スロヴァキアで Hidè Takemoto インタビュー!

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TSUJIフランスツアー、終了!書ききれないほどいっぱいの思い出と写真、近々アップします!

こちら(YouTube Short)でチラッと、ボルドーとパリの様子をお楽しみください!☺️

次回は9月25(か26)日に、コルシカ島アジャクシオにて再び辻仁成さんとライブの予定です!こちらも乞うご期待!:-)

ツアーの少し前に遡るのですが、先日スロヴァキア(!)のニュース・メディア「SME」で、Daniel Biroさんという記者の方がインタビューしてくれたので、その翻訳を載せます!ダニエルさんは昨年出演したチェコのフェスティバルで僕の演奏を見てくれて、興味を持ってくれたようです(嬉しい!)。なかなか深い部分まで聞いてくれているので、ぜひ読んでみてください!:-)

こちら、ツアー最終日の記念写真でーす!

インタビュー原文リンクはこちら⇩

英語版

スロヴァキア語版

日本人ギタリストであり作曲家でもある武本英之にインタビュー。自身の出発点、現在、そして知られざる過去について聞いてみた。

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武本英之は、15歳でギターを始めた。

名門、英国ロンドンのギルドホール音楽院で学び、オリジナル・アルバム『フォー・シーズンズ』などで成功を収めつつ、クラシック・ギターの先生でもある。このインタビューでは沢山の興味深い話をしてくれた。

DB: 音楽を始めたのは何歳の時? 初めて楽器を弾いたのは?初めてのレッスンはどんな感じだった?

ちょっと長い話になるけど、ギターを始めたのは15歳のときだったと思う。 僕はいわゆる「ロックスター志望」だったんだ。ある日友達の家に行ったら古いエレキギターがあった。彼がどこからか手に入れたそのノーブランドのギターに一目惚れしたんだ。友人はちゃんとしたギターを欲しがっていたから、僕は彼にギターを売ってくれないかと頼んだ。それが全ての始まりだった。1992年だったと思う。

DB: ギルドホール音楽院で学ぶために徐々にステップアップしていきましたね。ギルドホール音楽院に入るのは簡単だった?

僕はまだ日本にいて、日本でミニディスクに演奏を録音して、それを学校に郵送した。ラッキーなことに1回で受かったよ! 実はその前の2年間、僕は日本の音楽学校で勉強してたんだ。日本の音楽大学の入試は大失敗だった。何しろクラシック・ギターの弦の張り方も知らなかったんだから。試験で最初に弾くように言われた曲のためにチューニングし始めたんだけど、弦を正しく張ってなかったせいで弦が外れてしまったんだ。でも正しい弦の張り方が分からなくて、予備の弦も持っていなくて、泣きそうになった。誰かが助けてくれたけど、文字通り大失敗だった。今でもよく覚えてる。大変な思いをしたけれど、ギルドホール音楽院の時にはきちんと準備ができていた。そういう経験は誰にでもあると思う。誰もが失敗から学ぶんだよ!

DB: 学生生活はどうだった? 自分のスタイルを確立する過程という点でも?

音楽的な背景という意味では、僕はかなり特殊だと思う。よくギターの先生と口論になったよ!クラシック音楽以外に、僕は伝統的な日本の音楽からJポップやロック、ヘビーメタル、スペインやインドの音楽にも影響を受けてる。アイルランド、スコットランド、ウェールズのケルト音楽も大好きだし、ジャズやブルースも好きだよ。ポップ音楽も大好きだし、ほとんど何でも聴くよ! 僕が曲を書くときは、いつもこういう異なるスタイルや影響がミックスされて出てくるんだ。それが僕の演奏スタイルにもなっていると思う。

DB: 誰の影響を受けていると思う?

日本と英国の音楽大学がで作曲を学んだから、J.S.バッハのようなクラシック作曲家から多くの影響を受けているし、モーツァルトやベートーヴェン、ショパンからも大きな影響を受けたし、オーストリアの作曲家、A.シェーンベルクからも。もちろん、僕の恩師であり、父のような存在である藤井敬吾先生は、永遠の、そして無限の影響力を持っている。彼からすべてを学んだという感じだよ。もちろん、みんな僕の中で本当に大きな部分を占めているんだけど、ただ、これらはクラシックの側面からだけなんだ。僕はスティーヴ・ヴァイも大好きだ。彼が僕のギター・ヒーローかな。フラメンコの神様、パコ・デ・ルシアも大好きだよ。残念ながら彼は数年前に亡くなってしまったけど。

インド音楽の巨匠達、ラヴィ・シャンカールやザキール・フセインも大好きだよ。まぁ、きりがないけれど、ここで挙げたのは最も大きな影響を受けた人たちだね。クラシック・ヴァイオリニストのヤッシャ・ハイフェッツや、ピアニストのウラディーミル・ホロヴィッツも入れたいな。他にジョン・ペトルッチ、イングヴェイ・マルムスティーン、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ヴィクター・ウーテン、hide (X Japan)、アンドレス・セゴヴィア、ワンダ・ランドフスカ、トミー・エマニュエル、マイケル・ジャクソン、エド・シーラン…そろそろ止めた方がいいね(笑)!

