
ハーブにご興味が有られる方であれば、「セントジョーンズワート」というハーブの名前をお聞きになられた方も多いのでは?
セントジョーンズワート
St John’s wort
学名:Hypericum perforatum

セントジョーンズワートの花
このハーブから作られた錠剤やエキス剤(チンキ剤)などは薬局やヘルスケア・ショップなどで売られていますが、イギリスでは実際の植物も散歩道で見かけます。
地中海地方の国々に行きますと、割と道路脇やビルの間などの空き地などで見かける事がありますが、ロンドン市内などの街中ではあまり見かけないハーブでもあります。
私自身はロンドンより1時間ほど離れた郊外に住んでおりますが、セントジョーンズワートは一部の開けたフィールドなどで見かけます。地方によっては、道路脇などで(雑草処理がされていなければ)見かけることがあるかもしれませんね。

毎年セントジョーンズワートを見かける野原
<どんなハーブ?>
5枚の花弁を持つ黄色い花で、束状になったおしべをつけ、花弁や葉の縁、茎には黒い斑点(油線)があります。
学名Hypericum perforatumの「perforatum」は、ラテン語で「貫通した」という意味。この葉には半透明の油線も存在し、太陽の光にすかすと、まるで穴が空いた様に見える「perforated」の姿を見つける事ができるでしょう。
英名の「St John’s wort」は、この花が咲き始める6月のヨハネの日(6月24日 St John’s Day)に伝統的に開花収穫されることから名付けれています。(地球温暖化の影響もあってか?最近がは6月上旬でも満開の年も多いですが)

黒い斑点や線が見える花弁や蕾
黒い斑点(油線)を多く含む花を指でこするとまるで「血」の痕跡の様な色を見せます。
何かが突き刺さったような穴のような姿、そして血の色を見せることから、昔から、この花から作られるレメディは「切り傷や刺し傷のレメディ」として知られています。

<レメディの作り方>
外用薬となる浸出油は、花を使って作られます。
クリアなガラス瓶に、摘んだ花を7分目ほど詰めて、花がしっかり被る量のマッサージ用オリーブ・オイルを入れて、日光がよく当たる場所で1週間から10日ほど置きます。花には水分が含まれていますので日中は水分が蒸発するように蓋は開けておくか、ガーゼなどの蓋を利用しましょう。
濃い赤色になったら、中の花を漉して出来上がりです。

花を摘んで瓶に入れ、オリーブ・オイルを注ぎます。

中の水分が蒸発できるよう、日に当てている時は蓋を開けるかガーゼなどで通気をよくしておくのも良いでしょう。

濃い赤色の浸出油。
出来上がった浸出油は、殺菌消毒したガラスの遮光瓶等に入れておくと、冷暗所で半年くらい保存できます。
<使い方・効能は?>
オイルには優れた消炎作用や鎮痛作用があり、外用薬として裂傷、やけど、神経痛、関節炎の痛みなどの外用薬として役立ちます。内服薬としては開花中の地上部を使います。
薬理作用
ハーブ・ティーやチンキ剤、錠剤は、抗うつ・神経系回復強壮・鎮静・抗ウイルス・収斂・鎮痛・抗炎作用などがあり、軽い鬱に対しての効能については多くの研究がされてきました。落ち込みやうつ、そして不安が強い時などに利用できます。
PMS や更年期の気分の浮き沈みなどにも、私は良く処方いたします。但し一部のホルモン剤との併用は禁忌がありますのでホルモン治療中の方は避けてくださいね。
使用上注意:
◆光過敏性反応が発現することがあるため、日中の多量の使用は注意が必要です。
◆妊娠授乳中の使用に関しては注意し、多量の使用は避けてください。
◆軽度~中度の抑うつ症状に用いられますが、一部の薬との相互作用があるため、
◆免疫抑制剤(シクロスポリンなど)、強心剤(ジゴキシンなど)、気管支拡張薬(テオフィリンなど)、血液◆凝固防止薬や経口避妊薬、などの特定の薬を使用中の方は禁忌あるいは注意が必要な場合がありますので医薬品との併用の際は、必ず専門医の診断を仰いでくださいね。
またセントジョーンズワートが見つかるところには、花の姿形が似ているHairy St John’s-wort(学名:Hypericum hirsutum)も見かける事があります。本稿でご紹介しているHypericum perforatumと違い、こちらは茎に綿毛が生えており、葉が長いのが特徴。採取する時は間違えないように気をつけましょう。

Hairy St John’s-wort (Hypericum hirsutum)。これと間違えないように!
イギリスでは丁度これからの季節、6月初旬から数週間にかけてセントジョーンズワートの開花が始まります。このハーブを見かける地域にお住まいの方は、是非採集や浸出油作りなどを楽しんでみてくださいね!
「セントジョーンズワート見分け方」の動画もよかったら参考にしてみてください。
実際にご自身でも使ってみたいと思われるか方は、拙著もご覧になってみてくださいね。
『メディカルハーブハンドブック』(説話社)
https://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=50
