先日、2月28日に英国ロイヤルバレエの『冬物語』を観てきました。2016年に高田茜さんとともに日本人として20年ぶりにロイヤルバレエのプリンシパルとなって話題をさらった平野亮一さんが、主役の一人を演じている演目です。
といっても、場所は映画館の中。ロイヤル・オペラハウスで上演される演目を、生中継で観られるサービスがあるんです。これはすごい。限られた観客しか生の空間をシェアできないロイヤル・オペラハウスでの素晴らしい舞台を、 イギリス全国や世界各地の指定映画館でオンタイムのライブ放送で観られるという、嬉しい試み。
映画館でのライブ情報はこちら:
https://www.roh.org.uk/cinemas
「冬物語」のシネマ情報はこちら:
https://www.roh.org.uk/showings/the-winters-tale-live-2018
スクリーンでバレエを観る何よりの醍醐味は、ダンサーたちの豊かな表情を間近に見て、息づかいを感じられることですね。とくに私が驚いたのは、平野亮一さんの“演技”……!
バレエでここまで“演劇的”な表現を披露できるダンサーってどのくらいいるんでしょうね。
シェイクスピア原作の『冬物語』は、シチリア王一家とボヘミア王一家の友情、愛と嫉妬、分離と和解の物語。疑惑という名の悪魔に取り憑かれた悲劇のシチリア王を演じるのが、平野さんです。
自然に「演じる」って書いちゃってますけど、本来ならば「この役を躍る」ということなんでしょうが……。
バレエは研ぎ澄まされた肉体を持つダンサーたちによるパフォーマンスの流麗さはもちろん、情感豊かな表現力、インパクトある振り付け、ふさわしい衣装、ダイナミックな舞台芸術など全ての要素がからみあう総合芸術ですよね。全身全霊でダンスに打ち込むことを要求されながら、さらにあれだけの演技が必要とされるのは……今回はシェイクスピア劇だったから、なおさらなのかもしれません。世界最高峰のダンサーたちによる素晴らしいパフォーマンスを堪能しましたが、中でも平野さんはまるでセリフを声に出してしゃべっているのかと思うほど、「もの言う」ダンスだったなと感服したのです。
舞台の後半、強い嫉妬と疑惑に翻弄され妻と子供を失ったシチリア王は、失意と贖罪の日々を送ります。屍同様の王(鬼気迫る演技!)と、王を精神的に支え続ける侍女長の真摯な優しさと人間愛を表現するコンテンポラリーな振り付けが秀逸でした。そして和解の大団円……。英国ロイヤルバレエの『冬物語』。とても胸に迫る感動作でした。
3月21日まで上演中。お見逃しなく!
The Winter’s Tale@ROH
http://www.roh.org.uk/productions/the-winters-tale-by-christopher-wheeldon
そして!
この度、素敵なご縁をいただき、平野亮一さんがバレエ人生とイギリス生活について個人的な思いを綴っていくブログを、「あぶそる〜とロンドン」にて連載していただけることになりました。平野さん、快くお引き受けくださってありがとうございます!
バレエ・ファンの皆さんはもとりより、バレエにふだん関わりのない生活をされている方にも、間違いなく興味深い連載になると確信しています。ある分野において、世界の頂点を極めた方が発信するメッセージには、多くの方にとっても意味があると思うからです。バレエに対する想いや情熱、哲学が披露されるだけでなく、料理や食べ歩き、写真が趣味という平野さんの楽しそうなイギリス生活も垣間みることができるはず♪ 連載は4月吉日スタートです♪
それから明日、3月10日には、NHK BSプレミアで平野さんと高田さんという英国ロイヤルバレエで活躍するお二人の日本人プリンシパルを追ったドキュメンタリー「英国ロイヤルバレエ 茜と亮一・プリンシパルの輝き」が放送される予定♡ UKからは残念ながら見られないと思いますが、日本にいらっしゃるラッキーな皆さん、お見逃しなく。
では英国ロイヤルバレエのプリンシパル、平野亮一さんの新連載、お楽しみに♪