#そうだ Kew(キュー)行こう

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私がインスタグラムで閲覧するものと言えば、微笑ましい動物たちの動画と食に関するものが多いかな。今年の3月、インスタを見ていると突然私の目の前に現われた一枚の写真。同時に「このカスタードドーナツ食べに行かなきゃ!」そう決めた自分がいました。木のテーブルに銀色のお皿。無造作に並べられたカスタードドーナツ。ふと昔食べていたドーナツを思い出す。なぜか懐かしい気持ちになれたのです。そしてその写真の美しさ。光と陰、切り取り、人、笑顔、言葉…こんな素敵に私も撮れたらいいのにといつも思うのでした。いつか必ずこの写真のカスタードドーナツを食べに京都に行くんだ!と。

意外にも早くその誓いは実現することとなりました。まだ肌寒い4月、それは心に誓った3月の翌月のこと。私はいつものように飛行機で兵庫の実家に帰りました。桜が満開、でもその日は朝から冷たい雨が降っていました。京都の雨はひときわ冷たくてiPhoneの地図片手に手も足もきんきんにかじかみます。かじかみながら龍安寺参道商店街を急ぎ足で歩いていると、大きな窓の白い壁「Kew(キュー)」に辿り着きました。どきどきしながら中に入ってみるとカウンター7席の最後の1席が私を待っていてくれました。そしていつもインスタグラムで見ていたお二人の笑顔も私を出迎えてくれました。

切りたてのチーズケーキ、焼きたてのマドレーヌ、思わずキッチンを覗き込んでしまいました

ここでしか食べられないスイーツ。東京に住んでいるから今この時しか食べられないスイーツ。季節の旬のフルーツが添えられたチーズケーキとドーナツはイートインのみ。その他のメニューはその日のお楽しみ。この日はマドレーヌ。マドレーヌは注文後に型に生地を入れて焼き上げます。熱々のマドレーヌと冷たい自家製アイスクリーム。私は季節限定のいちご尽くしでお願いしてみました。まずはいちごが添えられたチーズケーキと、焼きたてマドレーヌに自家製いちごのアイスクリーム。そしてアイルランド生まれのCampbell’s Perfect Teaにミルクをたっぷり加えました。注文したデザートで埋め尽くされた私のカウンター、少し欲張りすぎたかなと思っていましたが、真横の女性も私と同じだけのデザートを注文されていました。思わず顔を見合わせると彼女の幸せそうな笑顔。その表情に私もほころんでしまいました。真っ白な壁に覆われた7席の店内は笑顔いっぱいで、かじかんでいた手も足もいつの間にかあたたかくなっていました。

店主の方に龍安寺のお話をしていただき、お店を出た後訪れてみました。雨の中、ひとり気持ち静かにお庭を散策したあと、美味しかった「Kew」のデザートを思い出しながらバスで河原町に向かいました。「あっ…カスタードドーナツ食べてない…」なんてことでしょう!?あれまでに心に誓ったカスタードドーナツを私は食べていなかった。大ショック (T-T) 京都でしか食べられなかったドーナツだったのに。その日からまたもや私はインスタグラムでカスタードドーナツを追い続ける毎日となったのです。今度こそはと心に誓いながら…。

そんな毎日を続けていたある日、「Kew」の店主である大木健太さんと奥様の真奈美さんの記事を読むことになりました。健太さんはロンドン在住だった頃、モダンブリティッシュの老舗レストラン「St.JOHN」(セント・ジョン)のペストリーシェフとして修業を積んでおられたそうです。その後帰国し出張イベントなどを経て今年3月のオープンに至りました。それを読んだ時、初めて健太さんのカスタードドーナツを見た時の“懐かしさ”の意味が理解できました。

ロンドンにbakeryの他、レストランも構える。レストランではトレードマークの豚の通り、肉の部位をあますところなく提供してくれる。こちらはOxford Streetに面する老舗デパート「Selfridges」にあるbakery。

