小路健太 EP「SKIP」レビュー by Jamel Duane Alatise

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今日はロンドンらしい出会いのお話を。

当サイトでも注目しているシンガーソングライター、小路健太さんが、南ロンドンを拠点に活躍している気鋭アーティストのJamel Duane Alatise / ジャメル・デュエン・アラティースさんと出会い、ジャメルさんが主宰するウェブサイト「People Jouenal」に健太さんが登場!

二人の出会いも含め、20代の若きジャメルさん視点の小路健太、そして健太さんのJ-POP音楽について語られる記事を、今回は翻訳にてお届けします。ジャメルさんは企業クライアントへの作品提供や、テート・モダンやV&A、バービカン・センターをはじめロンドンのそうそうたるミュージアムでパフォーマンス活動をするアーティスト。ストーリーを語る言葉の魔術師なのです。今回の記事も、そんな彼の面目躍如たる文章なんですよね。

オリジナルの英文記事はこちら。写真アーティストでもあるジャメルさんが撮影した写真も満載なので、ぜひ覗いてみてください^^

ではでは、どうぞ♪

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栄光あるバイリンガル・ボナンザ:
小路健太 EP「SKIP」レビュー

京都、ニューヨーク、
ロンドンを駆け抜ける
J-POPアーティストが
ジャンルを超えた躍動、
エクスプロージョンを放つ。

J-POPは2000年代当時、西洋の若者たちが驚きを持って迎え入れていたジャンルの一つだ。もちろん僕自身も含めて。20代になった今の僕らにフィットするようそのエッセンスを形にするとしたら、きっと『Cause I Know This Is Right』のような高揚感あふれるサウンドになるのだと思う。

去年のある夏の午後。僕はSoho Houseの今は亡きBrixton Studioで作業をしていた。ふと2人組の日本人女性が話しているのが目に入り、日本語をもっと上達させたいと思っていた僕は勇気を振り絞り、礼儀正しく声をかけた。その一人が日本人向けのウェブマガジン「あぶそる〜とロンドン」を主宰している江國まゆさんだった。彼女は「語学エクスチェンジをしたいなら、ロンドンに来たばかりのミュージシャンの友人はどう? 彼のライブ・イベントがもうすぐあるから、よかったら来てみて」と誘ってくれた。

この招待により、僕は小路健太に出会った。そしていきなり「Skip」のライブ演奏へと導かれたのだ……。1、2、3、4。そう始まるリード・シングル曲。そのサウンドは僕らを不協和音の木立へといざなう。魅惑的な小路健太のヴォイスとともに。

月日が経って僕と健太は友人となり、南ロンドンの僕のスタジオで小路健太インタビューを行うことになった。自身の生い立ち、前進すること、西洋という未知の世界に飛び込んでいくことについて、彼に質問を投げかけていった。健太は「自由」こそ、その大元にあるものだと答えた。「自分にとって良いと思うことを選び続ければ、前に進んでいくことができる」と。

「シンガーになる自信はなかったけれどね」と、健太はミュージシャンとしての旅を振り返る。京都での幼少期、大学でのシンガーソングライターとしての活動、そして音楽業界に関わりたい一心でエンジニアの経験までしたこと。卒業2年後になってようやくその世界で生きていくと決心し、東京に移り住んで8年間、ひたすら信じるキャリアを積み重ねた。

「日本の社会は時としてとても閉鎖的なので、ストレスやフラストレーションを感じることもあった」と健太。そんな気持ちと「もっと世界を見たい」という切実な思いが相まって、ニューヨークへ旅立ち、そして最終的にロンドンにたどり着く。「ロンドンは音楽シーンが盛んで、それが今ここに住んでいる理由なんだ」。それに先立つニューヨークでの生活は、とても刺激的で目を見開かされる思いだったという。たくさんのライブ会場を訪れ、ゴスペル教会で本物に触れ、自分の選んだ道を肯定できる経験を数多くすることができた。

小路健太の作品に出会うまで、EPのレビューをしようなどと思ったこともなかった。しかし4曲を収めたこのEPの純粋な楽しさを伝えるものがなく、率直な感想を述べさせてもらうことにした。

「世界へ向けて何かメッセージを」と頼むと、健太はすぐさまこう答えた。「夢は実現し、人はもっと幸せになる。ただ自由になるだけで」。これはポスト・パンデミックに生きる全ての人々への健太からのメッセージでもある。我々は皆「自分を信じるときがきた」のだと。

“Dreams come true and people get more happy. Just be free.” Kenta Shoji
「夢は実現し、人はもっと幸せになる。ただ自由になるだけで。」小路健太

小路健太「SKIP」EP
⭐⭐⭐⭐

西洋世界が置き忘れてきた
「喜びの時間」を思い起こさせる
正統派 J-POPサウンド。
理想ありき楽観ありきの 14 分間の物語。
苦悩に満ちた心をも、和らげる力がある。

視聴はここから

文と写真:Jamel Duane Alatise
小路健太のスタイリング: Catriona Jo Yee Poon

People Journal 英語オリジナル本文はこちら

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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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