愛を循環させる季節

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クリスマス三が日も終わりましたね。皆さんはどのように過ごされましたか? 今年のイギリスは通常のように別々の所帯を持つ家族・親類・友人同士が集まることができず、内輪だけのこぢんまりとしたクリスマスになりました。

親世代、子世代が一緒に過ごせない現象が起きて自粛モードではありましたが、レストランに駆け込めない代わりに、誰かの家に行けなくなった代わりに、自宅で料理をすることになったたくさんの家庭が直前のクリスマス食料品ショッピングをする姿が微笑ましく感じられました。肉屋さんへはクリスマスの1週間前くらいから毎日のように長い行列ができていましたし、クリスマス・イブの朝は魚屋さんへの行列も見事な尾ひれを描いてました^^

クリスマス・デー当日は長時間かけて七面鳥やチキンをオーブンで焼き、こんがり黄金色に焼き色をつけたジャガイモや芽キャベツなどを付け合わせにして、皆で取り分けながらたっぷりといただきます。

私はイギリスに来て22年。過去を振り返るといろんなクリスマスを過ごしたな〜と感慨深くなります。旅先で過ごすこともしばしばでしたし、伴侶の親族や親友宅で過ごしたり、伴侶と二人だけの時もありましたし、友人宅で過ごしたりもしました。でも自分自身がクリスマスをホストしたことは一度も・・・ない! ことに気づかされました^^;

おつまみはいかが?^^

今年は外で人に会うことが難しい状況だったので、何度か自宅でサポートバブルの会を催しました。サポートバブルというのは、一人で暮らす親や子ども、兄弟、親戚、友人などを孤独から守る制度で、特定の家庭同士が縁組味をして助け合います。サポートバブルが必要な人はイギリス中に今、たっくさんいると思います。

私も今年は身動きが取れなくなったことから、クリスマスに人を迎えるという初体験をしました。在英歴が長くても、初体験はまだまだたくさんあるものですね^^

オレンジとインゲンのサラダ。ペコリーノ・チーズとヘーゼルナッツがアクセント。以前にコベント・ガーデンのMargotでいただき感動したものを自分流に再現したもの。

さぁ、やると決めたらメニューを練りましょう。伝統のクリスマス料理は意図的に避け、自分が食べたいもの、作りたいものを勝手に用意(笑)。写真以外にも何品か作ったのですが、当日は忙しくてほとんど写真は撮らずじまい。ほんの数枚、料理写真を撮った分だけご紹介しています ^^

こちらはナスのロースト+タヒーニ・ソース。好きなものを組み合わせたオットレンギ風。ナス+タヒーニ・ソース+ラズベリーの組み合わせは、以前コベント・ガーデンのBarbaryで見て以来、再現したかったアイデアです。ドンピシャな味にできてハッピーだった一品 ^^

クリスマス当日は、何度経験しても新鮮に感じます。日本のお正月とは、また少し違う感じ。だって当日にご馳走を作って食べるのですから、朝から大忙しです。もちろん前日から仕込みはするけど、できることは決まっているし、テーブル・セッティングその他、料理以外の準備も大切ですしね ^^

以前おすすめコメディ・ドラマとしてご紹介したGhostのクリスマス版でも、主人公が「クリスマスにこなすことリスト」を作って家族を迎える準備をしていました。クリスマスはそれほど、イギリス社会で大きく大切な(そしてプレッシャーが強い!)行事なのです。

スーパーに鶏胸肉しか残ってなくて作ったヘルシーな主菜w パルマハムとパルメザンチーズを塩気として巻いているのですが、ミントとプレザーブ・レモンをビネガーで和えたものを隠し味に。付け合わせはローズマリー風味のカネロニ・ビーンズのマッシュ。チキンはそこそこ柔らかかったけど、グレービーがあるともっとよかったかも! と反省・・・^^;

クリスマスは料理を作って食べることだけがお仕事ではありません。最も大切なのは、その過程の中で生まれる交流、ですよね。楽しくいろんな話ができる場を創るのが、ホストの役割。お料理って、その会話を盛り上げるための脇役です。

食卓を囲む=家族と同じ。広い地球上で、クリスマスに同じ食卓につく人たちって本当に身近で大切な者同士であるはずだし、ご縁のある方々です。改めてそう認識してみると・・・どうですか? 今年、あなたが一緒に過ごした人たちを、ふだんもぎゅっと大切にしたいなぁって思いませんか?

2日前に作ったラム・ローストを再利用(!)した中東風ご飯。いろんなレシピを合体させつつ、手持ちの食材で作ったため未完成品の印象が強かったけど ^^; これを作るためだけにラム肉をローストしてもいいと思った一品。当日作ってバンと出したい締めのご飯。工夫するとさらに美味しくなるはず。サイドにキャロット・ケーキ風味のにんじんサラダとテンダーステム・ブロッコリーのスモーク・パプリカ・バターを作ったよ。

クリスマスの時期は、日本で言う歳末助け合いのような様相になるのですが、今年は街角で募金活動を目的としたブラスバンドを見かけることもなく、少し寂しい気もしましたが・・・それでも無事クリスマスを終えることができてよかったです。

さて、私のクリスマス・ディナーはこの後、抹茶ブラウニーのあんこ添え+ブランデー&シャンパン・クリーム(ヒット商品!)→チーズの盛り合わせと、クリスマスらしいフルコースで進み、フォートナム&メイスンで仕入れたミニ・ミンスパイ、そしてM&Sのチョコレートまで用意していたのですが・・・最後までたどり着くことはできず。笑

お決まりのクリスマスソングをBGMに、苦しいお腹を抱えながら、何時間もかけてワインを何本かあけ、ゆったりと話をしながら・・・心を通わせました。温かい空気が形づくられ、誰もが誰もに感謝し、遠くにいる大切な人にも思いを馳せながら・・・。

年末のこの時期はだから、人と人との絆をいつも以上に大切に感じる季節。大きな視点で一年を振り返りつつ、関係性を見直して来年を迎える準備をしたいですね ^^   愛は必ず循環します。人と人の交流の中で、一見、一方向に感じられる愛の流れも、必ず双方向で受け取っているものがあるからです。そして受け取っているものはそれぞれに異なり、本人にしかわかりません。だから「愛は常に循環している」と考えると、自分の貢献に誇りを持ち、もっと胸を張って生きられるようになると思うのです。

日本はいよいよ忙しない年末のスタートですね! どうぞ心を失わず、この時期だからこその交流を楽しんでくださいね。

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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