記憶の引き出し

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cafevisit


大きなアートショップがあるので
私は年に数回、Angelに行く

いつもは、急いでいる事が多いので、アートショップで買い物を済ませると
さっさと又地下鉄に飛び乗って戻って来る

でも、先日行った時は天気も良かったし
気分が楽しくなって来たので、久しぶりにAngel界隈をお散歩することにした

やっぱりこの辺りは楽しいなー

お洒落なブティック、カフェ、レストランが沢山あって
アンティーク屋さんが多くて、そして、週末になるとマーケットもある!
暮らしていて、飽きない町だろうな...

なんて、思いながらアンティーク屋さんを覗いていたら
とても素敵なスカーフに目が留まった

その時ふっと、遠いい昔の日の事を想い出した

それは、母と25年位前にこの辺りを散歩した日のこと

アンティーク好きの母と私は、お店を一軒づつゆっくりと見て歩いた
母は、ある店で見つけたジュエリーを一つお土産に買った
それは、確か伯母へのプレゼントとして買ったもの

大粒の琥珀がついているペンダントなんだけれど、とても変わっていて
あの沢山の中から,よくぞ見つけ出した!という代物だった
母にはそういう目利きがあって、ヨーロッパを旅している時に
沢山並んでいる中から
【ちょっと変わったイイ物】を見つけるのが得意だった。

私も、あの日何かを買ったのかもしれないけれど、覚えていない
どうせ大したモノではなかったのだろうな

母と私は、琥珀のジュエリーを買うと次ぎの店に入った
そしてその店で、今でもよくする
スカイブルーがステキな私のお気に入りのスカーフと出会ったのだ!

こんなに大好きなスカーフなのに、どこで手に入れたのか
すっかり忘れていて
時々「どこで買ったの???」
と、想い出そうとしていたのに、なぜかずっと想い出せないでいた

それなのに、
こうして、同じ場所に来て
同じようなヴィンテージスカーフを目にした途端に
頭の中の塞がれていた回路が開通し、ビビっと信号が送られ
ある引き出しが開き
そして、あの日のファイルが出て来る…….

頭の中は一体どうなっているのだろう???

さて、【Angel 界隈と、忘れていた事】
という2つのキーポイントで検索してみたら
頭の中でもう一つファイルが見つかった!

こっちは、すっかり忘れていた人のこと

これも30年位前のこと、記憶は消えそうだ……

当時、私はシティーにある日系銀行でバイトをしていた
午前中だけ3時間の都合がよくてペイもよいバイト

そこで、私達は出会ったのだ

彼と私の机が向き合っていて
広くて人の少ないオフィスの中で、私達の2つの机がなぜか
小さなアイランドの様に
ポツン と、他のスタッフ達のデスクから離れていた
だから?私達は、よくお喋りをした

その彼は南アフリカ人、もう名前は想い出せない
彼も英国人女性と結婚してロンドンに来てまだ数ヶ月
この銀行で働き始めたのも私と丁度同じ頃だった
そのせいか、新婚、外国人、新人同士の私達は
ちょっぴり気があったのかもしれない

ある日、私達はドリームハウスについて、話をした

「もし、お金が幾らでもあったら、ロンドンのどこに暮らしたい?」
と、私が訊いたら、予想外の即答が返って来たのだ。

「絶対に、僕が住む所は
Islingtonの運河の近くで
ジョージアンの建物で広い庭に面している2階部分のフラット!」

その当時、Islingtonには友達も居なかったし
行く機会が全くなかったので、私の暮らすホランドパークからは
遠く離れた町のイメージだったし、私の中で
【ロンドンのお気に入りの町、住みたい町】リストの中に
絶対にノミネートされなかったのがIslingtonだった

だから、その彼の一言には、驚いた!

それから私は運河のあるAngel / Islingtonに興味をもって
時々その近辺を散歩をする様になったのだ 彼に感謝!!!

そんなことで、母が来た時にもあの辺りを2人でよく歩き回った
母とお店を覗きながら歩いていると、休みがない!

彼女には、喫茶店で休む習慣がなかった。
そして、遂に歩きすぎておなかが空くと

「アイスクリームとポテトチップスがあれば,最高なの!」
と言う母なので、私達はよくランチをこの2つで済ませてしまった

時にはフィッシュ&チップス屋さんで
チップスを買って、公園でのんびりと食べたり
時には、パブでフィッシュ&チップスを食べた事もあったなー
オー懐かしい・・・

あら!  パブというキーワードから、もう一つ
【Angel界隈と忘れていた記憶】のファイルを頭の隅に発見!

それは、クリスマスの想い出、これが一番古い記憶だ!

私は結婚する前、ロンドンに6ヶ月暮らしていたことがあったのだけれど
この想い出は、その年のクリスマスちょっと前のこと

どういうわけか
私はキャロルシンギングで募金集めをするグループに加わる事になった
そのグループの中心的なメンバーがAngelに暮らしていたということで
あの界隈でキャロルシンギングをすることになった

10人位だったかな?   彼の小さなフラットに集った私達は
暖かくて甘くてスパイシーなモルドワインを飲んだ後
Angel近辺にある数軒のパブに入り、クリスマスキャロルを
いきなり歌い始める。そして、一人が募金を集める

さて、その募金は、どこに寄付したのだろう?
どうだったのか私は全く覚えていないけれど・・・

ほんと?うそ!まさか?
その後パブで乾杯したお金になったとか???

今思い返しても、初めてロンドンに暮らした時の
とても楽しい想い出だったのに

私はそんな事があった事を、すっかり忘れていた!
すっかり忘れていた想い出を
ふっとした時、何かのきっかけで、こうして想い出すことが時々ない?

経験したこと、覚えた事は、全て絶対に忘れないで頭のファイルに
閉じてあるのだということを、以前何かで読んだ事がある

私のこの小さな頭の中に、今でもどんどんどんどん毎日毎日
ファイルがふくれあがって、でもちゃんとどこかに仕舞われている
なんて、考えると凄く不思議。

でもねー、あれどこに閉まっちゃったんだった???

ということ、しょっちゅうあるのと同じで
いくら全部、頭の中でファイリングされていても
ささっと、それを取り出せないと意味がない...

いつでも必要な時に、さっさとファイルを出して
そして終わったらまた元の位置にキチンと仕舞える人が
頭の良い人、ということなのか?

私の頭の中のファイリングは、いったいどうなっているのだろう???

やっぱり…、きっと…、めちゃくちゃなんだろうな。

th_TheElkintheWoods07May2015

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【きょうのヒント】
さて、今回のヒント?
ここは簡単に見つかるから、ちょっとだけ

「Angelの駅を降りて、まず楽しい小路を歩け!」
それで多分見つかるはず!

【前回のこたえ】
Senzala Creperie Bar & Cafe
Brixton Village Market, 41-42 Coldharbour Lane, London SW9 8PS
opening hours: 11:00-17:00 Mon, 10:00-22:00 Tue/Wed, 10:00-23:00 Thur/Fri, 9:00-23:00 Sat, 9:00-22:00 Sun

Have a good day!

カオル

 

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About Author

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東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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