DB: 日本だけでなくスペインやケルトの音楽、そしてヘビメタ、ジャズなどからインスピレーションを得ていると。それらはどんなふうな位置付けなの?

ある意味、それらは… 友達とか、恋人とか、パートナーとか、そんな感じなんだ。人生の中である時に出会って、できればだけど、それが一生続く関係になるような。家族でもいいし、食べ物でもいいんだけどね。僕はお寿司、チーズ、ピザ、カルボナーラ、フィッシュ&チップス、ケバブ、カレーとかが大好きで、きっと一生、ずっと愛し続けると思うんだよね。

同じ理由で、カレーだけでなくインド音楽も好きなんだ! それから日本の音楽、ヘビーメタル、ほとんど全部のギター音楽、僕が好きなものすべてに、すべての音楽や食べ物に対して同じ思いを抱いている。今もたくさんあるし、もっともっと増えてほしい。きっとそういうのって、僕の心に、あるいは皮膚で、あるいは僕の身体のどこかで(あるいは舌で!)、人生のどこかで共鳴することができたものだと思うんだ。

まぁ、そんなわけで、今もいろんな音楽を愛し続けてるんだと思う。食べ物もね。たくさんの友人達、音楽、食べ物が大好きなんだよ!

DB: あなたの創作には独特のスタイルがあると思う。曲はどのようにして生まれるの? 

20年近い音楽活動の中で思うのは、例えば雨が降っていなくて、暖かくて、何となく気分が良い朝に思いつくことが多いかな(←何も考えてない時)! メロディックなアイデアやコードやトーンのアイデアを思いつくのは、一日の中のそういう時間だと思う。クラシックの訓練を受けた作曲家として正直に言うと、特別なインスピレーションがなくてもランダムに音を選んですぐに3分の曲を書くことはできる。でもお察しの通り、それらの曲には感情移入できる要素が少ないかもしれない。だから素晴らしい作曲をいつでもどこでも、というわけにはいかないんだけど、現実的に言えば、いつでもどこでも書けると思ってるよ。

DB: アルバム『Four Seasons』は自然にインスパイアされていますね。アイデアはどこから? どんな環境で作られたの?

このアルバム(2017年)は、日本の伝統楽器である三味線を弾く、一川響という素晴らしい奏者との出会いから始まった。彼の「津軽三味線」はすごいよ。彼もまた、イギリスでファースト・アルバムをリリースしたばかりだった。幸運なことに、僕とアルバムを作るアイデアを気に入ってくれて、僕らは約1年以上かけて制作に取り組んだ。曲のアイデアを練り、日本の音だけでなく、季節や時間、国や場所、色んな音を使って何ができるか話し合った。思っていたよりずっと時間がかかったけど、結果的に様々な感情、スタイルや国の音楽を表現できた。ある曲は悲しくてメランコリック、ある曲はハイパーでノリノリ。このアルバムの曲は、今も僕を楽しませてくれているよ。

DB: 制作にはどれくらいの期間が? 大変だった?

すごく! リハーサルからスタジオに入って、僕らに合ったマイクを選ぶまで全部。彼は日本の伝統的な楽器を、僕はスペインの楽器を使ってるから、同じスタジオ、同じ部屋で、極端に異なる楽器をレコーディングするのは、最初はとても大変だった。スタジオ・レコーディングの経験もなければ、編集、ミキシング、マスタリングの経験もなかった。エンジニアに質問ばかりしていたから、彼はきっと僕らにうんざりしていたと思う。まぁ、つまり、いい思い出でいっぱいなんだ。一番のポイントは、僕らが今でも本当に仲良しで、一緒に演奏していて、いつもいい音で演奏できることだと思う。

DB: ヤマハのギターを使われていますが、理由は?

これも面白い話なんだ。大きな会場で演奏するようになったとき、PAシステムやアンプに接続できるギターが必要になった。それまではクラシック・ギターの演奏にマイクは使っていなかった。当然のことだけど、いつも生音なんだ。でも大きな会場で演奏するようになると、より大きな音を出す必要があった。それで地元の楽器屋さんに行って、ヤマハのギターを手に取って実験してみたんだ。

YAMAHA C40

C40という一番安いモデルに、ドリルで穴を開けて、自分でマイクとピックアップを取り付け、どうにかしてアンプにつないで音を出すことができたんだよ! ヤマハのギターは、最もバランスの取れた楽器のひとつだね。どのポジションでも、どの弦を弾いても、常に、ほとんど保証されているかのようにバランスが取れていて、変に大きな音が出たり、小さすぎたりしないんだ。ヤマハのギターはもう10年以上使ってるよ。

(このあと、新しく買ったというギターを見せてもらいましたが、それはまた次回のインタビューで。)

ニュー・ギター!

DB: 現在取り組んでいるプロジェクトは? そのアイデアや想いは?

