どれくらいスパイシー?

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友人はマレーシア料理をマーケットで販売しています。2017年に世界一美味しい料理として選ばれ大人気のレンダン / rendang。その影響で友人の店はテレビやラジオの取材も来る人気店です。レンダンは結構スパイシーなのですが、食べ慣れてくるとそのスパイシーさは後をひくたまらない美味しさなのです。

店を経営する友人によると、「どれくらいスパイシーなの?」とお客から聞かれることがよくあるのだそうです。

マーケットでレンダンを販売する人たちの国籍は、マレーシア人、タイ人、中国人、日本人、インド人、スリランカ人、バングラデッシュ人、エチオピア人とさまざまです。

タイ、四川料理のスパイシーさは世界中で有名ですし、エチオピア料理のベレベレの汗が噴き出る辛さもC.W ニコル氏が著書の中で語られていました。インド人は日本の極辛の食べ物を辛いと感じずに食べてしまうというYouTubeを見たことがありますが、バングラデッシュのカレーはインドやスリランカのカレーよりもさらに辛いのだそうです。

こんな激辛料理を家庭料理とする人たちにとっては、「レンダンの辛さは大したことないよ」と、答えたくなるでしょう。

ところがヨーロッパでは舌がマイルドな人々がとても多いです。辛いものといえば何を思い出す?という質問に、「Worcestershire sauce」であると、ロンドンの18歳のお姉ちゃんが言っていた!と、友人が大笑いしていました。

日本のウスターソースはイギリスのworcestershire sauceが発祥なのです。わずかな辛味はありますが、タバスコやワサビのような香辛料とは比較にならないマイルドなお味です。

もちろんヨーロッパにも辛い物好きの方々はたくさんいらっしゃいますし、レンダンの上に特辛のチリソースを山盛りかけて、「俺の舌はなんともないんだよ」と胸を張るお客さんもたまにおいでになるそうです。

一方で「どれくらいスパイシー?」と言う質問にバングラデッシュ人の売り子さんが「全然辛くないです」と答えて、白人のお客さんが泣きながら「とても食べられない」と返してよこす事件もあったとか。

なので「どれくらいスパイシー」とあえて聞いてくるお客さんですから、辛いものがあまり得意でない可能性も無きにしもあらず。「普段はスパイシーなものを好んで食べられますか?」と聞いてみて、返ってきた答えによって言葉を選んでお答えしているそうです。

スコットランド出身の友人が、外気温が3℃くらいの冬の日に半袖のTシャツを着て仕事をしていました。もちろんこれは室内での仕事だったのですが、ロンドン住まいのイギリス人たちでさえもこの日は寒かったので上着をを羽織って仕事をしています。しかしスコットランドに比べると、ロンドンの冬は春のように暖かなのだそうです。

スコットランド人の彼は「今日は寒い?」と聞かれたら、「今日は暖かな春の陽気だよ」とスコットランドでは答え、「寒いよ、君にとってはね」とロンドンでは答えるのでしょうか。

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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