英国で働くチャンス! スタートアップ・ビザ

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皆さんは英国滞在のオプションとして「スタートアップ・ビザ / Start-up visa」があることをご存知ですか?

Start-up visa
https://www.gov.uk/start-up-visa

私は最近、何度か耳にすることがあり「おお!」と何かが閃きました。ただほとんど知らなかったので、ちょっと調べてみました。すると昨年2019年4月に発動したビザであることがわかると同時に、これは「英国で働いてみたい」と思っておられる全ての元気な皆さんにとって、素晴らしい朗報なのではないかとピンときたのです。そこで少しですが調べたことをシェアしてみますね。

響きが似ている「起業家ビザ(Tier1)」というのは、皆さんもご存知の通り元手がたっぷりある方のためのビザです。最低でも20万ポンド(約2600万円)くらい必要なので、一般の若い世代にはあまり関係ないビザでした。でも、このスタートアップ・ビザというのは必要な資金証明が945ポンドぽっきり。これならいけそうだと思いませんか?

さて、どういう人が申請できるかというと、ビジネス・アイデアを持っている人です。ちょっとしたスタートアップ・アイデアが必要とされているのだと思います。私はこのビザについて聞いたとき、真っ先にこう思いました。

「イギリス上手いね。今の移民制度のままだと優秀な外国人起業家でもなかなかイギリスに居つくことが難しいけど、このビザならチャンスの裾野が大幅に広がるし、新たな面白いUKブランドを育てるための素晴らしい布石になる」。

そしたら、やはり政府の意図はその通りでした。

“best global talent and maintain the UK’s position as a world-leading destination for innovation and entrepreneurs”.(これからもイギリスが世界をリードしていくぜ、他国の助けを借りながらな ^^;)

さて、そのスタートアップのアイデアなんですが、ビザ申請前に政府が認めている起業アイデアの認証機関で、審査を受けなければなりません。認証機関のリストは、下記リンクで参照できます。

https://www.gov.uk/government/publications/endorsing-bodies-start-up/start-up

テック系はさすがに多いですね。でもでも、全ての分野に開かれています! あらゆるビジネス・アイデアを受け入れてくれると見て間違いないと思います。

基本になるのは、以下のような要素のうち、どれか当てはまる部分があることではないでしょうか?

1)イギリス経済を活性化させる
2)イギリスというブランドのイメージアップに貢献する
3)現地コミュニティやカルチャーの活性化につながる
4)世界にとって画期的なアイデアである

もちろん外国人である私たちにとって、母国との関係性ももしかすると強みになるかもしれません。日本的な要素を絡ませていくのも手ですよね。

今回調べてみてわかったのは、Tier1の一部だった「Graduate Entrepreneur visa(大卒起業家ビザ)」がなくなっていることでした。このスタートアップ・ビザは、その代わりというか、イギリスの大学を卒業していなくても起業できるという意味で、より広い層に向かって開かれたビザだと言えそうです。

さて、最後に私から少しアドバイスを・・・

私も時折イギリスで働きたいという方にお会いします。でも実は「イギリスで働く」ことが目的じゃないんですよね〜^^ イギリスで暮らしたい。そういう方がほとんどです。イギリスの文化が好きだから、そこで暮らしてみたい。暮らすためには働く必要がある。だから「イギリスで働きたい」。

そんな皆さんが、このスタートアップ・ビザをどのように利用できるかについて、私ならこうアドバイスします。スタートアップ・ビザを獲得するために、本当に必要なものは何なのか。

1)イギリスが好き!イギリスで暮らしたい!という意味不明のパッションがあること。
どの国よりもイギリスに興味がある。イギリスの特定の分野に興味があり、そこをもっと掘り下げてみたい。などなど、「なぜイギリスなのか?」の部分が明確になっていて、底知れぬ情熱があること。ここが必須だと思います。そこがクリアであればあるほど、可能性が高まると思います。

2)意味不明の諦めを持たないこと。
「すごいアイデアが浮かばないから、自分はダメかな〜」と思わないこと。「私なんて・・」と思わないこと。ここは非常に大切だと思います。だいたいにおいて、人生の出来事は全てご縁です。イギリスにご縁のある方は、どのような道筋を通っても、ここにこられるでしょう。だから、どんなアイデアでも、ある一定のクオリティをクリアしていれば、認証機関の担当者の気まぐれで「OK」の認証をもらえることになると思います。

3)長い準備期間が必要だと思わないこと。
「いつか実現したい」ではなく「今やってみる」というのがいいと思います。人生、勢いってとても大切です。何かしたいことがあり、イギリスと結びつけることができるなら、すぐにビジネス・プランを練ってみてはいかがでしょう?

実は最近、このスタートアップ・ビザを取得したという日本人女性にお会いしました! その方は長らく海外との接点がある仕事をされているのですが、スタートアップ・ビザ用のプランを練るにあたっては、ご自身の専門を生かしたものに絞って、なおかつイギリスとの接点を取り入れたそうです。申請にあたっては、所持金証明用の945ポンド以外に、1300ポンド程度の申請料・雑費が必要だったとのこと。

実際に取得された方のお話を聞いていると、「やはりご縁なのだなぁ」という思いを強くしました。イギリスに残りたいという思いと、ご自身の専門を生かしたいというプロフェッショナリズム。彼女は大変優秀で豊富なお仕事の経験のある方で、現在はある日系機関で専門職としてパートタイムで働きながら、ご自身のプロジェクトも並行して進められています。とはいえ、もちろん仕事の経験年数が少ない方にも、開かれているものだと思いますよ ^^

このスタートアップ・ビザは、2年間有効です。その後、人生がどのような展開になるのかは神のみぞ知る(笑)。これもご縁で展開していくのだと思います。このビザが登場したことが示しているのは、「移民の締め出し時代が終わり、英国の門戸がふたたび解き放たれた!」ということだと思って間違いないと思います。

「ワーキング・ホリデー」ビザとの大きな違いは、自分のアイデアで勝負をする! という能動的な部分ですよね。どんなアイデアでも、プランとして育てていくことができると思います。ピン!と来た方は、ぜひ政府のページを覗いてみてくださいね^^

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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