜とお花が綺麗に植えられていました。簡単に自宅で試せそうなアイデアにあふれていてとても楽しめました。ショーガーデンの中でもひと際デザインが素晴らしかったコミュニティ・ガーデンがあったのですが、そちらでもキッチンガーデンや果樹園が庭の一部に使われていて、関心の高さがうかがえます。日本の庭木風に剪定されている木が植栽されてる庭、地中海風の植栽の庭、いろいろあって飽きません。

Hampton2017_4

ワールド・ガーデンのカテゴリーにはアメリカやスペインの観光局がスポンサーについたお庭が出展されていました。左上、左下の写真がスペインのガリシアの伝統的な建築スタイルによるPazo(マナーハウスのような屋敷)のシークレットガーデン。中上の写真はアメリカのチャールストンの庭からインスピレーションを得て造られた庭。右上はフォート・マイヤーズとサニベルの庭でEdison Winter Estatesのガーデンからヒントを得てデザインされた庭。右下の写真はオレゴン・ガーデンでオレゴンの山間の風景やローズ・テスト・ガーデン、日本庭園からインスピレーションを受け、自然の美しさを表現した庭だそうです。こういう庭を見ると実際に見てみたいなぁと旅行に行きたくなりますね。旅行情報の資料をたくさんいただいてきました。

Hampton2017_5

今年新しく加わったカテゴリー、Gardens for a Changing World。温暖化や気候変動に伴う自然災害がガーデニングに与える影響は少なくありませんが、そういった課題も含め将来のためこういった問題に取り組むガーデンが展示されていました。ベストに選ばれていたガーデン(左上)は都会の中に造られた自然の庭、ハードランドスケープは一切なく、植物や少しの岩などで構成されていました。ただ単純に自然な庭に見せるための植栽をしているのではなく、ヒューゲル床栽培(枯れ木の上に土を重ね栽培床とする手法、少ない水と痩せた土地でも活用できる)を取り入れた、林や森などの自然界で起こる現象をシステムとして取り入れている非常に面白い庭でした。日本の美学や建築哲学も参考にされているそうです。また全ての植物は食用として利用できるものが植えられていました。ぱっと見た目は地味な庭なのですが、知れば知るほど面白い庭、考えさせられ学ぶことが多く、ベストに選ばれたのも納得です。パーマカルチャーに興味のある方には特に魅力的な庭だったと思います。他にも過去の産業遺産を活用した庭、洪水問題に焦点を当てた庭、人類の破壊行為を廃棄物などで表現した庭、雨水を活用するための庭、園芸家のためのチャリティーの庭などがありました。

Hampton2017_2

フローラル・マーキーの中にはたくさんのナーサリーの展示と販売が行われていました。ハンプトン・コート・パレス・フラワーショーはチェルシー・フラワーショーとは違い、植物の販売が盛んにおこなわれています。木、低木から花の苗や種、肥料、園芸雑貨から、庭のオーナメントや銅像、芝刈り機、剪定ばさみ、園芸用衣料品などなんでもござれ。また小さいバラ専門のマーキーもあり、種類は少ないですが通常より安い値段でバラが販売されています。雑誌カントリー・リビングの名前がついたパビリオンではファッション、家庭雑貨、アート作品、インテリアグッズ、ジュエリーなどの店舗であふれています。残念なが私は毎回ガーデンを見たり植物の買い物だけで1日が終わってしまい、一度もカントリー・リビング・パビリオンで買い物ができてません!今年こそと思っていたのに、フローラル・マーキーで買い物しているうちに閉園のアナウンスが・・・。残念!

Hampton2017_6

チェルシー・フラワーショーと違い当日券もありますし、お値段も比較的安いので、一度フラワーショーに行ってみたいなぁなんて思ってる方にも、植物を買いに行きたいという方にもおすすめです!

Share.

About Author

在英20年、ロンドン郊外の自宅の庭で節約とリサイクル・無農薬をテーマに土いじりに奮闘、花や木、ハーブ、野菜や果樹などいろいろ挑戦中。3年間のカレッジ生活を経て園芸とガーデンデザインの資格を取得。フラワーショーや造園現場の通訳・コーディネイト、デザインや園芸相談、メンテナンスサービス、ガーデンガイド等10年ほどやってます。庭と旅とお笑いをこよなく愛する植物オタク。ここ数年家族の闘病等でガーデニングもブログもサボってました(;^ω^)ぼちぼち復活できるかな?ブログ「イギリスの片隅で庭仕事」http://gardenuk.blog.fc2.com/もそのうち復活する予定。

Leave A Reply

CAPTCHA