ガーデンのある暮らし:あるエステートの新章が始まった【1】

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イギリスらしい休暇?  日常からのエスケープが必要ですって? それなら2019年にオープンしたばかりの話題沸騰のホテル・エステートで、ガイド付きガーデン&食ざんまいの1日はいかがでしょう? 

例えばロンドンからファーストクラスの列車で優雅に出発。美しい牧歌風景を楽しみながら、車内で5つ星ホテルのリッチなコンチネンタル・ブレックファストを。オレンジ色のレンガが輝くジョージアン・エステートに到着後は、専門家の案内でガーデンを散策。りんご園やランドスケープ・ガーデン、樹々が生い茂る林や鹿のいるフィールドを歩き回り、ほどよく疲れた後は敷地で採れた新鮮な食材を使った贅沢な3コース・ランチとワインで存分にお腹を満たします。ショップやカフェものぞいて十分に楽しんだら、りんご酒造りに精を出す職人さんから話を聴きながらイギリスで作ることができる最高峰のサイダーをテイスティング。心も身体もすっかり満たされたら、幸せの余韻に浸りつつ一路ロンドンへ。遅い午後にファーストクラス車両の椅子に身を委ね、高級オープン・サンドとスコーンのアフタヌーン・ティーで癒されちゃう^^

いかがです? そんな夢のようなGreat Garden Escapeツアー。パディントン駅から9月いっぱい、毎週末催行しております♪  今日は私のツアー体験をみなさんとシェア! 日本からご覧になっている皆さんにはバーチャルな旅をお楽しみいただきたいですし、イギリス在住の皆さんには、ぜひ実際に体験していただきたい究極のエスケープなのです。

さて、目指すのはThe Newt in Somerset(ザ・ニュート=イモリ)。風変わりな名前のホテル&ガーデンですよね。パンデミック期であるとしても、およそ320ヘクタールの広大な敷地に立つスパ付き23室のブティック・ホテル&ガーデンは南イングランドで近年最も華々しいオープンであることは間違いなく、ホテルの方はすでに連日予約でいっぱい。ロンドンを含めて近郊でもかなり話題になっているらしくなかなか宿泊は難しくなっているようですが、このエレガント極まりないガーデン・ツアーは皆さんに開かれています〜。

ツアーの出発地点はこちら、パディントン駅1番プラットフォームにあるファーストクラス・ラウンジ♡ ここから1時間半、イングランド南西部のサマセットまで列車に乗っていきます♪

こちらで集合してツアー担当者さんにご挨拶。飲み物とビスケットのサービスを受けられます♪

時間が来たら、いざファーストクラスの車両へ♡

この日の仲間たちが肩から下げているバッグをご覧いただけますか? 下記のような今回の旅を彩るアイテムたちが入っているのです。そして朝食も!  朝食付きと聞いたときは車内で温かいものがサーブされるのかと思っていたのですが、その数倍もこちらの方がスペシャルであることに、広げてみて改めて気づきました。

旅程や簡単な紹介が書かれた「パスポート」のほか、立派な扇子(!)、それからマスクや消毒用スプレーのキットなど、至れり尽くせり。夏の間だけの催行なので、扇子が入ってるんですねw

グレート・ガーデン・エスケープの始まり!

ジャーン。

この朝食セット、コンチネンタルと言ってバカにしてはいけません。5つ星ホテル級の母屋で出されているものと同じものが入っているんです。 ロンドンではなく、サマセットのエステートから届けられた新鮮な朝ごはん! しぼりたてのみかんジュース自家製グラノーラと地元産バッファローのミルクからエステート内で作られる濃厚なバッファロー・ヨーグルト、季節の果物のコンポート、ホテルで焼かれたクロワッサン、ジャム&バター、英国産ポークのクラフト生ハム。

ハムの包装も素敵でしょ? バッファロー・ミルクのヨーグルトは本当に濃厚でした♪

最寄駅はCastle Cary。駅までホテルのバスが迎えにきてくれているので、スムーズな移動でした。駅からは10分もかからないくらいの距離です。

ホテルの宿泊客と、ガーデン訪問者の入り口は別のようで、バスが止まった駐車場からこの緑の中を歩いて入っていきます^^  これだけで癒される何かがあり・・・

ゲートに到着! 納屋を改装したものです。

エントランスの納屋では季節に応じて様々なアートを展示しているそうです。右は屋外のサイダー・バー!

