3つの話題:果樹園、植物盲、人口1%の大地主

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新緑が目に眩しい季節です。そしてロンドンの住宅の庭々では、リンゴの花も満開? この時期、あちらこちらでリンゴの花が咲いているのはじつに英国的な景色ですし、なんといっても、英国の果実を代表するのがリンゴ。が、イングランドでは、野鳥や昆虫に蜜を提供したり棲みかとなったりする、リンゴやプラムなどが植えられた小規模果樹園の数が、1950年代以来60%も減少してしまったそうなのです。で、原因? いわずもがな、農業の変化、市場原理、放置行為、そして土地開発など。そこで、野生生物の生息する小さな果樹園が創り出す、英国らしい風景の消滅を危惧したナショナルトラストが、現在、管理しているおよそ200カ所の果樹園に加え、2025年までにイングランドとウェールズに68カ所の果樹園を蘇らせる計画を発表。パチパチパチ!!

と、そんな記事を読み、リンゴの花咲くロンドンに思いを馳せながらすごしていた昨日(29日)、BBCのニュースサイトにアクセスすると、「plant blindness」という聞きなれない言葉が目に飛びこんできました。「植物盲」、とでも訳すのでしょうか? この時期は、新緑が美しい植栽のみならず雑草たちも元気に育つころ、雑草であれ、とにかく緑は環境と心に優しいものなのです。そんな草や木が目には入っていても、それを「認識しない」状態を指す言葉なのだそう。植物は、食物となる野菜はもとより、薬品などの化学研究においても、人間にとって重要で貴重。にもかかわらず、「植物盲」によって植物を軽視する傾向が広がりつつあり、将来これが破滅的な結果をもたらす、とコラムの筆者、ロンドン在住のクリスティーン・ローさんは指摘しています。

「植物盲」という言葉は、米国の植物学者が1998年につくったそうですが、心理学者の説明では、植物は動物とちがって形も色も単一的で動きがないため、そもそも脳が心的印象を認識しにくいのだとか。そしてわたしたち人間は、視覚的に知っているものだけ認知するので、どうしても「植物盲」が進んでしまうそう。けれど、植物に対する無関心によって、健康的な環境をつくる緑地が減少し、植物を使った科学研究も縮小…。なにより、大切な子供時代の「自然体験不足障害」が懸念されます。だからこそ、「植物盲」になりやすいという生来の傾向を、積極的に克服しなければなりません! やっぱり幼いころから自然に触れ、リンゴの花を愛でて大地を駆け回ることが重要? 大人も子供も、どこへ行ってもどこにいてもスマホばっかり見てちゃダメですよ。

そうそう、その「大地」ですけど、ガーディアンでは土地に関する記事を17日に続き28日にも掲載していて、読んで驚きました。だって、フリーホールドにリースホールドと英国の土地所有の形態は複雑だとはいえ、イングランドの土地のほぼ半分を所有しているのが、人口の1%にも満たない、って知ってました? その1%弱の25,000の地主のうち30%が、なんと貴族なのです。貴族が二度の世界大戦で没落したのを知っていたし(本も訳しました!)、水面下での(?)不動産王への転身には軽く裏切られました。地主はほかに、法人企業や「成金」(オリガーキーや銀行家)、公共機関などで、いわゆるマイホームオーナーはたったの5%…。ロンドンの不動産の値段は目が飛び出るほど高いし、21世紀になっても「平民」の持つ不公平感はやっぱ変わらない?

イングランドとはだいぶ事情がちがい、増え続ける空き家問題や、たとえ山を相続しても「負動産」となってゆく問題で悩むニッポンは、本日をもって「平成」が幕を閉じ、明日からは元号が「令和」となります。何もかもリセット、というわけにはいきませんが…。

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About Author

つつみけいこ

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して9年目に突入。

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