実は今、かなりいろいろなプロジェクトに取り組んでいる。フランスを拠点に活動しているTSUJI (辻仁成)という伝説的な日本のシンガーソングライターと仕事をしているんだ。彼は数々の賞を受賞している作家であり、映画監督でもある。 日本では100タイトル以上、ヨーロッパでも何冊か本を出版していると思う。今、彼と一緒に仕事をしていて、6月と9月にフランスでちょっとしたツアーのブッキングを受けたんだ。今一番大きなプロジェクトはそれかな。

それからインドのタブラ奏者、ディーパック・ヴェンカテシュヴァランとの新しいユニットでデビューシングルをリリースしたばかりだ。タブラっていうのは指と手で叩くインドの打楽器。彼とはFingers HQという新しいユニットで活動を始めて、『Jinglevisation』というシングルをリリースしたんだ。 それも今取り組んでいるプロジェクトの一つだよ。もちろん新しいソロアルバムの曲も書き溜めてる。それが僕のメインの仕事のはずなんだけど、幸運なことに本当に忙しくてね!

またMojoというシンガーソングライターとも仕事をしてるよ。 昨年は『hide ‘n’ mojoz』というユニットで『Beau Sky』というファースト・アルバムをリリースしたんだ。そしてもちろん、できれば今年もたくさんのフェスティバルに行って演奏したい。全部をすぐに実現するにはかなり無理があるんだけどね!

DB: クラシック・ギターのレッスンもしていますね。どのような人が対象? 大切にしていることは?

実は僕の演奏スタイルに興味がある人なら、誰にでも教えてる。ロンドンに来てもう25年になるけど、全くの初心者のような生徒もいるし、小さな子も教えてるよ。70歳以上の生徒もいるし、セミプロや音大を目指してる人もいる。誰にでも喜んで教えるし、アイデアを共有したいなと思っている。ていうのも僕の恩師である藤井敬吾先生はホントにホントに親切で、ほとんどすべてのことを僕に教えてくれたんだ。僕はそのことにすごく感謝してるから、僕の生徒達にも同じことをしてあげたいって思ってる。

僕がエレキ・ギターを始めたころは友達の古いギターを使っていたんだけど、誰も教えてくれる人はいなかった。僕はギター雑誌を読んだり、ビデオを見たりしていた。そうやって学んできたんだ。YouTubeやオンライン・レッスンで学ぶのももちろんいいけど、すぐそばで見て、感じて、聴くことができればもっといい。本物の音を聴きたいし、本物のギタリストの技を間近で見たい。僕はそうやって学んだし、先生には本当に感謝してるんだ。

DB: フェスティバルやイベントへの出演も多いですね。例えばチェコ・オストラヴァの「ジャパニーズ・デイズ」「ジャパニーズ・デイズ」など。どんなどころが気に入ってる?

ジャパニーズ・デイズは、主催者の一人にたまたま見つけてもらったんだ。突然メールがきて、すぐに「イエス」と答えた。20年近くイギリスで演奏してるけど、イギリス以外の国やロンドン以外の小さな都市で演奏する機会は、つい最近まであまりなかった。さっきも言ったように僕は新しい人に会ったり、新しい音楽を聴いたり、新しい食べ物に出会うことにすごくドキドキするんだ!

僕はいつも自分の音楽やアイデアを新しい人達と共有したいと思ってる。だからフェスティバルでも、新しい音楽に出会えるかも、って思ったんだ。招待されて演奏するだけでなく、世界中のいろいろなミュージシャンの演奏を聴くことができるんだから、これは素晴らしいボーナスだと思う。ミュージシャンなら誰もが夢見ることじゃないかな? だから、僕はこうやって演奏できることがとっても幸せなんだ。エキサイティングな音楽、食べ物、人々、そしてインスピレーション! これからもそんな豊かな人生を送りたいと思っているよ。

DB: インタビューにご協力いただきありがとうございました!

ダニエルさん、ありがとうございました!:-)

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京都府出身。ロンドンを拠点に活動するギタリスト。15歳の頃からエレキギターを始め、19歳の頃からクラッシックギターを藤井敬吾氏に師事。1999年からギルドホール音楽院 (Guildhall School of Music & Drama) で学び、奨学金を得てギルドホール音楽院のバチュラー(楽士)、演奏家ディプロマ、作曲家ディプロマを取得。音楽的バックグラウンドはインド、日本の伝統音楽、ポップ、ロック、ヘヴィ・メタルと幅広く、クラシックギターの新しい可能性を追求し続けている。2023年にフランスをベースに多方面で活躍している辻仁成とロンドンで出会い「2Gz」を結成。イギリス、フランスでのツアーを皮切りに活動を展開。作品に一川響(津軽三味線)とのコラボ『Four Springs』、シンガー・ソングライターTim Hopkinsとのコラボ『RED SHOES GREEN TEA』、自身の作曲作品集『SKY FLOWERS』、『FEATHERINGS』、Mojo Ozawaとのコラボ『Beau Sky』など。 公式ウェブサイト:www.hideguitar.com

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