サマセットの贈りもの:あるエステートの新章が始まった【2】

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2019年8月末にオープンして以来、そのラグジュアリーなスタイルと大規模なアトラクションですっかり地元の人気者になっているThe Newt in Somerset。300年の歴史を誇るカントリーハウス・エステートを現代のレガシーへと変貌させるべく、細部にこだわり6年の歳月をかけてホテル&ガーデンを完成させました。

昨年末には早くもBBCの人気番組「Remarkable places to eat」に登場して食にうるさいフランス人プレゼンターを唸らせ、ガーデン専門誌は「数年もすればシシングハーストやボドナントなど国内の誉れ高き名園と肩を並べるようになるだろう」と太鼓判を押しています。

そんなニュートを知るため、今回私が参加したのは主にガーデンやファーミングの魅力を掘り下げるゴージャスなツアー、The Great Garden Escape。Great Western 鉄道とのコラボレーションによりロンドン・パディントン駅からファースト・クラス車両で往復し、ガイド付きで庭を巡ってシェフ渾身の季節のランチを堪能するとっておきの1日です^^

今回は350種の野菜や果物を育てているキッチン・ガーデンを通り抜けた前回の散歩に続き、自然美たっぷりのウッドランドへと分け入ります。

森林浴のできるウッドランドは私のお気に入り♡

ところで新しいオーナーは、なぜThe Newt(イモリ)なんていう風変わりなエステート名にしたのでしょう?

これは改築・改園中に敷地内で見つかった珍しいイモリたちにちなんでいるそうです! ここにはイギリス国内に生息している3種のイモリの全てが揃っており、 ついでにイモリの再生力のご利益?にあやかろうとしたのだとか^^  風変わりな名前ですけど、ちょっと現代的な感じもしますよね。そこが狙いだったのかな? なんて想像してしまいますが^^

次は広大な鹿公園を通り抜け、またまた林に入っていくのですが、今度は個人的にこのツアーのハイライトの一つだと感じた “空中遊歩道” を通って抜けていきます♪

野生の鹿たちを見ることができるディア・パーク!

林の中に入ると・・・こんな不思議な遊歩道が!

高みのある遊歩道を使って林の中を通り向けていきます・・・とっても幻想的。

まさに空中の散歩道。

高所恐怖症気味の私でも大丈夫でした^^

林の中をうねりながら通り抜けていく長〜いウッドデッキの遊歩道ブリッジ。かなり高い場所に設置されているため、空中庭園ならぬ「空中遊歩道」なんて呼びたくなってしまいます。はたから見ていると実に幻想的な光景ですし、自分で歩けばフィクションの中に飛び込んだような面白い錯覚を味わえます。

林を抜けるとまた一つ、とってもユニークな施設が待っていました。それは「The Story of Gardening Museum」。ガーデンの歴史と今を博物誌的に読み解いて見せてくれるガーデン・ミュージアムで、相当な知識と技術が投入されていることが分かります。ここでも担当者の方が待っていてくださいました^^

 

ここはまさにガーデナーたち、庭好きたちのワンダーランド。エキゾチックなイスラムの庭から、中国や日本が代表する東方の香り、英国庭園の醍醐味、現代都市の屋上庭園まで、古今東西のガーデンの真髄を万華鏡のように味わう面白い造りになっており、ガーデンに興味がなくても確実に楽しめる場所。いわんや庭好きなら必訪! 私自身、かなり楽しむことができました^^

このメイン・スペースにもインタラクティブな仕掛けがいっぱい。

国や時代を反映した小部屋が連なっています。

バーチャル体験も!

インタラクティブなミュージアムを存分に体験したら、ランチを楽しむために一路ガーデン・カフェへと向かうのですが、そこまでの道が素敵すぎました!

サイダー造りのための果樹園、ホテルとなっている母屋を点景として、広大なサマセットの景色を堪能できます。

ガーデン・カフェも少し高みに作ってあるので、窓からガーデンの美しい眺めを展望することができるのです。

こちらがガーデン・カフェ。カフェと言っても出される料理はレストラン・クオリティです♪

朝食からランチまでオープン。

6月から9月末までの週末に催行されるGreat Garden Escape は18名程度が定員だそうですが、いつも満員に近い予約が入るようです。その一行がこちらのカフェに入ったらすぐに食事ができるよう、素晴らしいオーガナイズで事が進んでいくのですよね〜。すべてにおいて物事が滞りがちなイギリスでは考えられない手際の良さですw

テーブルには、3種の前菜がすでに鎮座♡ キッチン・ガーデンで採れた新鮮な野菜で作られた料理たちはもちろん、自家製パン、農場で作った乳製品など、そのカラフルな様子にすっかり嬉しくなりました!

夏らしい色合いのスターターたち!

多種類のビーンズをサラダに。新鮮な素材が持つ勢いと、プロの調理法が際立つ絶品サラダでした。

ヘリテージ・トマトのサラダ、オレガノとオリーブ・オイルのドレッシング。新鮮であればこれだけでご馳走!

メイン・コースの一つ、スパイスしてグリルしたナス、タヒーニ・ソース、グリーンレンティル添え。大地を感じる一皿。レシピを知りたい! 右は本日のシェフ。

ラム肉の炭火焼き、ハーブ・ドレッシング。まったく臭みのない美しく美味しい一品でした。

デザート! 季節のフルーツを使ったパンナコッタ♡生き生きしてます。

食器類はほぼすべてショップで扱っているので、気に入ったらぜひ^^

この日のランチは最高でした。ロンドンの実力派トップ・レストランの数々やバルセロナの名店で腕を磨いたヘッドシェフが、そのすべてをキュレートしてくれています。味わいも、バランスという意味でも、ボリュームの面でも、考えに考えて組み立てられたことがわかる申し分のない献立。素材の良さが際立ち、こういった食事を毎日食べていたらきっとみんなが元気になるに違いないと心から思う。大地を直に感じる滋味深〜い食事でした。

ここに来ればきっとまた地球と仲良くなれる。ニュートはそんな思いを抱く場所なのですよね。

カフェ・レストランからの眺め。

次回最終回はニュートの名産品であるクラフト・サイダーや帰りの電車での出来事などについてお伝えします♡

The Newt in Somerset
https://thenewtinsomerset.com

The Great Garden Escape
https://thenewtinsomerset.com/great-garden-escape

<つづく>

ガーデンのある暮らし:あるエステートの新章が始まった【1】

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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