イギリス出国・日本入国・ホテル監禁・狂想曲 <後編>

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Hideさんのライヴが終わって帰路につく頃には電車も終わっていたので、ブリック・レーンで買ったサーモンとクリームチーズを挟んだベーグルをかじりながら、ナイトバスに乗れるバス停まで20分ほど歩きました。真夜中の土曜のショーディッチは昼間よりも大勢の人々で賑わっていて、COVID-19の影も形も見えません。

1日に何万人も感染者を出して、これから1日に20万人も感染者が出る日が来るのかもしれないという見解が報じられているイギリスですが、とんでもない酷暑の中で見事に全ての人がマスクをして、毎日テレビでワクチンにいかに対峙するべきかと事細かに報じている日本にいた時と比べると、日本に滞在中は当たり前だと思っていたことが途端に息苦しく感じられるのです。

私を羽田空港まで迎えに来てくれた従姉妹は、「この一週間の間に4回も検査を受けて、全部陰性だったアヤちゃん日本で一番ピュアだけど、今私たちからウィルスうつされるかもしれないんだものねぇ」と笑っていました。

COVID-19を厳重に警戒をして過ごすのも、COVID-19をなんだか胡散臭い話だと無視するのも。1日も早くワクチンの接種を待ち望むのも、またワクチンは疑い深い得体の知れないものだからと拒否するのも、私個人は、それぞれの判断で自分が一番良いと思う方法で対処するのが良いと思っています。

私が日本を発つのと入れ替わりに東京オリンピックが始まりました。世界中から選りすぐられたアスリートが活躍するオリンピックの舞台である日本は、洗濯物が2時間でカラカラに乾いてしまうという酷暑の中、厳重にマスクをして人々が生活しています。

イギリス、日本どちらの国が賢明なのか、今後COVID-19禍がどのように影響していくのか、私には全くわかりません。オリンピックに出ることを一生の夢として日夜努力を続けているアスリートにとっては、オリンピックが中止になるなんて言語道断なことでしょうが、普通の暮らしをするのも一年で最も大儀な日本の真夏に、それも、全世界がパンデミックで戦々恐々としている中、オリンピックを開催する意図が全く理解できません。

去年の夏はロンドンで、イギリスの感染者も大変少なく喜んでいた一方、気温が下がり始めたら怖いねなどと友達と話していました。感染者が増え続けている今年の夏、一体冬はどんなことになるのやら。通常の生活を送れる日が1日も早く戻ってくることを祈るばかりです。(終わり)

 

 

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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