ボスポラスの光、旋回の美、弥栄の都

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新年あけましておめでとうございます!  今年も皆様にとって幸多き一年でありますように♡

昨年に引き続きクリスマス休暇をイスタンブールで過ごしました。そのとき見たこと、感じたことを、新年のことほぎに代えてお贈りしますね ^^

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イスタンブールはボスポラス海峡を隔て、ヨーロッパ側とアジア側に分かれる世にも稀な海峡都市だ。「東西が出会う」街であり、コンスタンチノープルと呼ばれていた時代から宗教を異にする4つの帝国の都として数奇な運命をたどってきた。

イスタンブールを代表する建築物に、ブルーモスクアヤソフィアがある。前者は誕生のときからモスクであったのに対して、後者は4世紀に創建されたときはビザンチン帝国が国教としたギリシャ正教の大聖堂だった。その後、15世紀のオスマン帝国時代にイスラムのモスクへと改築され、現在は博物館として一般公開されている世界遺産である。

恥ずかしい話だが、今回、四度目の滞在にして初めてアヤソフィアの内部を見学した。質実剛健とした外観からは想像できない、繊細かつ荘厳な美に圧倒されてしまった。

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上述したようなアヤソフィアの情報は、じつは後から仕入れたものであり、ほとんど知識のないまま訪問したため、堂内にイスラム教で禁止されている偶像崇拝に値する装飾とイスラムらしい幾何学模様が同居している様子を見たときは、少し混乱してしまった。天井には天使が高らかに舞い、モザイク画から聖母子が微笑みかけているなど、純粋なイスラムのモスクではないことは明らかだった。

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天井では巨大なセラフィムが青い炎を燃え立たせていた。

天井では巨大なセラフィムが青い炎を燃え立たせていた。

キリスト(中央)とマリア、ヨハネが描かれたデイシス。

キリスト(中央)とマリア、ヨハネが描かれたデイシス。

侵略者としてやってきたオスマン帝国のメフメト2世がキリスト教の聖堂をモスクに改築するに際して十分な敬意が払われたらしいことは、オリジナルの装飾が復元されていることからも分かる。異文化への理解があったメフメト2世はモザイクを破壊せずに漆喰で塗りつぶしていたのだ。

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ロンドンに戻ってアヤソフィアについて調べた私は、この「大聖堂でありながらモスクでもある」アヤソフィアという建築物に、装飾はもとより、その歴史ごと魅了されてしまう。

「大聖堂でありながらモスクでもある」

これほど明確なメッセージもないなと、ロンドンのストリートを歩きながら、思わずニヤリとしてしまった。それは意図するしないにかかわらず、西と東が互いを認め、尊重しあい、融合へと至った姿だ。今の世の中にこれほどふさわしいメッセージがあるだろうか。

東西の融合はむろん、イスタンブールという街そのもののコンセプトでもある。それは地理や歴史、文化だけでなく、現在のトルコ政府の政策にさえみてとれるだろう。アヤソフィアは、このコンセプトを宗教レベルで体現している点でも特筆すべきなのだ。

経済は避けがたくグローバル化が進んでいるが、政治や宗教のレベルでは世界はいまだ分離へ向かっているように見える。21世紀も気づけば15年が過ぎたというのに、時代遅れもはなはだしい。新たな年を迎え、世界よアヤソフィアのごとくあれ! と強く願わずにはいられない。「何が違うか」に焦点を合わせるよりも、「何が同じか」に意識を向ければ、他者を受け入れ尊ぶことがより容易くなるだろう。世界は人で動いている。では人の本質とは何だろうか。驚くなかれ、全ての人の本質は、あなたと同じなのだ ^^

ともあれそんな東西融合という運命を背負ったイスタンブール。借りたアパートメントからの眺めが絶景だったので、シェアさせてください♪ 一日の時間帯によって光線の具合が美しく変化し・・・

これは午前中の眺めだったと思う

これは午前中の眺めだったと思う

午後の光

午後の光

夕景

夕景

日も暮れて・・・

日も暮れて・・・

夜景

ボクシング・デーの夜景

トレンディなガラタ塔の真横にあったアパートメントのトップフロアから。

トレンディなガラタ塔の真横にあったアパートメントのトップフロアから。

そういえば昨年イスタンブールを訪れたときに、イスラムの秘教、スーフィーの踊りを見た。

ダルウィーシュとも呼ばれるメヴレヴィー教団の僧たちがアッラーの神と一体となるため、白い衣装で身体をぐるぐると旋回させる宗教舞踊だ。トルコでスーフィズムは違法とされているため、この舞踊はあくまでも観光客向けのダンスとして披露される。

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旋回は左まわり。浄化の旋回だ。

旋回は左まわり。浄化の旋回だ。

あるイギリス人の霊的な旅を、アナトリアの神秘主義詩人であり、メヴレヴィー教団の祖でもあるメブラーナ・ジャラールッディーン・ルーミーの教えにからめて描いた『ラスト・バリア』によると、スーフィーのダンスとは「トランス状態となって神と一体化したようなエクスタシーを味わう」ために踊るのではなく、自らを神に捧げるために踊るのだそうだ。回転しながら、人は天からおろされる光の通路となり、自分自身を神へと捧げる・・・。

神のため=世界のために無心となって旋回すると、身体の中心に完全に静止している点ができる。あるのは神だけだということを知ると、踊る者はその点を中心とした宇宙を体験することができる、というわけ。ううむ、さもありなん。

 

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イスタンブールが「東西が出会う街」だとすると、ロンドンはさながら「世界が出会う街」。世界中からやってきた友達や同僚と毎日の生活の中で話し、接して価値観の違いを知り、理解を深め合えるのがいい。

そんなロンドンをこよなく愛するw 私が書いたガイドブック『歩いてまわる小さなロンドン』が、繁体語になりました! 台湾での書名は『倫敦:老派優雅的氣味』。中国人のお友達にオススメしてくださいね♪(←イスタンブールからひっぱといて、こういうオチ !? )

 

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About Author

江國 まゆ

岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系広告代理店にて各種媒体の翻訳ローカライズや日本語コピーライティングを担当。日本語翻訳リライトのスペシャリスト。2009年からフリーランス。趣味の食べ歩きブログが人気となり『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)を出版。2014年にAbsolute Londonを立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。

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