迷走マイホームロード in ロンドン vol.2 ~家探しすごろく開始♪の巻

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コロナも明け、引越しを決めた我が家。
「ジョージアン時代の趣のあるお家がいいな〜」など、いろいろ理想はあるけれど、
ゼイタクを言い出すとキリがないので、まずは「これだけは譲れない条件」を洗い出す。

結論は、4人+1匹が快適に暮らせる「空間」と「立地」が最優先。
通学と通学のアクセスは必須だし、治安と日当たりの良さも外せない。
近くにまともなスーパーがあって、公園とパブがあればなおいい。

今の家は狭いのだけが難点だが、それ以外は奇跡的に素晴らしい。
同じ条件は無理でも、限りなく近い場所を狙いたい。そのために都心から少し離れるのは許容範囲ということになった。

ありがたいことに、日本の家と違ってイギリスの家は古くなっても価値が下がらない。
きちんと住める家であればなおさらだ。
今のマイホームは14年前に買ったものなので、物価がずっと右肩上りのイギリスではけっこう価値が上がっている。

計画としてはその値上がり分をうまく活かし、今の家を売り、同時にその売却額と同じくらいの金額で、ちょっと郊外にもう少し広い家を買う——という、イギリスでよくある「プロパティ・チェーン」方式の王道パターンでいく(※第1回参照)。

オークションで買うという方法もあるけれど、緊張で心臓がもたなさそうなので今回はパス。
売却額にさらにお金を足して家をグレードアップするという攻めたアクションもしない…ていうか、できない。
どこまでも堅実というか、怖がりというか、ただの小心者なので。

そこまで決まったら後は電話をかけまくる。

まずはネットで希望エリアの物件を物色し、物件を見つけたら不動産屋に連絡して内見予約。
いい物件を見つけて電話しても、もうずいぶん前に売れていて「おとり広告だったか」とがっかりするケースもよくある。

実際に見に行って気に入った物件があったら、不動産屋を通じて家主に「いくらで買います」というオファーを出し、売主からイエスかノーの返事をもらう。

ちなみに不動産屋の広告に載ってる価格はあくまで「希望」。買い手側はそれを参考にしつつ、ちょっと低めにジャブを出してみたりするのがお約束だ。

他にもその物件を狙ってる人がいた場合は、プチオークション状態に突入する。
つまり、買い手それぞれが「自分はいくらで買いたい」という「希望」を期日までに提示し、売り手が好きな人を選ぶことになっている。

一番高い値段をつけた人が選ばれる場合が多いけど、ローン不要のキャッシュバイヤーが勝つこともある。これは運とタイミング。

様子を見て控えめなオファーをすると、あっけなく負けてしまう。
逆に熱くなりすぎ強気な金額を提示すると、OKの返事をもらったとしても「ちょっと払いすぎかも…」とあとで後悔することになる。

他人のオファー金額は教えてもらえないので、どれぐらいを提示するかはまさしく心理戦なのだ。

こうして内見しては首をかしげ、リストにペケをつけること数回。

ついに出会ってしまった、マイホーム2.0候補——通学通勤OK、日当たり良好、広さも合格。庭付きで、隣にはなんと広々とした公園が。

さらに、あの「チェーンフリー物件」。——つまり、めんどくさくないやつ!(※第1回参照)
家族そろって「ここだ!」と即決し、さっそくオファーを出すことになった。

…しかし。
これがまさに迷走マイホームロードの幕開けだったのだ。


※この記録は、マイホーム探しの迷走ぶりを綴ったものです。個人的な体験に基づいているため、「もっと良いやり方がある」など、様々なご意見もあるかと思いますが、そこのところはどうかご容赦ください。

 

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About Author

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写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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