暮らしに工芸を、こころに豊かさを。

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Kentish Town Stores  ケンティッシュ・タウン・ストアーズ

自宅で過ごす時間が長くなったことから、日常生活で使うものを見直した、なんていう方は多いのではないでしょうか。好きなものに囲まれていると、より楽しく豊かな気持ちで暮らすことができますよね。例えばコーヒー作りの道具だとか、花瓶とか調理器具とかキャンドル・ホルダーとか。毎日接するものこそ、お値段と相談しながらもお気に入りを揃えたいものです^^

日々を豊かに、という視点で何かを探すなら、私なら間違いなくセラミック。でもわざわざ暮らしを見直さなくても、身の回りは大好きな食器で溢れかえっているので(笑)いかに買わないようにするかが私の場合は課題かもしれません。

そんな私が、北ロンドンのケンティッシュ・タウンのハイ・ストリートを通るたびに気になっていたお店が「Kentish Town Stores」。先日、ようやくフル・オープンしているのに気づいて訪れてみました。少し奥まった場所にあるお店のガラス越しに見えていたのは、たくさんの素敵なセラミック作品たちだったのです♡

Kentish Town Storesがオープンしたのは、ちょうどパンデミックで外出規制が始まる直前、2019年12月でした。英国在住のクラフト作家による作品やアルチザン・メーカーたちの商品を扱う素敵なライフスタイル・ストア兼、アルチザン・カフェとして誕生。生みの親は、ロンドンや地方で開催されるアート・フェアのディレクターを務めていたルーシー・ノエルさん。まさにこのエリアで生まれ育って現在も暮らしている彼女は、この物件が空きそうになったタイミングを逃さずゲット。改装やデコレーションも友人や家族と一緒に仕上げたという手作り空間でもあります。

ミニマルな感じ。

すっきりとしたギャラリーには木の温もりがあります。奥にはカフェ・カウンターがあり、通常は中にもテーブルが並べられるようですが、この日は太陽の光で温められたお店のフロントで一休みするために、コーヒーとケーキを注文してみました。

アーモンド・クロワッサン、美味しそう!

これは特別感が漂っていたお菓子。出どころは未確認。

デニッシュ類はハックニーにあるベーカリーから仕入れ、その他のケーキ類はお店の奥で焼いているそうです^^ 何が並んでいようともキャロット・ケーキがあると逃しません!笑

お店のフロントはハイ・ストリートの喧騒をかろうじて逃れ、現在は静かな時を過ごすことができる貴重な屋外席となっていました。キャロット・ケーキはしっとりとした生地で甘さ控えめ。クリームチーズ・フロストと一緒にペロリといただいてしまいました。

さて、Kentish Town Storesでは英国をベースに活動する作家さんや、クラフト食品や日用品の作り手さんたちをサポートしています。ルーシーさんのバックグランドありの取り扱いなのかと思いきや、さすが現代的な手法だと思ったのですが、インスタグラムで声がけする作家さんも多いそうです。その方が写真から得られる印象がはっきりしているので、誰かの紹介などというよりもイメージ通りの作品を取り扱えるメリットがあるのかもしれません。

すごく気になった! 重ねられるマグカップ。陶器のスプーンも素敵。

並んでいる作品たちを見ていると、はっきりとルーシーさんの好みがわかりますよね^^  手作りの温もりの中にもスタイリッシュな輝きがあるもの。現代の空間にマッチする滞りのなさ。ちょっとクセがなさすぎる感じもしますが、似たようなテイストのものを数多く揃えることで柔らかな空間を演出することができそうです。室内に植物をたくさんに取り入れる「ナチュラル」路線がイギリスのインテリア・トレンドですし、土ものも流行っているので、そこにも合致している感じがします。

取り扱い作家さんのリストはこちら:
https://kentishtownstores.com/shop-wares

そういえば先日、日本でお世話になっている方と久しぶりにメールでやりとりをさせていただき、民藝の話が出て考えさせられました。民藝は今も昔も人の生活になくてはならない暮らしの手工芸であり、工業品の素っ気なさに嫌気がさすと必ず戻ってくる場所でもあります。まさにこのケンティッシュ・タウン・ストアーズで扱っているような工芸作家さんによる作品ですね^^

民藝は暮らしを温かく彩り心に栄養を与えてくれるもの。触れることで土の温もりを思い出すと同時に、職人さんへの感謝が自然に湧き上がってくるものでもあります。ケンティッシュ・タウン・ストアーズではツルツルのセラミックも扱いますが、作家さんの思いは、日本の民藝作家たちと同じような場所にあると思います。

同じ型やデザインを繰り返し作ることで、熟練される何か。そこに作り手が持つ思いや、美と呼ばれるものの本質が横たわっているのだと思います。イギリスのアーツ&クラフツ運動と直結している何かですよね。イギリスにいて居心地よく感じるのは、そういう職人気質の人々が今も同じ視線を保っているからなのかもしれません。

ケンティッシュ・タウン・ストアで扱う作品は、どれも30ポンド前後なので、ギフトにしたり、自分へのご褒美にしたりと大いに活用できそう。ご興味ある皆さんは、ぜひ足をのばしてみてください!(上階はコワーキング・スペースみたいです)

230a Kentish Town Road, London NW5 2AB

店名Kentish Town Stores
最寄り駅Kentish Town
住所230a Kentish Town Road, London NW5 2AB
電話番号020 8127 5755
営業時間月〜金 8:00 – 15:00 土・日 9:00 – 14:00
URLhttps://kentishtownstores.com
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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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