「迷走マイホームロード in ロンドン」 vol.3: プロベートって何ですか?の巻

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ついにマイホーム2.0候補を見つけた我ら4人+1匹。

しかも、購入プロセスがぐっとシンプルになるチェーンフリー物件。
嬉しさに小躍りしながら、早速オファーを出してみた。

「オファーを出す」というのは、売主の希望価格をベースにして、
不動産会社を通して「いくらで買いたいです」と伝えること。
すごーく気に入ったので、ジャブは出さずに最初から希望価格そのままでお願いする。

売主からの返事を待つ1日は、ソワソワしっぱなし。

そして答えは…イエス!
ただし「この物件、プロベート中です」と、急に耳慣れない単語が出てきた。

ん?何それ?

聞いてみると、どうやら遺産相続手続きのことらしい。
家を相続した人が売主になっているのだけど、
まだ正式な手続きが終わっていない状態。
手続きが終わるまで、たとえ買い手が決まっても、物件の売却は正式にできない。

これってよくあることなのらしい。

「そんなもん終わってから売りに出せばいいのに…」
と思うのだが、

手続きがスタートしてさえいれば法的にはOKなんだとか。

一体どれぐらい時間かかるんだろう?
調べてみると「数週間〜数ヶ月」と全くよくわからない。

仲介してくれた不動産屋に聞いてみると
「はっきりとは言えませんが、手続きも始まっているし、2ヶ月ぐらいってとこでしょうか…」
というざっくりのお返事。

今の家の住宅ローンを更新した時の約束では
これから6ヶ月以内に買えれば問題なし。
時間もあるし、まあ大丈夫でしょ。と気を取り直す。

買う家が決まったからには、軍資金のために今の家を売る番だ
さっそく自分たちの家を売ってくれる不動産屋探しを始める。

何社かに電話をすると担当者がやって来て家の査定をし、
「いくらで売れそうか」「手数料はいくらか」といった話をする。
過去10ウン年の不動産高騰のおかげでお釣りが来るので、
無理せず新居に移れそうだ。ちょっと安心。

同じような内容の面談を重ねるうち、
それぞれの手数料も気になるけど、担当者の信頼度が気になってくる。
どの人もパリッとしたスーツ姿でやってきて話し方も流暢で、第一印象は有能そう。

でも口は上手いけど、どこかツルッとしていて
マニュアル通りにこなしている感じの人には
心があまり動かない。

結局、百戦錬磨といった風貌のおじさんが来た不動産屋に決めた。
(それが結果的に大正解だったんだけど、その話は後でしようと思う。)

次は広告用の写真撮影だ。
一日かけてワラワラと家中のガラクタを片付け、できるだけ広くキレイに見えるようにする。
…早く買い手が来てくれますように!

広告がネットに出回ると、いよいよ内見開始。

不動産屋から連絡があるたびに、
慌てて片付け → 家を空ける → 見学終了まで待機、
というサイクルが何週間も続く。

…そう。

イギリスのマイホーム売買では、
例の「チェーン」の都合上、
誰も住んでいない空き家に内見に行くよりも、
現役で誰かが暮らしている家にそのまんま入っていく場合がけっこう多い。

時には住人が在宅のまま内見するなんてことも。
私たちの家探しの時にも経験があるが、
「他人のテリトリーに侵入中」感があって、
あまり気持ちの良いものではない。

だから、訪問者が少しでも気楽に見られるように
内見の時間は家を空ける。

その期間、売買の法的手続きをしてくれるソリシター(事務弁護士)を立て、
買いたい物件の状態を細かくチェックしてくれる
サーベイヤー(物件診断士)への調査依頼を進める。

古い家が多いイギリスでは、
買った後に高額な修繕費が発生するリスクだってあるし、
不備を見つけたら価格交渉という可能性もある。

買う家と売る家のためのやることリストが同時に増え、
いきなり大忙しになった。

そして、買い手がとうとう決まった!
買い手は初めて家を買うカップルらしい。
つまり、彼らの持ち家を売る手間がないので手続きが早いやつ。

なんとこちらもチェーンフリーとは。
2つ重なるなんて…私たちラッキー♪

と思ったのだが…
あれ?

例のプロベート(遺産相続手続き)がなかなか完了しない。

気づけば、季節が1つ過ぎていた。

 

 ※この記録は、マイホーム探しの迷走ぶりを綴ったものです。個人的な体験に基づいているため、「もっと良いやり方がある」など、様々なご意見もあるかと思いますが、そこのところはどうかご容赦ください。

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About Author

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写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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