非暴力、でも過激な“エクスティンクション・リベリオン”

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英国のメディアでは、すっかりお馴染みさんになっている「エクスティンクション・リベリオン」。いったい何者たちなのか、気になりませんか? ここ一年、混乱からいまだ抜け出せないブレグジットのゆくえにモンモンとし、(マッドキング)トランプさんが何をやらかすのかハラハラして目が離せないいっぽう、抗議運動に注目を集めることにかけて非常に長けている集団について募るばかりのモヤモヤを、ついにはらすことにいたしました(笑)。で、ウェブサイトであれこれ検索している今日も、朝の通勤ラッシュ時にロンドンの数か所で、活動家たちが地下鉄の車両によじのぼって抗議するという、新しいニュースが報道されています。

エクスティンクション・リベリオン(XR)は昨年5月、ウェールズでかつて有機農業を営み、異常気象による農地の破壊から環境問題活動に身を転じることになったロジャー・ハラム氏と、ヨークシャー出身の分子生物物理学者で博士号をもつゲイル・ブラドブルック氏が設立(ブラドブリック博士の前パートナーのサイモン・ブラムウェル氏を含むことも)。活動集団としての結成は10月31日で、ハロウィーンを選んだとは、いかにもXRらしい? ハラム氏はこの春までキングスカレッジで「市民的不服従」について博士課程をとり、急進的な運動を通じて社会に変化を起こす方法を研究していたというから、熱の入れ方も半端じゃありません。

他方、ブラドブルック博士は、早くから動物愛護運動に関心をもち、14歳で緑の党に入党。ほんの数日まえにも、運輸省の入った建物の入り口の上に立って、窓をノミで割る勇ましい彼女の姿が、英メディアを賑わせたばかりです。なにしろ過激なパフォーマンスが注目を集めるXRですが、(市民生活の秩序を乱しながらも?)ガンジーの非暴力抵抗運動やキング牧師の公民権運動、新しいとこではオキュパイ運動などの、「草の根運動」に触発された活動ゆえ、抗議行動参加者の顔ぶれを見るとほんとにふつうの市民なのです。ただ、目新しくて興味深いのは、(怒れる)年配の方々が、思い切った行動をとる傾向があること? 目立ってます。

そういえばついこないだ、元祖活動家女優のジェーン・フォンダ(81歳)が、ワシントンでの気候変動対策への抗議運動に参加して逮捕され、メディアがこぞって報道してましたけど、去る4月、ロンドンのオックスフォードサーカスで行われたXRのイベントでは、女優のエマ・トンプソンがわざわざロサンジェルスから帰国して参加したほどで、多くのセレブや著名な文化人が支援。そもそもXRは、約100人の学者が署名した公開書簡の発表とともに設立された組織なのです。そして、環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリさんに賛同する抗議デモに見られるように、XRのイベントもご多分にもれず、かなり若い世代が参加しているのも特徴…。

XRの運動は英国内に留まらず、いまや国際的となっていて、支部のある日本では代々木公園で「死んだふり大大大作戦(DIE IN FOR THE PLANET)」が行われたもようです。あ、ところで肝心のXRの狙い、これを忘れてはいけません。XRはさまざまな抗議運動と連動しながら、多くの人々の行動によって国を動かすことができるとし、政府に対して次の3つの要求を掲げています。・気候と生態における「緊急事態」を宣言させること。・生物の生息地消失を食い止め、2025年までに炭素排出量ゼロにするべく、即、政策を講じさせること。・気候と生態問題への公正な決断を主導する「市民議会(Citizens’ Assembly)」を創立させること。

XRの名前の由来やロゴの意味、そしてメンバーなどの興味深い裏話は枚挙にいとまなく、行ったイベントのメディアへの露出度も申し分ないので、記事も動画も次々と出てきてキリがなく、このへんでやめときます。なにしろ、「スーパーサタデー」を控えてるので…。ラグビーW杯の準々決勝のことじゃありませんよ、EUが合意したBoJo新離脱協定案が、明日、下院で承認されるかどうか…インピーチ・トランプ情勢もものすごく気になるけど、大大大混迷のブレグジットの運命や、いかに?

serendipity blog もよろしく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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About Author

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して11年目に突入。

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2件のコメント

  1. コメント、ありがとうございます!

    ニュースにたびたび登場するXRが、いったいどういう人たちなのか、ずう~っと気になっていたので書いた記事です。
    活動の過激さが、グリーンピースだとか、オキュパイだとかに近い感じで、かといって、抗議デモに参加している顔ぶれをみると、ほんとうに普通の人々だし、十代の若者や年配者が多いし…。
    いったいどういう組織なのか、気になってる方も多いのでは?と思いました。ニュースのリンクをみていただくと、XRがどんなキャンペーンをしているのか、よくわかっていただるかと…。

    というわけで、「市民生活の秩序を乱して?」と一行いれて、
    タイトルにもそんなニュアンスを残し…XRには、筆者のわたしが個人的に賛同しているわけでも、また趣旨を全面否定してるわけでもないのですが、なんだか、いいことばっかりを紹介しすぎましたね(苦笑)。

    過激な活動家が平和な市民生活を妨害…や、ほんとに迷惑千万、よくわかります!

  2. XEの提灯記事ですか。
    市民の生活を交通遮断と言う事で妨害し、不必要な警察警備関係の
    出動による我々の血税の無駄使いでは民意は得られないでしょう。
    唯の迷惑集団で出稿に値しないとおもいます。

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