ピノキオにメリーポピンズ? おとぎの国のジョージとシャーロット

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どこを見ても、相変わらず緊張の続く世界情勢――。しかし、God Bless The Child。英国の王室に平和な時間が流れた7月5日には、シャーロット王女の洗礼式がつつがなく執り行われました。ロイヤル兄妹の愛くるしいお姿に、心をほころばせた方も多かったはず。だって、シャーロット王女は、将来絶世の美女になる片鱗をすでにのぞかせてるし、もうすぐ2歳になるジョージ王子は、ほんとに可愛いい盛りなんですもん。

メディアの関心はやはり、ヤング・ロイヤルファミリーのファッションです。シャーロット王女が身につけていた洗礼式用の超豪華レースのガウンは、何世紀にもわたって王室が代々受け継いできたもの…ではなく、なあんだ~、そのレプリカだそうです(ま、少なくとも、ジョージ王子からは引き継がれていたわけでした)。今回は、そのジョージ王子のファッションが、結構話題になってます。みなさまは、どう思われましたか?

お父上のケンブリッジ公が、弟のハリー王子の洗礼式で着たものとほぼ同じ「コーデ」で、赤い糸のスモッキング刺繍を施した白いブラウスと、現代的に丈が少々長めの赤いショーツ。じつにコンサヴァなトドラーファッションです。男の子が赤を着るのは、わたし的には好き。例えが例えですが、うちの兄も幼いころ、母の好みでよく赤を着せられていましたっけ…。キャサリン妃も、息子に赤を着せるのがお好きのよう。

ところがこのファッションを、「いやいや服を着せられるピノキオ」に見立てたのが、映画評論家のピーター・ブラッドショー(こういう発想もあるのか~)。あるいは、『サウンド・オブ・ミュージック』のマリアがカーテンで作った服みたいで、子どもは(母親の?)玩具じゃないんだ!と、ジョージに同情することしきり…。本当にあの服が嫌いなのか、一度、ジョージ王子ご本人にうかがってみる必要があるかも。

イメージがピノキオだってサウンド・オブ・ミュージックだって、なんか、世間離れしてて、いいんじゃないですか? そして同様に、メディアと世間の目を引いたのが、「ナニー」の姿。あの古風なデザインの制服から、すぐにノーランド・カレッジ出身のナニーだとわかりましたけど、あの帽子が「まるでメリー・ポピンズ」だと…。そういえばそう見える? ピノキオとお姫さまのお世話ですから、イメージはぴったし?

加えて話題になったのは、あのヴィンテージっぽい乳母車! じつはわたしも憧れまして、優雅に乳母車を押して歩きたいと、大昔、外国人の引っ越しガレージセールで手に入れたんです。が、哀しいかな、背が低すぎてどう見ても漫画。それよりなにより、置き場所に困りました(すみません、またまた平民のわたくしごときの話題で)。ま、ともかく、ロイヤルファミリーはメディアにとって、いつの時代もネタの宝庫。

一方、洗礼式の公式写真を撮ったのは、グラマラスな写真でお馴染みのマリオ・テスティーノです。ところが、スナップ&両家が一堂に(マイナス、アフリカ滞在中のアンクル・ハリー)揃った集合写真に対し、美術評論家のジョナサン・ジョーンズは、「テスティーノのレンズが捉えた素顔の笑いはまったくのフェイク」とバッサリ切り捨て、「子どもたちもファッションアクセサリーにしか見えない」と、なかなか手厳しい批評でした。

そう言われてみれば、ロイヤルスマイルが嘘っぽく見えてくる? 素人目にも、やっぱり、母親としてのキャサリン妃の撮った子どもたちの写真のほうが、なんか伝わってくる感じ? あ、ところで、シャーロット王女のゴッドペアレントがだれか、ご興味のある方はこちらを。いやはや、ロイヤルファミリーを話題にこのまま書き続けていると、キリがなさそうですので、今日はこのへんで…。

 

p.s.

じつは、710日発売のMr. Partner に、「ダウントン・アビー」ブームにからみ、昨夏出版した『使用人が見た英国の二〇世紀』の訳者への「スペシャルインタビュー」として(なんとも恥ずかしい)、記事が掲載されてます(しかも、なんとプロフィール写真入り)。英国好き必読の雑誌です! 機会ございましたら、記事もごらんくださいませ。

また、同日発売の中央公論8月号で、梨木香歩さんが「書苑周遊」(248249ページ)の「新刊この一冊」に、『ヴェネツィアのチャイナローズ』を選んでくださいました。たいへん美しい文章の素晴らしい書評なので、はたして本の訳者が、わたしでよかったのだろうかと、かえって心配になりますが(なにしろ訳者は、原書の面白さを別の言葉で伝えるという、重い責任があるのです)、「薔薇にかぎらず、○○熱のウイルスを身の裡に潜ませているひとなら、共感する本に違いない」と書いていただき、これまでの緊張がようやく解けた気がします。多くの方々にぜひ読んでいただきたい、ほんとに素敵なお話なのです。

ablon #22 w-w-k

 

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About Author

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して11年目に突入。

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