看板商品のドーナツ。バニラ、ラズベリー、バタースコッチ、チョコレート。

以前私達はビートルズで有名なアビーロードのある街、St.John’s Wood(セント・ジョンズ・ウッド)の駅の真向かいのフラットに住んでいました。地下鉄は早くて便利なのですが、私は時間がかかってもダブルデッカー(赤い二階建バス)でロンドンの街を歩くのが大好きでした。フラットの近くのバス停から113番か13番に乗り、Orchard Street Selfridges(セルフリッジズ)で降りると老舗デパート「SELFRIDGES」(セルフリッジズ)があります。そのデパートの中に「ST.JOHN」のベーカリーショップがあります。娘が学校から帰って来たら一緒に食べようとドーナツを買いによく足を運んだものでした。私の“懐かしさ”はまさにロンドンに通じていたのです。

13 to Aldwych

その後も毎日インスタグラムでカスタードドーナツを追い続けていたある日、私はビッグニュースを目にすることになりました。“AFTERNOON TEA with KEW & LBJ” 🇬🇧 LBJのリリー・オブライエンさんと健太さんの一日限りのスペシャルコラボイベント。リリーと健太さんはロンドンの「ST.JOHN」のペストリーシェフとして一緒に働いていた仲間。しかも東京、下北沢にあるお店「fog」さんで夢にまで見たカスタードドーナツを食べられるのです♡

イベント当日、私は南青山での用事を済ませ、急いで渋谷から京王井の頭線急行吉祥寺行きに乗り込みました。14時30分下北沢駅西口を出て早歩きで「fog」さんの前に到着すると、スタッフの方が整理券を配布されており「17時30分頃ご来店くださいね」予想通りの展開に納得 ( ´ ▽ ` )ノ 一旦帰宅して念願のカスタードドーナツに気持ちを整えることにしました。

整理券『75番』

fog 2nd floor

kew カスタードドーナツ & お皿にこぼれた砂糖

味の魅力はフルーツとスパイスのコンビネーション

リリーはジャム専門店ブランド、LONDON BOROUGH OF JAM(LBJ)を展開

京都で見た真っ白な壁にあふれたあたたかい笑顔が、ここ下北沢のfog 2nd floorにも広がっていました。ドーナツを頬張った瞬間、ふわふわの生地のてっぺんからあふれでたクリーム。それでいてずっしりと。お皿にこぼれるお砂糖がもったいなくて夢中で食べていたらあっという間に食べ終わってしまった。そして最後に残ったのは美味しい笑顔。冷たい京都の雨の日、龍安寺までの道を説明していただいた店主の真奈美さんにあの時はありがとうございました、と心の中でつぶやきお店を後にしました。私ひとり幸せいっぱいに下北沢から電車に乗り込んでから気づきました…娘へのドーナツを完全に忘れていた。( ̄◇ ̄;) ドーナツを楽しみに待っていた娘に、手ぶらで帰宅してしまった…。ゴメンなさい。今度は二人で京都に行こう。そして一緒に口のまわりを砂糖でいっぱいにして頬ばろう。京都、下北沢、そしてこれからもインスタグラムで初めて見たカスタードドーナツへの想いはまだまだ続くのであります♡

一階はfog linen work, 日々の暮らしに寄り添うオリジナル商品のお店。スペシャルコラボイベントはfog 2nd floorで開催。

#そうだ Kew 行こう

 

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【Kew】

京都市右京区竜安寺五反田町15番地
tel:075-406-0763
open:11:00-18:00
close:Monday+不定休
www.kewkyoto.com
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【St.JOHN Bar and Restaurant】
https://stjohnrestaurant.com
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【London Borough Jam】
https://londonboroughjam.jp
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【fog linen work】
東京都世田谷区代田5−35−1−1F
tel:03-5432-5610
open:12-6PM
close:土、日、休日
https://foglinenwork.com

 

 

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兵庫県伊丹市出身。東京都在住。主婦時々パートタイムジョブをこなす。子育て期をニューヨーク、ロンドンにて駐在生活を送る。思いつきのその日決めで行動する一匹オオカミ派。『成るように成る』をモットーに今世を生きる。水泳・ジョギング・登山・ウクレレ・映画・ライヴ鑑賞・奉仕活動と未知なる自分を今後も探求し続ける。Instagram: @n_amihey

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