エステート産のハウス・アップル・ジュースがお出迎え!さっぱりとした上品な味です♡

到着すると、すぐにガーデンに詳しいスタッフの方のガイド・ツアーが始まります。

下の写真、建物の造りをご覧いただくと、石の色が少し赤っぽいことにお気づきでしょうか?  これは地方特産のオレンジ色の濃い石灰岩を使っているからなのですって。コッツウォルズ地方の石はもう少し黄色い感じなので、イギリスは土地によって石の色に特徴があり、それが街並みの色に反映されるのも面白いですよね。

エステートの現オーナーは南アフリカ生まれのメディア王、クーズ・ベッカーさんと元エルデコの南アフリカ版編集長も務めていたカレン・ルーさんご夫婦。18世紀から230年間にわたって所有していたホブハウス家から2013年に買い受け、現在の形にしました。夫妻はすでに南アフリカでゴージャスなワイナリーの運営に乗り出しており、こういったビジネスも今後手がけていくみたいですね^^

ガーデンは代々のホブハウス家の人々のパッションでもあり、敷地はそれぞれの代で主人たちの薫陶を受け、有機的な進化を遂げてきました。20世紀後半になると、著名なイギリス人ガーデン・デザイナーのペネローペ・ホブハウスさんが当時のオーナーからの依頼で現在の基礎を築いたようです(姓は感じでも一族ではなさそう)。ニュートはその志を受け継ぎ、この広大なガーデン・エステートを新たなレベルへと引き上げようとしているのですね。

その第一歩として、ニュートでは農場としての機能を復活させ、リンゴのサイダーやチーズなどを自家生産する施設も作りました。特にエステート内で育てたリンゴで作るクラフト・サイダーは名産品! 果樹園は敷地の外縁にありますが、このガーデン内にもバラエティに富んだりんごを植えて楽しませてくれます。ちょうどこれからりんごの季節なので、秋以降も訪れると楽しそうですよね。

ありとあらゆるリンゴのショーケース!

キッチン・ガーデンに移動します!

ここで採れた野菜をホテルのレストランやガーデン・カフェで食べさせてくれます!

ウリ科の植物がちょうど実りのときを迎えていました♪

ニュートのガーデンは、イギリスの他のエステートと同じようにランドスケープを楽しむことも目的として造られています。歩いていると色の折り重なりにうっとりとし、目も心も軽くなっていくような・・・自然が持つヒーリング力を全身で感じることができるはず。ここだけの話、ガイドさんの話を聞いても聞かなくても、それぞれの心と会話しつつ楽しんでいただきたい・・・そんな思いを強く感じました。

「植栽カラー」はこのガーデンの大きなテーマの一つ。カナダ人のカラー専門家のアドバイスによって現在の形に。

風景と溶け込むようにデザインされた植栽。ヴィクトリア朝時代からある種を残すなど古いものへの敬意も。

昔、庭師が住んでいた小さな家が残されています。2階建ての小さな建物に、子ども9人の家族が住んでいたそうです!  この小屋の周りはなぜか子どもたちに大人気で、すぐ隣にあるパーゴラやこのサークルで楽しそうに走り回っていました。

色には本当にうっとりします♡

小屋の中を撮影! 笑 10人以上で住むなんて、きっと仲の良い家族だったのでしょう^^

キッチン・ガーデンの近くから母屋を望む。池の噴水が気持ち良さそう。

 

次回は、なぜこのエステートがThe Newt(イモリ)と呼ばれているのかについて、それから驚きのガーデン・ミュージアムをご紹介します!

The Newt in Somerset
https://thenewtinsomerset.com

The Great Garden Escape
https://thenewtinsomerset.com/great-garden-escape

<つづく>

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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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